現在、トウマとアスタは、入団試験名物、アンチドリにたかられている。
「いたたた!!」
「う、鬱陶しいなぁ」
(まぁ、どうぶつの本能だし仕方がないか)
「そうだ、烈火腰につけとこう」
トウマは聖剣ソードライバーを取り出し、腰につける。すると、アンチドリが急にバタバタとあわてて逃げ出した。見ると、アスタがムキムキの男の人にぶつかって怒られてた。
「殺すぞ小僧」
人を簡単に殺してきたような目をしたノースリーブ男。
「お前すんごい老け顔だな、今までどんだけ苦労したんだい?ハハッ!」
沈黙が一泊。
男はアスタの頭をわしづかみにする。
「死ぬ準備はいいよなぁ?」
「ぬわああああああああああああ!!!!見た目どおりだったぁ~!!」
(アスタなにしてんのぉおおおおおおおお!!?)
俺はアスタの行動に驚愕し、あわてて謝りに行く。
「すみません!うちのアスタが!!!」
「あ?お前、こいつの知り合いなのか?ならお前も死ね」
(何でこんなヤバイ人に声かけたんだよアスタ!!!)
「あー、居た居た、こんなところで何してるんですか?」
そこに、二人の男がやってきた。
「今こいつらの息の根を止めるところだ」
「お、おいあれって」
「まさか、フィンラル・ルーラケイス様!?希少な空間魔法の使い手の!?」
「君、かわいいねぇ~」
「噂に違わず、任務に支障をきたす程の女好き!」
みんなは、この人たちのことを知っているようだ。俺たちはいなか出身だから、主要な魔法騎士団員達のこと知らないからなぁ。
「あっちは、ゴードン・アグリッパー!呪術魔法のエキスパート!」
「コミュニケーション取れねえって話だな、つか怖い」
「おわぁああああ!!!」
「ってあーあーダメですよー、騎士団長が受験生殺しちゃ-。つか、何で試験場に降りたんですか?」
「ウンコ行ってたら迷った」
「騎士団長って、じゃああの御方は!」
「破壊神、ヤミ・スケヒロ!?」
(超大物じゃないか!?アスタ!ホントにどこでもやらかすな!!)
「9ー、8ー」
「なんのカウントダウン!?」
「お前の寿命」
「ギャァアアアアアアアアア!!!」
「ヤミ!?黒の暴牛の団長!?」
「黒の暴牛って、手柄より被害額の方が上回るならず者騎士団でしょ?」
「団員には一人として、まともなやつが居ないらしいぜ」
「女好き、コミュニケーション不能、なるほど、黒の暴牛だけは入りたくねぇ」
「ギャァアアアアアアア!!!」
未だ頭をわしづかみにされてるアスタ。このハチャメチャな状況に困惑している俺。もう何がなんだかさっぱりだ。すると、アスタが全身の筋肉に力をいれ始めた。
「うぬぅうううおおおおおおお!!!」
「ん?」
そのままヤミさんの手を振りほどこうとする。
「いーち」
バンッ!バンッ!バンッ!
突如、花火が打ち上がった。試験開始の合図だ。
「あー、ほらほら、もう試験はじまっちゃいますよ」
「チッ」
舌打ちをしながらアスタの頭から手を離すヤミ団長。
「クァアアア・・・」
「命拾いしたなぁ小僧。せっかく助かった命だ、大事にしろよ。じゃないと、殺す!」
「ええええええ!?」
そう言って、ヤミ団長は、メンバーを連れて行ってしまった。
「もうなにやってんのアスタ!!」
「ごめんごめん、悪気はなかったんだ」
「はぁ、もうおとなしくしててよ」
「ああ、もうあんな目には合いたくねぇ」
「フッハ!君達大丈夫かい?」
「ん?おお!」
高そうな服を着た青年が、俺達に声をかけてきた。
「いきなり黒の暴牛のヤミ団長に絡まれるなんて、ひどい目にあったねぇ。ああ、俺はセッケ、セッケ・ブロンザッツァ、よろしく~、フッハ!」
「俺アスタ!」
「俺はトウマだ、よろしく」
セッケさんと、話していると、魔法騎士団の団長達が現れた。ヤミ団長を抜いて。
「おお~、銀翼の大鷲団団長、ノゼル・シルヴァだ」
「あれが」
「魔法騎士団の団長」
「すごい貫禄だ」
「スゲェ髪型だな、前見づらくないのかな?」
いや、気になるところそこなのアスタ。
「紅蓮の獅子王団団長、フエゴレオン・ヴァーミリオン。紅蓮の名の通り、炎の魔法の使い手らしい」
「ほえ~」
炎か、俺の烈火も炎の力だったな。もしかしたら、なにか知ってるのかも。
「翠緑の蟷螂団団長、ジャック・ザリッパー」
「蟷螂ってなんだ?」
「カマキリのことだよアスタ」
「ほぇ~」
「お、物知りだねトウマ、そのカマキリの名の通り、ジャック団長は裂断魔法で大地すら真っ二つだって」
「おおー!スゲェ!!」
「でもカマキリは勘弁だな、虫なんてカッコ悪くね?」
「そうかな?虫だって、いろいろな力を使って厳しい環境を生き抜いているんだ。馬鹿にはできないよ」
「ふーん、まぁ人の考えは人それぞれだ。次に行こう。碧の野薔薇団団長、シャーロット・ローズレイ!様・・・美しい!」
「シスターリリーの方が綺麗だな」
「アスタはそうだろうね」
「紫苑の鯱団団長、ゲルドル・ポイゾット」
「それだけ?」
「むさ苦しいのは興味ないのさぁ」
「珊瑚の孔雀団団長、ドロシー・アンズワース」
「寝ながら歩いてる!?」
「どうやって歩いてるんだろう?」
「寝てばっかりらしいぜ」
「どうやって団長になったんだ?」
「見た目じゃわからないスゲェ力を持ってるんだろうなぁ」
「水色の幻鹿団団長、リル・ボワモルティエ」
「ずいぶん若いなぁ」
「リル団長は、19歳らしいぞ」
「19歳!?俺と四つしか違わないのか!?魔法帝への道は、案外近いかも!!」
「ハッハ!魔法帝か、大きな夢だねぇ。でも次の魔法帝は」
セッケさんが説明しようとしたとたん。歓声が上がり、奥から仮面を着けた人物が現れた。
「最有力候補と言われているよ」
いかにもすごい人という格好をした魔法騎士団団長。この人は俺も知ってる。
「最強魔法騎士団といわれる、金色の夜明け団団長、ウィリアム・ヴァンジャンス。団員からの信頼も厚い、この間の戦でも、ウィリアム団長が敵の大将首とったって話だしねぇ」
「ハァー、金色の夜明け団に入れたらなぁ!銀翼の大鷲団でもいい!!」
「バーカ、金色も銀翼も王族か貴族のエリートしか入れねぇっつうの」
皆口々に、入りたい団の名前を口にする。俺は、もともと魔力がないから拾ってくれるだけでもすごく助かるんだけどなぁ。
ていうか、やっとヤミ団長が来た。行動はいい加減だけど、あの人もあの人ですごいんだろうなぁ。問題児だらけって言われてる黒の暴牛を纏めるぐらいなんだし。
「騎士団の団長が一様に!」
魔法騎士団長はいずれも、一人で魔導師百人以上の強さを誇るという。その中の誰かが、次の魔法帝となるのだ。
「魔法帝は?」
「フッハ!魔法帝がわざわざ試験に来るわけないだろう?ていうか、団長が揃うだけでも、奇跡みたいなもんなんだぜ?」
「受験生の諸君!」
セッケさんと話していると、ウィリアム団長のスピーチがはじまった。
「待たせたねぇ、今回の試験は、私が仕切らせてもらうよ」
グリモワールを開き、魔法を発動させるウィリアム団長。すると、空に暗雲が立ち込め、そこから巨大な樹木が現れる。
枝が延びていき、そこから箒が現れ、手渡される。
「それではこれから、魔法騎士団入団試験を開始する!」
さぁ、試験の始まりだ。