side蘭
「わぁー!この人すごい!!」
「え〜?ひーちゃんどうしたの〜?」
今は学校の昼休み。いつも通り屋上でみんなと弁当を食べてるとひまりが携帯を見ながらすごく驚いていた。どうしたんだろ?
「この『ベン』って人のツイートなんだけどさー、、」
「あ〜、この人あたしも知ってる〜。ゲームがすっごく上手くて大会とかもけっこう優勝してる人だよね〜。」
「うん!最近有名になってきててフォロワーも沢山いるんだよ!ほら!みんなも見てよこの昨日のツイート!」
そう言ってあたし達の前に画面を見せてきた。見てみるとそこにはひまりが最近始めたプ〇セカという音ゲーが写っていた。けっこう難易度が高いゲームらしいけどその人はほとんどの曲の最高難易度をフルコンボしていた。
「うわー!すごいなこれ。」
「こんなことできる人っているんだ…」
「うん…。すごすぎ…」
「あ〜、あたしももっと上手くなりたいな〜。」
「ひーちゃんには無理だよ〜」
「えぇ〜!」
「渡辺みたいに騒ぎながらやれば上手くなるんじゃない?」
「あ〜、この前の写真みたいに〜?w」
「あれはもう忘れて…」
もうほんとあの時のことは思い出したくない…
忌まわしい黒歴史から逃げるべく、あたしもスマホをいじる。ついでにひまりの言ってる人も一応フォローした。…もしかしたら渡辺も知ってるかもしれないし……
あ、そういえば渡辺もTwitterやってたような…
ふと、そう思いTwitterを開きワードを打ち込んだ。
しかし、『渡辺』と入力仕掛けたところで我に返り入力をキャンセルした。
(何やってんだろ、あたし。変なの、)
「蘭〜?どしたの〜?」
「え?何が?」
「いや〜スマホの画面を見るなりコロコロ表情を変えてたからさ〜。」
「…あたしそんな顔してた?」
「してた〜。」
「まぁまぁ。多分蓮くんとLINEでもしてたんだよー。」
「あ〜なるほどね〜。」
「いや、してないし!それに渡辺のLINEなんて持ってないし!」
「「「「…え?」」」」
「え?」
なに?なんかあたしまずいこと言った…?
「蘭…それはホントなの?」
「え、?うん。持ってないよ?」
「これは問題ですな〜。」
「なんで!?あんなに仲良いのに!」
「そんなの良くないよ!蘭ちゃん!」
「クラスで唯一できた友達だろ!」
え…ちょっと、急にみんなどうしたの…。ていうか巴さりげなく酷いこと言ってない?あたしの気のせい?
「いや、別にそれで困る事なんてないでしょ…」
「蘭はさ〜、れー君とLINEしたくないの〜?」
「…別にしたくないって訳じゃないけど、その…交換するタイミングがなかったというか…」
「れー君とLINE交換すれば学校以外でも話せるんだよ?」
「それは…まぁ。」
「毎日楽しくゲームとかしながら通話したりもできるんだよ?」
渡辺と通話……、ゲームしながら…
「もしかしたらもっと仲良くなれるかも〜?」
「……、」
「蘭〜?れー君とLINEしたい〜?したくない〜?」
「………してみたい…かも……ボソ」
「え〜?小さくて分からな〜い(煽り)」
「…だから//してみたいって言ったの!!//」
「うむ、素直でよろしい〜。じゃあ、頑張ってねぇ〜。」
「応援してるよ!蘭!」
「気合いだぞ!」
「が、頑張ってね!」
「だから!//そんなんじゃないってば!!//」
こうして昼休みは過ぎていった。
そして放課後……
「なぁ美竹?昼休みあけからなんか変だけど大丈夫か?」
「い、いや、大丈夫だから……」
「まぁ、ならいいけど。具合悪いなら無理すんなよ?」
「…うん。」
もう、みんなのせいで変に意識しちゃって上手く話せなくなっちゃったし…
渡辺もなんでそんなに優しくするの!いつもそんなんじゃないじゃん!そんなに今のあたしって変なの!?
(こいつ…ほんと大丈夫か?)
ピロン♪
「?LINE、ひまりから?」
今度は何?……
『あたし達は先帰ってるから、しっかり蓮くんとLINE交換するんだよ!』
「……もう、ほんとに……」
なんでこんなことになったんだっけ……?
「…なぁ美竹?そろそろ帰る時間だけど、今日も青葉達と帰んのか?」
「いや、なんかみんな用事があるみたいで先に帰っちゃった……」
「そうなのか…」
はぁ〜、これからどうやってLINEの話に持ち込めばいんだろ…
「あー、俺今から1人でゲーセン行こうと思ってんだけど…良かったら美竹も来るか?」
「……え?」
「まぁ、なに?嫌だったら別にいいんだけどよ…」
これは…もしかしたらチャンスかもしれない。
「いや、あたしも暇だったし、行きたい…かな…。」
まさか渡辺の方から来てくれるなんて…
「お、おう。そんじゃ、行きますか。」
「うん…!」
こうしてあたし達は前のゲーセンに行った。本当は行く途中にLINEを交換できると思ってたけど上手く言えなくて結局ダメだった。素直になれない自分に失望している内にゲーセンに着いてしまった。
「よし、入るか…戦場へ…!」
渡辺もスイッチ入っちゃったし…もういいや。この際LINEとかどうでもいいからあたしも楽しもっかな…
「お!あのゲームやっと実装されたのか!待ちくたびれたぞほんと!」
中に入ってしばらく歩くと渡辺がはしゃぎながら新しいゲームの方に走っていった。
「ほんと…好きだよねぇ。」
子供にしか見えない…
「これは早速ツイートしなければ!」
そしてスマホで写真を撮りTwitterにあげていた。どんな感じなのかあたしも横から覗いてみるとそこには見覚えのあるアカウントがあった。
「…え、渡辺…その『ベン』っていうアカウント……」
「ん?ああ、俺のゲーム用のアカウントだけど?」
「…うそ…それ渡辺だったの!?」
「…?どゆこと?」
「実は今日の昼休みにひまりがそれのツイート見せてきてさ…あたしも気になってフォローしたし。」
渡辺も知ってるかもしれないと思ってたのにまさか本人だったなんて…
「え?マジでか?…あ、ほんとだ。これ美竹のアカウントだったのか。…フォローしとこボソ」
「ていうかなんで『ベン』っていう名前なの?」
「ああ、適当に苗字と名前の最後の文字をくっつけただけだから特に意味とか理由とかないぞ?」
「そ、そうなんだ。」
まぁ、そこが渡辺らしいとこなんだろうけど。
「よし、そんじゃ早速やりますか。美竹もやり方教えるからやろうぜ!」
「…うん…!それじゃやってみようかな。」
それからは前みたいに色んなゲームをやった。やっぱり渡辺とゲームをすると楽しいな。みんなといる時とはまた違う感じがする。
「さて、もういい時間だし、そろそろ帰るか。」
「…ほんとだ。もうこんな時間。」
あっという間に時間がすぎていた事に驚いた。あーあ、結局LINE交換出来なかった……でも楽しかったし別にいいかな。
「あ、そうだ。なぁ美竹。」
「何?」
「まぁなんだ、その、」
急にぎこちなくなってる…どうしたんだろ?
「ら、LINE、交換しないか?」
「…え?」
「いやほら、その方がいつライブがあんのか聞けるし、なんつーの?色々楽だと思し……」
まさか、渡辺から言ってくるなんて…
「ああ、嫌なら全然いいんだけどよ…」
……嫌なわけないじゃん。
「うん…!いいよ!ちょっとまってて!」
「お、おう。」
それからお互いにLINEを交換しゲーセンを後にした。
「ニャーン♪」
「あら〜。こんにちわ〜。(´^ω^`)」
「渡辺、表情筋が仕事してないよ……」
ゲーセンの帰り道、また猫と遭遇した。
「ボクちゃん今何歳???おばさんはねぇ〜、82歳♪(^^)ノナデナデ」
「ゴロゴロ」
「でれでれしすぎてもう意味不明な事口走ってるし…」
あまりにもでれでれしてるもんだからスマホを取りだしパシャリと写真に収めた。すると音にびっくりしたのか、猫がどこかへ逃げてしまった。
「ちょ、何撮ってんだよ…」
「ごめん、あまりにもでれでれしてたからつい…」
「はぁ〜、まぁいいか。また会おうな…サカモト……」
いやいつの間に名前つけてたの…ていうかネーミングセンス無さすぎない?
「ほら、もう帰ろ。暗くなっちゃう。」
「それもそうだな…」
「それと…今日はありがとう…誘ってくれて。」
「え?ちょ、なに?どうした急に?」
「…//な、なんでもない、//」
それから色々あったけど目的のLINE交換はできたし、まぁいっか…
自室の布団の上でLINEを開く。そこには今日登録したばかりの新しいアイコンが…
「いや、めっちゃ猫推しじゃん…」
何故かホーム画像は横になってお腹を見せてる猫の画像だった。絶対ゲームのなんかだと思ったのに。
そしてトーク画面を開いた。交換したばかりだからまだ何もメッセージは無い。
「やっぱりよろしく、とか送った方良いのかな…」
悩んでいるとピロン♪と音がなり画面には『よろしくな(・o・)』と表示された。
「…フフッ何それ…」
初っ端からこれはどうなんだろうって思ったけど変にこった文章より全然いいかもって思った。
「『こっちこそよろしくね』っと」
無難な返信をする。すると数秒後に返信が帰ってきた。
『また一緒にゲームしような(^^)v』
「フフッだから何その顔文字w」
まったく…こんなくだらない会話なのにどうして楽しく感じるんだろ…
イミワカンナイ。
この後ベンの正体が渡辺だったことを5人に伝え、案の定全員が驚いていた。