翌朝
朝日が昇る頃、荷物を背負う三人は、ここまで一緒に育ち暮らしてきた皆に別れを言っていた。
「元気でな」
「まさかトウマ兄も一緒に行くなんて」
「うん」
「寂しくなるね」
「ごめんね、昨日の夜に決めたことだから」
「ううん、でも、ちゃんと手紙かいてね、ユノ兄も」
「もちろん」
「ああ」
子供達と約束し、荷物をもう一度背負い直す。
「行ってらっしゃい!」
「早く帰ってきてね!」
「すぐに帰ってくるさ!アスタとトウマ兄は」
「「ナッシュ!」」
「でもさ、万が一、いや、億に一、二人が魔法騎士団に入ることができたら!」
「「たら?」」
「俺も、可能性を信じられる!なんにだってなれるって、そして、いつか俺も魔法騎士団に・・・。いや、何でもねぇ」
「待ってるぞ」
「ああ!俺もアスタもユノも、ずっと待ってるさ、諦めるなよ」
「もちろんだ!」
これまで見たことがない笑顔で答えるナッシュ。
(うん、これなら大丈夫そうだ。俺の心配は、意味なかったのかもな)
「じゃあ、行ってきます」
「お、待てユノ!返事しろよイケメンこの野郎。ライバルだからって、別に仲良くしてもいいんだぞ!おい!」
歩くスピードを上げて先に行ってしまうユノ。小さい頃とは大違いだなと、トウマは思いながら後を追う。
「おーいみんなー!!行ってきまーす!!」
アスタが振り返り、手を降りながら大声でみんなに最後の別れの挨拶をする。まぁ、一時的な別れではあるが。
「行ってらっしゃーい!!」
教会の皆も、最後の見送りの挨拶を送る。
「ほらトウマも」
「ああ、行ってきまーす!!」
トウマもアスタと同じことをして、歩き出す。
「さぁ行こう二人とも、王都に!」
「ああ!」
「ああ」
朝日が上がる空を見ながら、トウマ、アスタ、ユノは魔法騎士団の入団試験を受けるために、王都へと旅立っていく。
王都は、バージ村から遥か彼方にある。
「王都かー、どんなと頃なんだろうなぁ」
「本がたくさんあるって聞いたことがある」
「んじゃ、トウマにとっては天国かもな!」
「そうだな、でも、それよりも、この剣についての書物があればな」
「そうだよなぁ、トウマが魔法騎士団に入る理由って烈火がいったいどういうものなのか知るためだもんな」
「まずは魔法騎士団の入団試験に合格する、話はそれからだ」
「楽しみだなぁ~」
「楽しみ?怖くないの?」
「え?何で?」
アスタの言葉に疑問を持つユノ。アスタは本来の次元でバカスタなどと呼ばれている筋肉お馬鹿。まぁ愛すべきお馬鹿ではあるのだが。そんなアスタのことである。この世界でも、そういうものに恐怖は感じないのだろう。
「ふっ、アスタらしいな」
「どこ行っても、アスタはアスタだよ」
「ほら急ごうぜぇー、王都は遠いぞー!」
「おい!」
そう言って駆け出していくアスタ。
「早く魔法帝にならなきゃなぁー!」
「早くついたからといって、早く魔法帝になれるわけじゃない」
「魔法帝になって・・・」
妄想の中に入っていくアスタ。木の棒を跨ぎ、ほうきに見立てる。
「なんてな」
「魔力もないのに、ほうき乗れるの?」
「がぁッ!?」
棒を放し、あ、忘れてたっ!という顔をするアスタ。
「俺もほうきは乗れないけど、このブックを使えば乗り物出せるからね」
「いいよなぁ、トウマは。その変な乗り物出せるんだから」
「でも、完璧に乗るのに苦労したよ、だって車輪が二個しかないんだからね」
そう言って、ディアゴスピーディーワンダーライドブックを取り出す。
「でも、なんとかなる!」
「ホントに?」
「ああ!なんとかなるさっ!!グリモワールだって手にいれたんだ!諦めなければなでもできる!!ほら急ぐぞっ!」
先へ走り出すアスタ。
「ほら置いていくぞユノ、トウマ!王都につくまでが特訓でーす!」
アスタを追って走り出すユノ。トウマはディアゴスピーディーワンダーライドブックをしまい、後を追う。
「ついてこれないだろう、ユノ!トウマ!」
快調にとばしていくアスタ、ユノ、トウマ。しかし数分もすれば、疲れてその場に止まってしまう。
「まだだ!うおおおおお!!」
しかしアスタがまた走り出し、その後をユノが追う。
「お、俺はもう無理だ」
トウマはディアゴスピーディーワンダーライドブックを取り出し起動。バイクへ変形させてエンジンをかけ、走らせる。
「あ!ずるいぞトウマ!!」
「・・・」
騒ぐアスタとムッとするユノ。そんな二人を尻目に、ディアゴスピーディーを走らせる。
そんなこんなで、順調に三人は旅を進め、遂に。
ドでかい岩山の上にたつ。クローバー王国中心地。王都へとたどり着いた。