side蘭
「蘭ー、ちょっといい?」
「?どうしたの、母さん。」
今日は土曜日ということでバンドの練習もなく、自分の部屋でゆっくりしていると急にドアが開き、母さんが入ってきた。
「実はね、明日母さんの友達と映画を見に行く予定だんだけどお互い急用が入って行けなくなっちゃって。」
「うん。」
「それで映画のチケットなんだけど捨てるのももったいないし、蘭もこの映画気になってるって言ってたからモカちゃん達でも誘って見に行ってきたらと思ってね。」
「え?いいの?」
「ええ。母さん達の代わりに楽しんできてね。それじゃ。」
そう言って母さんは2人分のチケットを置いて部屋から出ていった。確かに母さんが言ってた映画はあたしも見たいと思ってたし正直ありがたい。
「…とりあえず誰か誘って見ようかな。」
AfterglowLINEグループ…
蘭『母さんから映画のチケット貰ったんだけど、明日誰か見に行かない?2人分しかないけど。』
モカ『2人分しかないの〜?』
蘭『うん。』
モカ『モカちゃんは明日はバイトなので他の人に譲りま〜す。』
ひまり『ごめん!あたしも明日は予定が…』
巴『あたしもあこと出かけるんだよ〜。すまん!』
つぐ『あたしもお店の手伝いが…』
蘭『そうなんだ…』
どうしよう、まさか誰も来れないなんて…
モカ『れー君を誘えば万事解決だと思うよ〜?』
渡辺か…、この前の1件以来変に意識しちゃってあんまり話せてないんだよね…。でも、このままだと渡辺にも申し訳ないし、あたし自身もモヤモヤしたままだし…。
蘭『…わかった。じゃあ渡辺誘うよ。』
モカ『おー、それじゃあ頑張ってね〜。』
ひまり『きっと蓮君も喜ぶよー!』
巴『自信持って行けよ!』
つぐ『蘭ちゃん、ファイト!』
なんで渡辺誘うだけなのにあたしこんなに応援されてんの…はじめてのおつかいの子供みたいじゃん…
そんな事を思いながら渡辺にLINEを送る。
『渡辺、ちょっといい?』
するとすぐに既読がつき、返信が来た。
『すまん、今はバイト中だから後にしてくれ
m(_ _)m』
今日、渡辺バイトなんだ…
『そうなんだ、了解。バイト頑張って。』
返事を返したけど既読が一向につかない。多分仕事で忙しいからかな。
いつ終わるかもわかんないし、かと言って明日言うのも急すぎると思うし…
「どうしよっかな…」
side蓮
はい、今日は土曜日で学校は休みだけどバイトがあるんで実質休みではないよ♪あ〜、なんだろうな〜。とりあえずなんか壊したいな〜。何かに八つ当たりがしたいな〜。
「渡辺君…、なに笑顔で物騒な事考えてるの?ほら、この機材運ばないといけないんだから手伝って。」
「了解でーす。」
はぁ〜、今頃他の奴らは自分のやりたい事やってんだろ〜な〜。そんでもってもうすぐ夏休みだし、色んな計画立ててんだろうな〜。例えば恋人と海に行ったりとか。BBQしたりとか…。
「…よいしょっと。よし、それじゃあ渡辺君は受付の方に戻っていいよ。」
「うーっす。」
そういえば、恋人といやぁ翔のやつ、いつの間にか彼女とか作ってやがったな…。たく兄貴より先にそんなもん作るんじゃあないよ。親父達でさえ付き合い始めたのは高校からだと言うのによ。
……ん?まてよ?て事はもう親たちは俺ぐらいの歳には恋愛してたってわけか。で、翔も既に彼女持ち。対する俺、そんなものとは無縁で暇があればこうしてアルバイトの日々……。
あれ??…渡辺家の恥かな??俺は……
………
いっけなーい♪邪念邪念♪うっかりメンヘラっちゃうとこだったわ、危ない危ない。
ピロン♪
するとスマホからLINEの通知音が聞こえ、確認してみると美竹からだった。というか最近なんか美竹から避けられてるような気がするんだよな。
俺なんか悪いことでもしたかな?
そんな事を考えながら内容を見てみる。
『渡辺、ちょっといい?』
何か言いたげな雰囲気だがあいにくこっちは忙しくて今は答えてやれんかもな…
『すまん、今はバイト中だから後にしてくれ
m(_ _)m』
と、返信をしてスマホをしまった。そしてしまったタイミングで客が来たので無理やり作った営業スマイルで対応する。あ〜、早く帰りたいと切実に思う。
それからしばらくして…現在休憩時間中。
「渡辺くーん、休憩中なんだけどちょっといいかな?」
「なんすか?とうとう休憩時間削ってでも働かなきゃいけなくなったんすか?泣いていいすか?」
「いや、うちはそんなにブラックじゃないからね?だからそんな希望の見えない腐りきった目で見ないで…。それがね?今渡辺君に用があるって人が来てね〜♪」
「なるほど、俺宛のクレーム処理ですね?」
「なんで今日の君はそんなにネガティブなんだい…。とりあえず行ってみれば分かるよ。」
「はぁ〜。それじゃあ行ってきまーす。」
そして特になんの期待もせず、その人がいるであろう受付のところまで向かう。すると、そこには意外な人物が…
「え!?美竹じゃん。」
「あ、渡辺…、その、バイトお疲れ…。」
こんな俺を労ってくれるなんて…。涙チョチョギレるわ…。
「お、おう。ありがとうな。…あれ?今日Afterglow予約入ってたっけ?」
「いや、そうじゃなくて、渡辺にちょっと用があってさ…。」
「俺に?」
いったいなんなんだ?
「渡辺って明日何か予定ある?」
「いや、特にないけど…。」
「そう…。じゃあさ、その、よかったらこの映画一緒に見に行かない?/モカたちも明日は予定あって来れなくて。//捨てるのももったいないし//」
そう言ってその映画のチケットを見せてきた。ん?てかこの映画…
「あ!これ俺も見に行きたかった映画なんだよ!」
「え!?そうなの!?」
「そうそう!マジか!ありがとな美竹、誘ってくれて!もちろん観に行くわ!!」
「…フフっ。また子供みたいになってるよ?渡辺。」
「しょーがねーだろ!嬉しいんだから!ニコッ」
「…!?、ふ、ふーん//そうなんだ…//」
(嬉しい…。嬉しいんだ…//)
「そんで?何時にどこへ行けばいい?」
「…//」
「?美竹?」
「あっ!ごめん!えっと、11時に上映だから、10時半ぐらいに映画館に集合でいい?」
「了解!」
シャアアアアア!!明日の予定決まったァァァァ!そしたらなんかバイトのやる気も出てきたァ!上げてくかぁあ!!
「渡辺くーん、そろそろ休憩時間終わるよー。」
「了解でーす。そんじゃ美竹、俺そろそろバイト再開するから。」
「うん。それじゃまた明日ね。…遅刻したら映画代渡辺の奢りね♪」
「するわけねぇし!時間ピッタリに行ってやんよ!」
「フフっ。期待してる。バイト、頑張ってね。」
「おう。また明日なー!」
こうして、美竹はcircle後にした。
「あ〜やばい、モチベバカ上がりだわ。フルスロットルすぎて暴発しそう。」
「この短時間でいったいなにが…さっきまで死人の顔だったのに。」
「何言ってんすか!失礼ですよ!……死人に。」
(自己評価ひっく!!!!)
side蘭…
良かった、上手く誘えて。あんなに喜んでくれるとは思わなかったけど。
まさか渡辺もこの映画見たかったなんて思わなかった。チケット見た瞬間にまた子供みたいになってたし…。少しかわいいとか思ったりしたかも……。
いやいや//何考えてんのあたし/渡辺は前からあんな感じでしょ//
『しょーがねーだろ!嬉しいんだから!ニコッ』
「〜///」
もう、あんな笑顔向けられたらこっちだって調子狂うに決まってんじゃん!ていうかあたし自身も喜びすぎでしょ!
…なんか最近気がついたら渡辺の事ばっかり考えてる…
「もう、渡辺のバカ//」
こんな悪態をついても明日2人で出かけることを考えるととても嬉しくってワクワクしてしまう。本当にイミワカンナイ。
「明日、どんな格好でいこうかな…/」