隣には反骨メッシュ   作:外道堕落

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気づいて!!!

 

 

 

 

 

「う〜ん…。」

 

最近あたしには悩みがある。それは…

 

「唇が乾燥してすごいパサパサする…。」ゥー

 

教室にいるというのについつい口に出てしまう。このまま酷くなると歌う時とかにも影響してきそうだし…、どうしよっかな…。

 

「おやおや〜?美竹さーん、困っているようだねー?」

 

「っわ、安達さん。」

 

あたしの独り言を聞いていたのか、安達さんが空いている前の席に座り話しかけてくる。

 

「美竹さんって''リップ''とかあまり使わないかな?」

 

「リップ?」

 

「ちょっと待ってて!貸してあげるね!…じゃーん!こんな感じの奴だよ!」

 

そう言って安達さんはリップを取り出し、あたしに渡してくる。

 

「へぇ、こんなのあるんだ…。」

 

「そうそう!これを使えばもう唇はプルップルになるんだよ!さーさー、早速使ってみよう!」

 

「わわ、ちょっと!」

 

安達さんはいきなりそのリップをあたしの唇に塗ってきた。自分でやるとそうでもないんだけど他人からやってもらうとなぜか少しくすぐったい。

 

「出来た!おぉ〜!すっごい似合ってるよー!美竹さん今めちゃくちゃ可愛い〜!」

 

「そ、そうかな…//」

 

安達さんから鏡を借りて自分の顔を見てみる。すごい、さっきまでパサパサだったのにこれを塗っただけでかなり潤ってる。

 

「……。」

 

「気に入った?それ。」

 

「…うん。すごく。これってどこで売ってる?」

 

「あーそれもう美竹さんにあげるよ!」

 

「えっ!?さすがに申し訳ないよ…!」

 

「大丈夫大丈夫!私沢山持ってるから!」

 

「そ、そうなんだ…。……ありがと。」

 

「どういたしまして!いや〜こんな可愛い美竹さんを渡辺君が見たらもうメロメロになっちゃうんだろうな〜」

 

「いや、さすがにそこまでは…。」

 

「そんな事ないよ〜、絶対『可愛い』って言ってくれるって〜。」

 

 

''可愛い''か…。思えばあたし付き合ってから蓮にそんな事あまり言われてないような…。この前の猫に取り憑かれた時のやつは多分意味合いが違ってくるだろうし…。

 

 

※当の本人はものすごく思ってるけど口にはあまり出していない。

 

 

蓮は…あたしの事可愛いって言ってくれるかな…?

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

放課後…、

 

 

「蓮、今日ってバイト?」

 

「いや、休みだな。久々にゆっくりできる。」

 

「じゃあ一緒帰ろ?」

 

「はいよー。」

 

 

今のところはいつも通り…。まぁ蓮は少し鈍感なところもあるし、そんなにすぐ気づくなんて思ってない。想定内、想定内。

 

 

帰り道、、

 

さっきから普通に会話してるけどやっぱり気づかない。

 

「ん、んん、、」

 

「?」

 

軽く咳払い(フリ)をして少し自分からアピールをしてみる。

 

「そ、そう言えばこの時期って乾燥する季節だよねー。」

 

「…?お、おう。まぁそうだな。…どうしたいきなり?」

 

「…っ!い、いや、、最近その…、『唇』とかかわいてくるな〜、とか…。」

 

「……唇…?」

 

「(さ、さすがにここまで言えば気づくよね…)」ドキドキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そーなんだよなー。俺もこの季節だと唇バッキバキになっちゃうんだよなー。しかもあれ中々治んないし。」

 

「…ッ」(ガクッ)

 

気づいてない…。それっぽい間はあったけど全く気がついていない…。

 

せっかく勇気だしてアピールしたのに…!そこは気づくところでしょ…蓮のバカ!鈍感!ゲーオタ!

 

 

 

(……こうなったら、、なんとしてでも気づかせてやる…!)

 

 

(……なんか今すごい罵倒されてるような気がする……、何で?)

 

 

 

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その日の夜、家でシャワーを浴びている時……。

 

 

「気づかせると言ってもやっぱりリップだけじゃ分かりにくいのかな…?」

 

どうすれば蓮に気づいて貰えるか考えていると……

 

「…?このシャンプーって…。」

 

頭を洗おうと思ってシャンプーを取ろうとすると、見覚えのないシャンプーが置かれていた。多分母さんが新しいやつを買ってきたのかな?少し手に取ってみると…

 

「っ、すごい、いい匂い…。」

 

今まで使っていた物より断然いい匂いがした。

 

「…ッ!これならきっと蓮だって…!」

 

 

 

 

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翌日…

 

 

「おはよ、蓮。」

 

「おっす〜蘭。」

 

いつも通り2人で集合して学校に向かう。

 

「き、今日はなんて言うか、昨日より風が冷たくないような気がしない??」カミサラァ

 

早速昨日のリベンジと言うことでアピールをする。

 

(ど、どう…?リップにプラスしてシャンプーも変えたしさすがに気がつくでしょ?ちなみに昨日使ったシャンプーはいつものやつより値段が結構高かったって母さんも言ってたし、匂いだって強い!この甘い香りをかげば……)

 

 

「は、は、ブェックショイ!!!そうかぁ?俺は一段と冷たくなったと思うんだが…。」グズ

 

「…………」

 

シャンプーの匂い、くしゃみに一掃されたんだけど…。

 

(な、なんで気づかないの!?こんなに匂いが違うのに!こんなに近づいてるのに!)

 

「〜〜〜ッ、、」

 

彼氏の鈍感さに頭を抱えざる負えない…。

 

(……な、なんなんだ?昨日から……)

 

 

結局、放課後になっても蓮があたしの変化に気がつく事は無かった。

 

 

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(1回落ち着こう。そう言えばこの前ひまりがリップやシャンプーくらい気づかない事があるって言ってたような気がするし…。……多分だけど…。と、とりあえずこれじぁ蓮が気づかないのも無理はない…。)

 

 

「こ、こうなったら…。」

 

「おーい蘭〜。そろそろ帰ろうぜ〜。」

 

「ごめん、今日ちょっと用事があるから先に帰るね!」

 

蓮の誘いを断り、あたしは先に教室を出る。

 

「お、おーう。そっかァ…」(俺なんか悪い事した〜?)

 

速攻で断られて少し落ち込む蓮をよそに、あたしはある人に電話をかける。

 

「もしもしひまり?ちょっと今日ひまりの家行ってもいい?」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

また翌日……

 

「おっす蘭。…なんか目がぎらついてんだけど、大丈夫か?昨日ちゃんと寝たのか?」

 

「大丈夫…!早く学校行こう…!」

 

(今日こそは絶対に気づかせる…!)

 

(……明らかに様子がおかしい……。なんなんだ全く…。)

 

 

昨日に引き続きリップとシャンプーのアピールもしたけど案の定蓮は全然反応しなかった。でも今日は昨日ひまりからやって貰った秘密兵器がある…!

 

 

教室に着き、席に座ると早速それを見せる。

 

 

「ね、ねぇ蓮。この前借り現国のプリント返すね。」

 

そしてあたしは指先の''爪''を強調させながらプリントを蓮に渡す。なぜ爪を強調しているのかと言うと、昨日ひまりにネイルをやって貰ったからである。急なお願いで悪いと思ったけどたまにひまりもやってたの見てたし、これなら分かりやすくて気づくはず!ひまりも『可愛く塗れた!』って言ってたし、大丈夫…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう。」パシ

 

「……………………」

 

「ん?どした?」

 

無言で蓮の頬をつねる。

 

「いでででででで!!!!な、何すんのいきなり!?」

 

「感想は?<●><●>」ギギギギ

 

「痛いです!すっごく痛いのでやめてくるぇ!!!」

 

 

もうっ…!どうして気づいてくれないの…!?もしかして気づいてはいるけどリアクションするに値しないの…!?どっちにしてもムカつく…!

 

それともあたしなんかがこんな風にオシャレするのはやっぱり似合わないとか…!?良いじゃんあたしだってたまにはオシャレしたって…!!

 

 

(こうなったら…、こうなったら…!!)

 

 

 

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週末の休みを挟み月曜日、

 

 

あたしは蓮より先に教室に着いて待っていた。

 

「あれー!?美竹さんの''メッシュ''の色が変わってるー!!」

 

いち早く変化に気づいた安達さんはあたしに話しかけてくる。

 

そう、あたしはこの週末を利用して自分のトレードマークと言っても過言ではないメッシュの色を赤色から明るいピンクに変えて来たのだ。

 

「なになにー?どうしたの美竹さん!イメチェン?」

 

「ま、まぁだいたいそんな感じ」(大嘘)

 

(さすがにここまで変えれば分かるでしょ…!こんなに大きな変化なら無視はできないはず…!)

 

ガラガラガラ「うぃーっす。」

 

安達さんと話していると蓮(ターゲット)が気だるそうに教室に入ってくる。

 

「おはよ、蓮。なんか今日は遅かったんじゃない?」

 

「いや〜、明日までの提出の数学の課題をやってたら遅くなっちまってなぁ」フワァ

 

「へぇ、そうなんだ…別に明日までならそんなに早くやる必要なくない?」

 

「まぁ早く終わらせるに越したことはないだろ?」

 

「それもそうだね。」

 

 

……

 

………

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

あれ?

 

(無視ッ!?嘘でしょ!?これでもダメなの!?)

 

「え、えっと…蓮?」

 

「??」

 

「き、今日のあたしについて何か言うことは…?」

 

「……はぇ??」( ・ ∇ ・ )ポカン

 

「な、なんでも良いから…」

 

「えぇ??…………喉の調子が良さそうで??」

 

何その答え…!?

 

 

結局このまま気づかれる事無く、昼休みに入る。最近あたしと蓮は偶にだけど昼休みに一緒にお昼を食べるようになった。今日も2人で昼休みを過ごす予定だ。

 

(う〜、メッシュって結構あたしのチャームポイントだと思ってたのに…)

 

弁当を食べながらそんな事を思っていると…

 

「あれ?蘭の弁当に入ってるウィンナー今日はタコさんウィンナーなんだな。先週までは普通のやつだったのに。いや〜久々に見たわそれ。」( ˙༥˙ )もぐもぐ

 

 

なんで弁当の変化にはそんなに敏感なの…!タコさんウィンナーなんてあたしも今初めて知ったんだけど!

 

なんなの!あたしの変化はタコさんウィンナー以下って事!?ムカつくーーー!!!

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

放課後、帰り道……

 

 

「……」ムカー

 

「……」スタスタ

 

「渡辺蓮さん…!」

 

「ッ!?!?!?!?は、はい!」

 

「いきなりだけど、か、彼氏としての蓮の力をテストするから!ここ最近であたしの変化したところをすべて答えて!」

 

「(いきなり何言っちゃんてんのこの子…)は、はぇ??」

 

 

そんな目で見ないで、自分でもこんなのおかしいって分かってる…。

 

(なんか、なんだろうこの気持ち…、蓮風に例えると…、消えてなくなりたい…)

 

「どっか変わったか?」

 

「はぁ?」

 

「いやいやいや!すごい、すごい変わったと思う最近!!うん!間違いないよ!えっと、えぇっと……あ!身長伸びた!?」

 

「そんなに急に伸びない。」

 

「最近ギターの調子がいい!」

 

「いつも通りだけど」

 

「か、髪を切った!」

 

「切ってない」

 

「あとは、あとはァ…、あ!最近ちょっと体じゅ「あぁ?」た、た、大樹を見つけたとか、かなぁ(^^;;;;」ガクガクガク

 

 

 

……もういいや。期待してたあたしがバカだった。

 

 

 

「……う〜、だって、先週からリップつけたのはちげぇだろ?」

 

「……え?」

 

「ん?」

 

「そう、だけど。」

 

「え!?変化ってそれの事言ってたの!?」

 

も、もしかして…

 

「……じゃあシャンプー変えたのは?」

 

「あ、あぁやっぱり変わってたのか…」

 

「……ね、ネイルは?」

 

「い、一応気づいてはいたけども…」

 

「じゃあなんでその時言ってくれなかったの!」

 

「えぇ!?そう言うのって言わなきゃダメなの!?」

 

なんと蓮はあたしが先週からやってた事に気づいていた。でもどうリアクションすれば良いのか分からず指摘しなかったらしい。

 

 

「俺今までこんな経験したこと無いんだからそんな分かるわけねぇだろ!!」

 

「だとしてもノーリアクションは無いでしょ!そっちからしたら些細な変化かもしれないけどこっちからしたら重要な事なの!それとも全然似合ってなかったの!?」

 

「……いや、そんな事は全然全くないよ…。ただこう、やっぱり直接口で伝えるのは恥ずかしいと言いますかハードルが高いと言いますか…」

 

「変なところでヘタレだよね、蓮って。」

 

まぁ蓮だし、別にもう良いけど。

 

「ぐっ、、ま、まぁあれだ。色々遅いんだろうけど、似合ってたし''可愛い''って思ったよ////」フイッ

 

「……ッ///そ、そう//それなら良い//許す…//」

 

「さいですか…。」

 

いきなりそんなこと言う蓮はずるいと思う…。

 

「じゃあこのメッシュにはとっくに気づいてたってこと?」

 

「…メッシュ?……あれ!?!?いつもと違う!?!?」

 

「…え?気づいてなかったの?」

 

そんなことってある???

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

 

 

 

 

あれからしばらくしてお互い落ち着きを取り戻す。

 

 

「て言うか蘭、なんでいきなりそんなオシャレに目覚めたんだ?」

 

「……だって蓮ってあまりそういう事口に出さないじゃん…。」

 

「……」

 

「それに、あたしから蓮に抱きついたりとかはするけど蓮からは1回もそういうのないし…。」

 

「……」

 

「こっちだって、少し不安になることもある…。」

 

「……」

 

「……蓮?話聞いて「ギュッ」……え?」

 

さっきから無言でいた蓮がいきなり抱きついてきた。

 

「ちょ//いきなり何//」

 

「…いや、何となく。」

 

「……//」

 

「別に蘭は今までのままで十分可愛いと思うぞ?」

 

「っな//」

 

「まぁオシャレした蘭も別に可愛くないって訳じゃないが、どっちにしても可愛い事に変わりはない。」

 

「…い、いきなりすぎ…」

 

「それについこの間俺の中の''可愛い''で蘭の右に出るものは誰一人としていなくなったから別にそんなに不安になる事はないぞ?」

 

「わ、分かったから//もう十分蓮の気持ちは伝わったから//」

 

 

さっきまでそれ言うのにすごい恥ずかしがってた癖に!反則でしょ!

 

 

「なんだよー、不安だっつーからそれが消えるまで言ってやろうと思ったのに〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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