12月24日…、とうとうこの日が来た。
「いや〜、楽しみだね〜。」
「蓮の喜ぶ顔が楽しみだなー!」
「ひーちゃん達買い出しまだかな〜?」
そう、今日は渡辺の誕生日だ。あたしはこの日を''みんな''で祝ってあげようとサプライズを計画し、今はつぐみの店で最後の打ち合わせをしている。
「みんなー!おまたせー!!」
「おー!きたきた!」
「おかえりひまり。…それに''佐藤''と''鈴木''も。」
「いやー、ちょっと買いすぎたかもなw」
「まぁこの人数だし食いきれるってw」
「わ〜…こんなにたくさん食べ物が〜」ジュルリ
そう、渡辺と特に仲がいい佐藤と鈴木も''みんな''の中に入っている。2人が言っていた部活の集まりなんてものはもともとなく、あたし達の計画に協力するためのウソだったらしい…。うん、頑張って誘って良かった…。
「食べ物よし、飲み物よし、そして…プレゼントよし!」
「すべての準備は整ったぞ、美竹さん。」
「うん…。それじゃ、あとは時間になったら渡辺の家に行くだけだね。」
今の時間は5時、渡辺の家に行くのは6時頃だから、まだ時間はある。
「あ''あ''ぁぁぁあ!!!」ドサッ
「うわぁ!びっくりしたァ!」
時間の確認をしていると突然、ひまりが悲鳴をあげその場に座り込んでしまった。
「ちょっとひーちゃん、なに急に猿が轢き殺されたみたいな声出してんの〜?」
「み、みんなぁ…、これ、見てみて…。」
そう言ってひまりはあたし達にスマホの画面を見せてくる。どうやらTwitterを見ていたらしい。
「え〜?別に変なやつなくな〜い?」
「こ、この蓮くんのツイートだよ…。」
「えっと…なになに?」
そこには渡辺のあるツイートがあった。
『なんだろう…。ちゃんと暖房ついてるはずなのに…、なんか、、寒い…。』
この文章と一緒に誰も写ってない殺風景な部屋の写真が投稿されていた。
みんな「「「「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」」」」
「こ、心がァァァ…」
「潰れる!潰れるってこんなの…!、」
「…そう言えばあいつ、この前『クリスマスボッチ確定…』って教室で1人呟いてたような…、」
「俺達もクリスマス予定があるってことになってたからな…。」
「まさかクリスマスに家族すらもいないなんて……、」
「あ〜、確かに前に弟くんに連絡したら『クリスマスは自分も予定あって〜』みたいな事言っていたな〜。」
「さ、サプライズってこんなに心痛めるものだったかな…。」
「…み、みんな、まだ予定の時間じゃないけど…もう渡辺の家に行かない…?」
「そ、そうだね!早く行ってあげないと!」
「あんなツイートしてるってことは多分相当心やられてるぞ…。」
「…あいつ家で1人泣いてんじゃねぇかな…」
予定よりだいぶ前の時間だけど、あんなツイート見たら待ってられなくなり全員荷物をもって渡辺の家に向かった。
(待ってて渡辺、今行くから…!)
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誰もいない家で、ゲーム音だけが響く。もう今日は起きてからずっとこんな感じな気がするような…なんか食べたっけ…?
「確か下にカロリーメイトあったような…。」
そう思い1階に降りて色々物色してみる。
「ああ、そう言えばカロリーメイト昨日でもう食い切ったのか…。」
何もないことがわかったところでどうしたものかと悩んでいると、
\ピンポーン/
突然インターホンが鳴る。ゲーム音しか聞いてないもんだからやたらとでかく聞こえるな…。
\ピンポーン/
「いませんよー!留守ですよー!」
出るのも面倒なので居留守を選択するが、、
\ピンポーン/
「…ったく、しょーがないな…」
しつこく鳴り響くので仕方なく出てやることに。
(ったく翔のやつなんか頼んだのか??)
ガチャ「はぁーい、なんd『誕生日おめでとーーーう!!!』……え?」
ドアを開けるとそこにはいるはずのない奴らが集まっていた。
「ていうか蓮!お前出んの遅いんだよ!」
「もしかしたらいないんじゃないかって心配したんだからな!」
「え、、ちょ、、はい??」
「あ〜寒〜い。れー君とりあえず入れてぇ〜」
そう言ってそそくさと入ってくる青葉、
「おじゃましまーす!」
「蓮君おじゃまするね!」
「あたしも入るぞー。」
続いて上原、羽沢、宇田川が入ってくる。
「そんじゃ俺らも!」
「じゃまするぞ〜蓮。」
鈴木に、佐藤まで…。
そして、最後に残っていたのは…1番可能性がないと思ってた美竹だった。
「な、なぁ美竹…、」
「?どうしたの?」
「こ、これって一体…、どういうことだ…??なんでみんなが家に来てんだ…?」
「なんでって…、それは渡辺の誕生日祝いに来たに決まってるじゃん。」
「いや、だって、、お前らみんなクリスマス予定あるって、、」
「はぁ〜、まだ自分がサプライズされたって事が分かんないの?」
「さ、サプライズ??」
「そ、あたしが言ったことも佐藤達が言ったことも全部この日のためのやつだったってこと。まぁそのせいで渡辺には少し寂しい思いさせたかもしれないけど…。」
「……ま、まじかよ…」
「ほら、あたし達もいこ、みんな待ってるよ?」
「お、おう…」
そう言われ、俺は美竹と一緒に家の中に入った。
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「えーっと、それでは改めまして、」
『(渡辺、蓮、蓮くん!!!)お誕生日おめでとう!!!』パァン!!
1階のリビングにて、みんなからの祝いの言葉とクラッカーを頂きました。未だに混乱中の渡辺です。
「おいおい、主役がなにポケーっとしてんだよw」
「いや、未だに信じられなくてな…(; ;)」グス
「いやww今度は泣くんかいwww」
「うるせぇよ!こんなん、耐える方が無理だわ…」ボロボロ
ここに来てこんなにどんでん返しが来るなんて誰が予想出来たか…。
こちとらさっきまでメンヘラ1歩手前だったんだぞ!!そこからこの急展開だぞ!?しかも今までこんなに大人数で祝って貰ったことも無く!ましてやその中に自分が好きになった人まで来てくれたんやぞ!!おまっ、そりゃ泣くって!!!
「ま〜ま〜れー君や、今はみんなでご馳走を食べながら楽しも〜よ〜。」(・u ・)ŧ‹”ŧ‹”
「そうだよ!あ、ちゃんとケーキもあるからね!」
「あ、あったけぇ…、なんてあったかい空間なんだ…(; ;)」
「おーい、誰が蓮にハンカチを貸してやってくれ〜。」
それから先は、なんて言うか、、最高の時間だった。誕生日にみんなが家に来てくれて、美味いご馳走を食べて、笑い合いながら談笑して、幸せってこういう時間のことを言うんだろうなぁ…。
「あ、そうだ、ほいこれ俺と佐藤からのプレゼントな!」
「はぁ!?プレゼントまであんのぉ!?」
「当たり前だろーが。」
「とりあえず開けてみ。」
2人からのプレゼントを開けてみると中にはゲーム用のヘッドホンが入っていた。
「この前『ヘッドホンの調子が悪い』って言ってただろ?」
「そんなわけで買いました。はい感想は?」
「泣きそう。」
もうなんなの、こいつら……。こんな友達持ててもう最高だわ…。
「あ!もうプレゼント渡してるー!」
「お〜、それじゃ〜モカちゃんも渡そうかな〜。」
「え、青葉まで!?」
「あたしだけじゃなくてみんなあるよ〜。」
歓喜。
「はい、れー君おたおめ〜。」
そう言って青葉が渡してきたものは…
「ん?なんだこれ??」
「ふっふっふ〜、あたしが通ってる山吹ベーカリーのクーポン券だよ〜。」
「こ、こんなに…。」
「あそこのパンは格別だかね〜。れー君も行ったことないならそれを使ってたくさん買って食べてみてね〜。」
「あ、ありがとな。今度行ってみるよ。」
「うむ、よろし〜。」
まさか青葉からプレゼントを貰えるなんて…思っても見なかったよ…。
「よーし!じゃあ次は私ね!」
それから上原からは香水、宇田川からは俺がラーメン好きという事でラーメンの無料券、羽沢からは綺麗なデザインのマグカップを貰った。
そして、美竹からは…
「はい、これあたしから…。」
美竹からは紙袋を渡された。中身を確認してみると…、
「ん?これ、マフラー?」
「うん。渡辺に似合いそうなやつを選んだ。」
「そ、そっか…ありがとな。大事にする。」
あーくそ、ダメだ嬉しすぎて心臓が跳ねてる。仕方ねーよな。だって自分の好きな人からプレゼント貰えるんだ。たとえその人が別に好きな人がいたとしても…。
「えー!蓮くんそれだけー?」
「うお、びっくりした…。え、なに?」
いきなり上原が詰め寄ってくる。
「そのマフラー見てなにか気づかない?」
「ちょっ//ひまりっ//」
なぜか焦り出す美竹。俺は貰ったマフラーをもう一度見てみる。
うん、なんだろう…このマフラーの生地、見覚えが…、
「そのマフラー、蘭が持ってるやつの色違いなんだよ!」
「…え?」
「……///」
確かに…、言われて思い出した。上原達は知らないと思うが美竹が今使ってるマフラーは俺が良いと思って選んだものだ。だからこの生地に見覚えがあり、初めて見る感じがしなかったのか……。
「そっか…、美竹とお揃いだな…」
「う、うん。まぁたまたまだけどね…///」
「え〜?蘭ったらそれ見つけた瞬間『これが良い…!』って言ってすぐ会計に持っていったじゃーん。」
「ちょっ、、///余計なこと言わなくていいから!」
美竹達が騒いでいる中、俺はこのマフラーをずっと大切にしてようと心に決めた。
その後もみんなで楽しく話したり、ゲームをしたりして、楽しい時間が過ぎていった……
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「よっと、それじゃあ蓮くん、また今度ね〜!」
「おお、今日はありがとうな〜。」
気がつけば楽しい時間は終わってしまい、遅い時間帯になってしまった。みんなもこれ以上遅くなるとまずいと思い、そろそろ帰ってしまうそうだ。
「また年末集まろーな、蓮。」
「はは、そうだな。」
「そんじゃーなー!」
「おう。」
そう言ってみんなは帰ってしまった。
ただ1人を除いて…。
「それにしても良いのか?美竹、片付け手伝わせて…、」
「大丈夫、家すぐそこだし、それにあたしがしたいからやってるだけ。」
そう、なぜか美竹だけ家に残りあと片付けを手伝うと言い出したのだ。
「あと、家に帰っても誰もいないから…、もう少し居させて…。」
「お、おう。」
ブルータス、お前もか…。
そう言って俺達は片付けを済ませた。1人だと時間かかってたかもしれないが2人でやると案外早く終わるもんだな。
片付けを済ませた俺達はリビングのソファーに座り、今日の事を話していた。
「今日、渡辺はその、どうだった?」
「どうって…、最高の時間だったよ。まじでありがとな。あと、マフラーも。大切に使わせてもらうよ。」
「…そっか…、やっぱりサプライズにして正解だったかも…。」
「もしかして今回のこれは美竹が考えてくれたのか…?」
「うん、鈴木に誕生日聞いた時に思いついたんだ。」
「そうだったのか…」
まさか今回のサプライズは美竹が考えてくれたなんて…。しかもプレゼントまで……、
突然ですがここで問題、自分が好きになってしまった人から誕生日をサプライズで祝って貰ったらどうなってしまいますか?
A、嬉しくなってもっと好きになる。
実に単純で当たり前のことだ。
……正直俺は美竹に自分の思いを伝えるか迷っている。伝えたところでそれが実るわけないし、傷つくだけかもしれない。
だがここで佐藤の言葉を思い出す。
『告白しないで後悔するより、告白して後悔した方いいんじゃないのか?』
告白をしたところでただ傷つくだけ。でも告白をして、美竹からキッパリと断られることで俺も納得して諦められるんじゃないか?傷つきはするけどもうこんなにモヤモヤして悩まなくて済むし。今ここで言ってしまえば楽になれるんじゃないのか?
そう思ったら、俺の口は勝手に言葉を紡いでいた……。
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side蘭
さっきから心臓がうるさい…。顔赤くなってないかな…?
2人になってからずっとこればっかりだ…。それぐらい今のあたしは緊張していた。だって今日は渡辺の誕生日を祝うと同時に、あたしが渡辺に自分の思いを伝えようと決めた日だから…。
(や、やっぱり今日じゃなくても……、いや、もう決めたことだし、逃げちゃダメ…!)
こればっかりはあたしからちゃんと告白したい。
今思えば1番最初にあたしに話しかけてくれたのは渡辺だし、それからあたしがクラスに馴染めるようにしてくれたのも、あたしが父さんやみんなと喧嘩してた時に相談に乗ってくれたのも、LINEの時だって、全部渡辺が''先''に動いてくれてた。あたしはただそれにずっと助けられてただけ。
相談に乗ってくれた時なんて1度は関係ないって言って突っぱねたのに…。それでも渡辺はどかなかった。
だから今回こそは、あたしから''先''に行くんだ……!
「ッフーー、ねぇわt「美竹、俺、お前の事…、ずっと好きだった…。」……え…?」
それはあまりにも突然の出来事で、あたしは何を言われたのか理解できず、石像みたいに固まった。
そして、そんなあたしの事は関係ないと言わんばかりに、彼はその後も言葉を紡いだ…………
えーーーっと、次で終わりです…。