蓮「…、はぁ〜、暇だなぁ。」
佐「暇だねぇ〜。」
鈴「ね〜。」
ある日の昼休み、屋上でそんな事をつぶやく。
蓮「お前がさっきの授業でスマホバレなければこんな事にはならなかったのによ…。」
そう、いつもならスマホで時間を潰せたのだがあいにく今は手元にない。理由はさっきの授業でこっそり俺、佐藤、鈴木、そして最近仲良くなったクソゲー大好きからすま君の4人でゲームをしていたのだが佐藤が先生に見つかったせいで俺達全員没収されたわけだ…。
佐「はぁ?俺だけのせいじゃねぇだろ?てめぇらもうるさかったわ余裕で。」
鈴「うるさくなんかしてねぇだろ!」
蓮「そーだそーだぁ!」
佐「そんじゃあ1回授業中のこと思い出してみようぜ?その後で1番悪かったやつ袋叩きな?」
「「授業中…?」」
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━
佐『ま、まだ俺のターンは終了してないぜぇ!!!!はぁ!』
蓮『(゚Д゚)<それぇ!!!!ロン!!!!』
佐『ア"ア"ア"ア"ア"!!!!』
鈴『バカヤロォがあああああああ!!』ドン!!!!
か『石投げちゃおっと♪』
佐『もう何出して良いかわっかんねぇよぉぉぉ!!!!』
蓮『弱わいねぇぇぇぇ君ぃぃぃぃ!!!!』
佐『ざけんじゃねぇよクソがア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙』ドンドンドン!!!!
蓮『バカバカカスカスチリノミダニカスクズ弱クソチリノミダニカスクソゴミダニダニカスチリ』
鈴『暴言のエレクトリカルパレードやぁ!!!!』
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━
蓮「え、全員悪いじゃん。みんな袋叩きにされんぞ。」
佐「今の話はなかった事で。」
冷静に考えたらやばすぎた…。何あれ?『隠れて〜』とかそんなレベルじゃないじゃん。堂々とやってんじゃん。なんなら軽く授業妨害だろ、周りの人ドン引きしてたわ…。よくスマホ取られるだけで許されたな。担任やっさしー。
蓮「麻雀やってる人のテンションじゃなかったな…。」
鈴「からすま君に関してはあれ本当に石投げてきたからな。」
1番害児やん…。
蓮「なに?あいつ石好きなの?」
佐「正確には石を投げる緑色の機体が好きらしい。」
鈴「あと動画編集も好きだろアイツ。」
蓮「ゲーセン行ってこいコラ。」
今後は授業中に雀魂すんのはやめておこう。
蓮「はぁ〜、なんかない?このまま昼休みを無駄に過ごすのはさすがに嫌だ。」
ベンチの背もたれに力なくおっかかる3人…、まじで本当に暇だ。
佐「そりゃなんか駄弁るしかねぇだろ…。話題くれ話題。」
鈴「なるべく長続きしそうなやつ。」
話題…、話題ねぇ…、
蓮「あー、呪〇廻戦の映画見た?」
佐「見てない。」
鈴「俺も。」
蓮「うん、俺もなんだ。」
「………」
「………」
「…………」
佐「(ꐦ°᷄д°᷅)話が膨らまねぇじゃねぇかよ!!!!?なんにも膨らまねぇよ!!!!」
鈴「つーかなんで聞いた!!!!?」
蓮「気になったこと聞いて、、ぬぁにが悪いんだああああ!!!?ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」
※異常なのでSAN値チェック入ります
━━━━━━━━━━━━━━━
「「「…………」」」
ひとしきり揉めた後、俺達は無言で空を見上げ力なくダランとしていた。スマホが無くなるだけでここまで暇になるとは思わなかったぜまったく…。
佐「……」ゴソゴソ
蓮「?何してんだ佐藤…。」
佐「……、ここに、さっき自販機で買ってきた1本のファンタグレープがあります。」
唐突に購買の袋から先程買ってきたファンタグレープを取り出す佐藤。
鈴「だからなんだよ…。」
佐「ちょっとしたゲームをしよう。」
ゲーム?
佐「題して、『誰がこのファンタグレープを1番美味そうに商品紹介できるか選手権』」ドンドンパフパフ~
脳みそ溶けてね?こいつ。
鈴「…ま、どの道暇だし…良いんじゃね?」
そう言って起き上がる鈴木。
蓮「えー、やるのー?」
佐「いいか?俺達はスマホに依存しすぎてコミュニケーション能力や語彙力が低下してきている。だからこの商品紹介というYouTuberっぽい事ををすることによってそれらを鍛えようという目論みだよ。」
急に真面目になるのやめて、
鈴「まぁ要はそのファンタグレープがめちゃくちゃ美味そうに見えるように思わせればいいんだろ?」
佐「そゆこと。そんじゃあ最初俺から始めるからな?1番下手なやつは罰ゲームでうちの生徒会長の顔面をぶん殴る。」
蓮「お前アイドルに手ぇあげるつもり?社会的に消されるぞ。」
鈴「何より1番の被害者が生徒会長なのな……。」
そんなこんなで自分の持ちうるコミュニケーション力、語彙力、そしてトークセンスを競い合うゲームが始まった。まぁどの道なんもやる事ないから良いけど…。
━━━━━━━━━━━━━━━
「あ、ここにいたんだ…。」
昼休み、何となく屋上にやってくると渡辺達の姿を発見した。さっきの授業でスマホを没収されて何をしているのかと思ってたけど…なんか楽しそうに話してる…。
(何を話してんだろ…?)
そう思ったあたしはバレないように屋上の扉におっかかり、3人の会話を聞いてみる。
佐「やぁ皆さんこんにちは。今日ご紹介するのはこの飲み物です、何味だと思いますか?そう、''ぶどう''味です。珍しいことに''炭酸''が入っています。まさしくガキの飲み物ってやつですね。」
いきなりもう何を言ってるのか分からない…。
佐「さて、皆さんはファンタを飲む時、一体何に重点を起きますか?香りや舌触り、炭酸の強度、酸味、渋み、鈴木このみ。人それぞれだと思いますが、まぁ飲んでみましょう。」
こ、これは何をしてるところなの?ファンタの事を言ってるの?ファンタに渋みも鈴木このみもないと思うけど…。ていうか後者に関してはかすりもしないし…、てか誰…、
佐「良いファンタという物は濁りがありません、透き通っていて色が均一です。…、うん、いい香りです。」
そう言ってペットボトルのキャップを外し、香りを確かめる佐藤。
佐「なんと言うか…、ぶどうを皮ごと鍋に入れて中火で煮たような匂いがします。ちなみに煮ていた人は都内のライブハウスで働くオーナーの実家のおばあちゃんらしいですね。……そう考えてみるとぶどう以外の匂いがしないでもないのが不思議です…。」
謎の解説をした後に1口、そのファンタを口に入れる。
佐「…、なるほど。このファンタは甘みと炭酸のパンチが渾然一体となってその中に微かな気品を感じますね。例えるなら…、そう、誰よりも猫の事を愛しているのですが自分の『クールで凛々しい歌姫』という立場を守るために決して周りにそう言った姿を見せないという強い魂を感じさせるような…、そう言った味です。」
よく1口飲んだだけでそんな長々と話せるよね…。
佐「まぁ私個人としてはそう言った柔らかい表情をもっと表に見せた方が湊さんに対して様々な妄想や可能性を感じさせると言いますか…、まぁそんな感じのが良いです。」
知らないよ…。ていうかやっぱり湊さんの事言ってたし…。
て言うかこの3人は何をやってるの?ファンタ1つで何でこんなにハイレベルな事が出来るの…?
佐「よし、俺は以上だ。じゃあ次鈴木な?」
鈴「よし、任せな。」
そう言って今度は鈴木の手にファンタが渡る。
そして再び長々と語り始めた。
鈴「私はファンタを飲む時、舌ではなく脳でその味を感じ取ります。舌先で感じ取れるものには限界があります。目で見て鼻で嗅ぎ舌で味わい喉で刺激を感じ脳で喜ぶ。そう言った瞬間こそ我々は真にファンタを味わっていると言えるのです。今日ご紹介するのはそんな私が選んだ1本です。」
そんなドヤ顔で飲みかけのファンタ見せつけないでよ…。どうしよう、頭痛くなってきた…。
鈴「このファンタの素晴らしいところはなんと言っても想像性です。通常のファンタは飲んで浮かんで来るのはだいたい鉄臭い製造工場でしょう。このファンタは口に含んだ瞬間、とある情景をもたらします。それはある公園でまだ幼い4人の少女達が無邪気に遊んでいる光景、そしてそこに父親と共にやってくるもう1人の恥ずかしがり屋な少女。初めて会う人にたじろぎながらも挨拶をし、それを傍らで見守る父親、快く受け入れる少女達、BGMにはランブリングメモリー。『幼馴染』と言う言葉があれほどふさわしい物を私は他に知りません。つまりファンタも『幼馴染』、そう言う事です。」
ちょっと待って!!!!?なんで鈴木があの時のこと知ってるの!?見てたの!?なんなの!!!?怖いんだけど!!!
混乱するあたしには気づくはずもなく、そのままファンタの香りを確かめる鈴木。
鈴「…、香りは上原ひまりの匂いがします。風味豊かでエネルギッシュな勢いを感じます。……、最初に香るのが上原ひまり、それが過ぎ去ると今度は青葉モカの様なマイペースで重厚な香りが広がります。色も均一でこの宝石の様な深みのある赤は宇田川巴の艶のある髪の毛を連想させます。……うん、美しいです。」
そう言って後、ゆっくりとファンタを口に含む変態。
鈴「うん…、素晴らしい味わいです。ファンタの味と言うのは常に一定とは限りません。その時の…、温度や湿度、周りにいる存在によって味も変化してきます。ファンタも生き物なのです。私のおすすめは羽沢珈琲店に赴き、つぐみさんが一生懸命働いている姿を眺め、眩しく尊い笑顔を目に焼き付けながら飲むのが至高のひとときです。皆さんもぜひ試して見てください。」
つぐみへ、今度つぐみん家の店で鈴木を見かけたら、絶対に迷わず警察に通報してね、っと。
鈴「我ながら素晴らしい説明だったな!」
うん、あんたが実はとんでもない変態だったって事がよく分かったよ。
佐「な、中々やるじゃねぇか…。」
だから何処が!?てかファンタの話のはずなのになんであたし達のエピソードが出てきてたの!?なんで知ってるの!?どこで知ったの!?もう何から指摘すればいいのか分かんない!!!
蓮「お前らまだまだだな( -ω- `)フッ」
佐「な、何ッ!」
蓮「全然分かってねぇよ。そんないたずらに言葉を並べただけじゃあ全然理解できねぇ。つーかほぼ何言ってんのか分かんなかった。なんなんだお前ら、怖いんだけど。」
ど、どうやら渡辺も全然納得が行ってなかった見たい。そうだよね、なにもかもおかしいよね。
鈴「じゃあお前は俺達より上手く説明出来んのかよ!」
多分あんたよりはマシになると思う。そしてあんたはもう二度とAfterglowに関わんないで欲しい。
蓮「貸してみろ、お前らは最初のインパクトが全然足りてない。よく見とけ。」
そしていよいよ渡辺の番が始まる。多分あの2人よりはまともなはずだよね?まさか渡辺まで訳わかんないこと言うはずないよね…。
蓮「私はファンタから産まれました。母体ではなくペットボトルから。栄養もへその尾からではなくキャップから摂取していました、本物のファンタ星人です。人間社会的に溶け込んで1万年と2000年が経ちましたが、そんな長き人生において見つけた最も優れているファンタが今この手にある1本です。」
うん、だいたいそんな気はしてたよ。だって渡辺だもんね?分かってたよ。こうなる事くらい…、全然期待してなかったし、別に…、、はぁ〜…。
佐「こ、こいつ…、目の付け所が違いすぎる…!」
鈴「さ、さすがだぜ…!」
そうはならないでしょ!1番おかしな事言ってるってなんで分かんないの!?
そんな思いが届くはずもなく、渡辺はペットボトルのフタを開ける。
蓮「この、クルクル回るキャップの技術は……私が発明しました。」
はぁ??
蓮「……あ〜、、ファンタってこんな色だっけかぁ…」ボソボソ
大丈夫かなあのファンタ星人。
蓮「ファンタの炭酸の強度は自分の唾で調節できます。」
はぁ??
蓮「クンクン……、ヨダレくっさ…」ボソボソ
そりゃ何回か回し飲みした後だしね。
蓮「…あ、あ〜、なるほどなるほど…、このファンタの素晴らしいところはなんと言っても香りです。芳醇な香りはヨーロッパの山々を…凝縮した高貴です。」
ぎこちなく説明した後にファンタを1口飲む。
蓮「……、うん。よく分かりませんが、なんと言うか、躍動感を強く感じますね…。分かりやすく言えば舌の上で…、ぶどうたちが最高の演奏を奏でていると言ったところでしょうか…。舌の上で無事に武道館ライブを成功させた3つのバンドのグループ、夢の舞台で演奏ができたと言う余韻に浸っている中少女たちの前に謎の女性が現れます。そう、彼女達の音楽(ユメ)はまだまだ終わりなどではありません。武道館の次なるステージ…、世界に羽ばたく時が来たのです。彼女達のバンドは…いつだって私たちに夢を見させてくれます。そう言った強い酸味を感じますね。まぁ選り好みもあるかも知れませんが飲みやすく若い世代には大人気でしょう。ちなみにこのファンタの本当の名前は『劇場版BanG Dream!ぽっぴん'――』」
「……帰ろ。」
これ以上は聞いちゃいけないと思い、あたしは屋上を後にした。うん、3人もれなくほぼ何を言ってるのか分からなかった。
渡辺に関してはもうあからさまに違う話してたし…。
ほんと、この3人って知らないところで訳わかんないことやり出すよね…。スマホが無くなって精神が安定してないんだろうなきっと…。
「はぁ〜、ほんとにバカ…。」
いや〜、暇つぶしのつもりがもう50話目ですよ…。知らない間にお気に入り400超えてましたし…。評価してくださる人もいますし…
え〜、まじかァ…(語彙力)
感謝(´◠ω◠`)