「美竹のやつ…、どこ行きやがった…。」
現在俺は夜の学校でどこかへ行ってしまった美竹を捜索中。スマホにも何回か電話飛ばしてるが全く出る気配はない。こんだけかけても出ないということは多分持ってきてないですねあの人…。
方向はこっちであってると思うがなかなか見つからない。スマホの灯りをつけても暗すぎて先の方があまり確認できないから余計見つけにくい。
こんな真っ暗の中美竹のやつ灯りも持たずに1人でいると考えるとやたらと心配になってくる…。しかもあいつだって俺と同じでこういうのまじで無理っぽいしな…。
「ったく、はやく見つけてやんねぇと…!」
それから俺は少し急ぎ気味で捜索を続けた。
そして、しばらく探していると先の方から何やらすすり泣くような声が聴こえた…、、
暗闇の中、なにかに怯えながら…静かに泣く''女''の泣き声が…。
「おいおい待て待て冗談じゃねぇぞ……。この声美竹のだよね…、絶対そうだよね…?信じていいよね…?」
震える体を抑えながら恐る恐る声のする方へ進む。すると、とある教室にたどり着いた。
ここは普段生徒が使用することの無い、言わば物置状態に近い教室である。
「こ、ここからだよな、、?この声って…。」
俺は扉に手をかけ、そして、そっと開けた…。が、
(だ、誰も居ない…?)
扉を開け中に入ってみたが、そこには誰もいなかった。昼間同様、使わない机や椅子が規則正しく並び、端の方には大きめの箱が置かれているだけで、人らしい物は見られない。
しかし、聞こえるのだ。誰もいないはずのこの教室から今もなおすすり泣くような少女の声が聞が。
(……、HAHAHA!!バカげてやがる!?何ここ!?イカレてんねぇ!!?こんな場所1秒も長くいられるか!!)
そしてこの教室から一刻も早く出ていこうと扉の方へ振り向いた瞬間…、見てしまった…。
教室の扉のすぐ横でうずくまり、すすり泣く女の姿を……。
「ヴェア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!?!?」
「うわあああああああああああ!!!」
(ふざけんなアアア!!なんでこんなところに''赤いメッシュ''の入った幽霊がいるんだよおおおおーーー!!!!)
……、、ん?赤いメッシュ??
なんか馴染みしかない単語なんですけど…?もしや…
「…って、あれ??お前、、美竹か!?」
「……えぇ…?もしかして、渡辺ェ??」
そこにうずくまってたのは幽霊ではなく、先程まで捜索していた美竹だった…。
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side蘭…
「もう、最悪…、」
ピアノの音が聴こえない所まで逃げて来れたけど、みんなとはぐれてしまった…。しかも暗すぎて自分が今どこにいるのか分からないし…。これって結構やばいかも…。
「と、とりあえず場所を把握しないと…。」
現在地を把握するため周りを確認する。幸い少し暗闇に目が慣れてきてある程度見えるようになってきた。
(…うん、だいたい分かった。ここから体育館の行き方も覚えてるし、ピアノの音とか変な声も聴こえない。…、行ける、大丈夫。あたし1人でも行ける…!)
そう自分を鼓舞し、単独で体育館を目指そうと歩き出した時……、後ろの方からカツン、カツン、と足音のような音が聞こえてきた…。
「…うそ、でしょ…。」
しかもその足音は明らかにこちらに向かってきていた。
(やばいやばいやばい!!)
あたしは反射的に近くの教室に入り、身を潜める。
なおもその足音はこっちに向かってきて段々と大きく校内に響いていた。
(なんで…!どうしてあたしがこんな目に…!!)
暗闇とこの不気味な足音から底知れない恐怖を感じ、耐えきれず涙が出てきてしまった。
(怖い…!誰か、助けて…!…渡辺…!!)
''何故か''頭の中で彼の事が浮かび、助けを求めていた。まぁそれで助けに来てくれるわけではないけど…。
やがて足音は教室の前で止まり、そしてゆっくりと扉が開いた…。
(お願い…!こっちには気づかないで…!)
恐ろしくて教室の中に入ってきたそれを確認することが出来ず、ただうずくまっていることしか出来なかった。
でもずっと目をつぶっていても状況が全く分からないという恐怖があると思い、あたしはほんの少しだけ目を開け教室内を確認した。
その瞬間、教室に入ってきたそれがこちらの方に振り向き、あたしと目があってしまった…。
「ヴェア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!?!?」
「うわあああああああああああ!!!」
なんか変な声が聞こえたけどそれがどうでもいいと思えるぐらいパニックになり、もうダメだと確信したその時…、
「…って、あれ??お前、美竹か!?」
震えながらあたしの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。そしてその声はとても聞き覚えがあり、聞き間違うはずがなかった。
「……えぇ?…もしかして、渡辺ェ??」
そこには先程まで頭の中であたしが助けを求めていた渡辺の姿が…、
「おい、お前…、びっくりさせんなよ…。思わず今まで出した事ない声g「渡辺ぇ!!」ヴェァァァ!?」
あたしは渡辺の言葉をさえぎって飛びついた。
「ちょっ!?美竹サン!?ど、どういったご要件でぇ!?」
「…怖かった…!」
「…み、美竹?」
「巴達とははぐれちゃうし!変な音はするし!グス…ずっと、ずっと怖かった…!」
今までの恐怖と渡辺が来てくれたことの安心感でついに我慢が出来ず泣きついてしまった。
「…そうか、、まぁなんだ、もう大丈夫だ。こうやってまた合流できたわけだし…。だからその、とりあえず落ち着け…。な?」
そう言って渡辺はあたしが落ち着けるよう背中をぽん、ぽんと軽く叩いてくれた。あたしは落ち着くまでしばらく渡辺に抱きついたままだった。
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side蓮
いやぁ…、ビッッッックリしたぁ……。
幽霊と目があって『あ、詰んだ(°д°)』って思ったらそれが美竹だったってことで安心してたらいきなり飛び着いてきて押し倒されるわ急に泣き出すわで…。
でもまぁ…、美竹はそれだけ追い詰められてたって事なんだろうな…。見つけられてよかったわ、、ほんと。
「美竹?もう大丈夫か?」
「……スン、うん。ありがと。ごめん急に…。」
「いや、気にしなくていい。それより早く青葉達と合流しよう。ほら、立てるか?」
何故か自然と美竹に手を差し出してしまった。
「うん…。」
「よし、そんじゃ向かうか。…美竹?」
移動しようと思い、手を離そうとしたら何故か美竹の方から握り返してきた。えちょ、何?柔らかいです。
「ど、どうした?」
「そ、その…、まだ怖いから……、握っててもいい…かな、?」
「お、おう、そういう事ね。まぁ別にいいけど…。」
「…ありがと。」
うん、まぁ…怖いならしょうがないよね?…俺手汗とか大丈夫かな?
そんな事を考えながら今度こそ移動しようと思いスマホの灯りをつける。
「………、」
「…?渡辺、どうしたの?」
「いや、あの〜…ちょっとあちらをご覧頂きたいんですが…、」
「あちら?」
スマホの灯りで照らした先、教室の扉のところだ、俺が違和感を感じたのは…。教室の扉って窓ガラスになってるところあるだろ?そこにさ、''小さな手形''みたいなのがあってさぁ、なんかこう、、なんて言うのかな…?黒い影みたいなのが扉の向こうに見えるんだよねぇ…。
これってさァ…つまり、あれですよね…。確定演出ってヤツですよね??
「…渡辺、何?、あれ、、」
「はは、こっちが聞きてぇ、、え、何?パッと見子供にも見えるんだけど、この時間帯に高校に忍び込む悪ガキなんていんのか?」
「い、いないはずだけど…。」
すると突然、教室の扉からドンッ!と叩かれたような音がなり、明らかに、子供の声でこう聞こえた…。
『アソボ〜、アソボ〜、』
「聞こえた、聞こえてしまった…。今完全に扉の向こうから聞こえてしまった。」
「今、『遊ぼ〜』って言ったよね…?」
ギュッと、美竹の手を掴む力が強くなった。
「は、ははは、まったく、何で遊ぶつもりなのかな?もしかして俺達の魂とかだったりする?だとしたら子供にしては遊びのレベル高すぎなんだけどwww」
(どうしよう、頼みの綱の渡辺が壊れてきた……、)
そして、再び扉を叩く音と子供の囁くような声が聞こえてくる…。
『ネェ…アソボ〜ヨ〜…』
「《゜Д゜》うぅぅうるっせェぞぉぉ!!ガキィ!?!?」
「渡辺!?」
隣から驚きの声が聞こえてきたが構うものか!もうここまで来たらヤケクソだ!どうせこのまま2人ともつれて逝かれるんだろ!?だったら最期まで生者の意地の抵抗見せてやんよ!!!!
「(ꐦ°᷄д°᷅)子供がァ!!!!こんな時間帯にうろついてんじゃないよォ!!!!??テメェ何時だと思ってんだァァ!!!!??」
アドレナリンと最近覚えた腹式呼吸で予想以上の声量が出た…。
『アソボ〜…、あs「(ꐦ°᷄д°᷅)体格差考えて物言えやぁあ''あ''!!!!??どんな教育受けたんだァァァ!!!!??ナメてんのかア゙ア゙ア゙!!!!??」…エェ??』
(すごい、唐突にキレだした渡辺に幽霊の方がなんか戸惑ってる…。て言うかこれってチャンスなんじゃ…。)
「バカガキゴラァ!!早く家帰れやぁ!!家族が待ってるだろぉ!!?」
「ねぇ渡辺、今ならこの教室から出れるかもしれない!」
「え、まじ??」ッス
「うん、渡辺が発狂してから扉を叩く音がしなくなったし!今のうちに早く行こう!」(切り替え早っ…!?)
そう言って美竹は俺の手を掴み、走り出す。
そして勢いよく扉を開け、そのまま廊下をダッシュで駆け抜けた。
「やっぱり!大丈夫だった!ナイス渡辺!!」ダダダ
「え?俺なの!?」ダダダ
それから俺達は体育館の所まで全力で走った。
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「や、やっと体育館ついた…。」ハァハァ
「……、」
「モカ達はまだ着いて無いみたいだね…」
「……、」
「?どうしたの?」
「……め、めっちゃ怖かった…(;_;)」
何も言葉を発しない俺に疑問を持った美竹が声をかける。俺はそのタイミングで先程まで強ばっていた体の力が抜けてしまい、とうとう弱音が零れてしまった。
「たしかに…、叫んでた時も手、震えてたしね…。」
「は、そうだよ。暗いとことか、幽霊とか、ほんと無理なんだよ。ごめんね、男らしくなくて。」
なんか自分で言ってて悲しくなってきた。
「…でも、渡辺がいなかったらあたしは何も出来なかったし…、あのままだとどうなってたか分かんなかった。」
「…?」
「ああやって渡辺が勇気出して叫んでくれたから、あたしも動く事ができた…。」
「…、」
「だ、だからその…なんて言うか、//渡辺は充分男らしいから、そんな風に思うのは違う…と、思う。//」
まさか、こんな俺に、美竹が優しい言葉を送ってくれるなんてな…。
「…、ップはははっ、」
「ちょっ、何笑ってんの!//」
「いや、まさか美竹からそんな励ましが来るとは思わなくてな」ハハハ
「もうっ、そんな事言う渡辺は知らない、!」プイ
「ハハハ、悪かったって。」
「おや〜、まさかの2人が先に来てるなんて〜。」
そうこうしているうちに青葉達も体育館に到着し、無事に合流することができた。
「2人ともどこ探しても見つからなくて心配したんだからね!」
「いや、元はと言えばお前らがバラバラに行動するから…、はぁ〜、もういいや、その他諸々の愚痴は外に出てからだ。」
「あはは…。」
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体育館
「やっと帰れる…。」
「ほんとに出られるんだよね…?」
(ねぇモカ!)
(何かな〜ひーちゃん?)
(蓮くんと蘭なんか距離近くない??)
(あ〜、それあたしも思った〜♪)
(2人でいた時絶対なにかあったよね!!)
(これはくっつくのも時間の問題なのでは〜?)
「おい、何話してんだ2人して、」
「「なんでもな〜い♪」」
こいつらのなんでもないって全然信用出来ないんだよなぁ。
「あ、あれ!?明かりが!」
すると突如、羽沢の持っていたライトが点滅し、その後つかなくなってしまった。
「ど、どうなってるの!?」
「か、懐中電灯が壊れちゃったみたい…!」
「嘘でしょ…、なんでこのタイミングで…」ギュ
美竹さん急に俺の服掴むのやめてもろていい!?めっっっっちゃ焦るから!!
「ちょっと待ってろ!今スマホの灯りを…!」
「おお!蓮ナイス!」
しかし、何故か俺のスマホの電源がつかない、
「はい、悲しいお知らせです。何らかの現象によりスマホの電源がつかなくなりました!」
「「「「なんでーーー!!」」」」
俺が聞きてぇよちくしょう…
「これじゃあ非常口の場所も分からないよ…」
「もう、あたし泣きそう…。」
「ひーちゃん泣かないで、よしよし。」
「おい青葉、それは俺の頭だぞ??」
「あれ?ごめん」
「うぅ、みんな、あたしのせいでごめんね…」
うーん、どうしよう、しっかりその通りなんだけどこの状況だと『それな!!』とか言えないよな…。
すると、美竹がある事に気づく。
「…あれ?風が吹いてる…、てことは開いてるドアがあるって事じゃない!?」
「美竹…お前って実は天才??」
「風が吹いてきたのってあっちの方だよね?行こう!みんな私につかまってついてきてっ、」
「やべぇ羽沢の頼もしさが桁違いでやべぇ。」
こうして俺達は羽沢の後を追う形でついて行った。
しかし、しばらく歩くと風が止んでしまい、どこから来ていたのかわからなくなってしまった。
「あれ、?たしかこっちからだったと思うんだけど…。」
『こっちこっち〜!こっちだよ〜、』
「あ?…こっち?」
「ちょ渡辺!急に動かないでよ!」
すると、パッと急に羽沢の持っていたライトの明かりがついた。
「あれ?急に直った…。接触が悪かったのかな…。」
「あ!非常口ってこれじゃない?」
「あ、ほんとだ…!ひまりちゃん教えてくれてありがとうっ!」
「よし、こんなところ早く出よう!…あれ?」
「は?もしかして…鍵…?」
「外側からかけられてるな、、」
はい、詰みです。対戦ありがとうございました。またのご来店お待ちしております(???)
「…蹴ったら開いたりしないかな…?」
「ちょ!ダメだって!」
「思考が脳筋すぎる…。」
「すみませーん!誰かいませんかーっ!!開けてくださーい!」
いや、それで開いたら苦労しないんだよ…。
ガチャ…
いや、なんやね〜ん。
「あ、開いた!?警備員さんが開けてくれたのかな?」
「た、助かったァ…」
「すみません、開けていただいて、ありがとうございます!」
羽沢が丁寧にお礼を言ったが、そこには誰もいなかった…。
「あれ?外、誰もいないよ〜?」
…てことはつまり…誰が開けたんだ…?
「ホントにもう、勘弁してよ…っ!」
ああもうやめてあげてェ!!美竹のライフはとっくにゼロよ!!
「…思い出した。七不思議の7つめ…。」
「…なに…?『非常口の鍵が勝手に開く〜』的なやつだったらまだ許すけど??」
「…夜な夜な生徒の幽霊がうろついてるんだって。遊び相手を探して、いろんなイタズラをしてくるって言う…」
「……、」
「あ、あれ?今、誰か通り過ぎたような感じしなかった…?」
全員「……、あああああああああああぁぁぁッ!!!!」
それから俺達はひたすらに走りさっていった。
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そして帰り道、みんなと別れ今は美竹と一緒に家に帰っている。
「クッッッッッソ酷い目にあった……。」
「うん、ひまりにはもう二度と忘れ物をしないで欲しい…。」
ほんとに今日はあいつのせいで酷い目にあった。特に教室での出来事なんて思い出すだけでゾッとする。
ん?待てよ?何か引っかかる…。
「……、、」
「渡辺、なんでそんな難しい顔してんの?」
「いや、さっき青葉が生徒の幽霊がどうのこうの言ってただろ?てことは最後のあれはウチの学校の生徒だった人、つまり俺らと同じぐらいの人だった、ってことになるよな?」
「うん、」
「そんでさ、俺達が教室で会ったやつは明らかに小学生みたいに幼かったよな?」
「…つまり教室のあれは七不思議の最後のやつとは違って、特に関係はなかったってこと…?」
「そ、そうなってしまう…。」
「え、じゃああれって一体…、どこから来たのかな…。」
「……よくわからんけどウチの学校みたいに変な事が起きる学校って、そういう奴らを引きそせるみたいな噂聞いたことあるわ…。」
「「……、、」」
「…こ、この話辞めましょぉ…。」
「……全面的に賛成。」
今日はもうあれだ、家に帰ってゆっっっっっっくり休もう。
そう決意し、俺も美竹も家へと帰還した。