よォ…半年ぶりだなぁ…。
「…はぁ、今日も疲れた…。」
ため息を吐き、夕焼けに染った空を見上げて俺は帰路に経つ。フゥ、今日もよく働いた…。
首元のネクタイを緩めワイシャツの1番上のボタンを外す。それと同時に先程まで引き締めていた気持ちも緩み完全にオフモードへと変化する。
「今日の晩飯何かな…、、」
幸い家はそこまで遠くない。しばらく歩けば時期に我が家は見えてくる。1歩1歩踏み出す度に空腹と労働による疲労が増していくがあと少しの辛抱だ。
それまでもう少し頑張ろう…、
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「…ただいまぁ〜。」
玄関の扉を開けて家の中に入る。ようやくたどり着いた…、よくやった、と自分を労いながら靴を脱ぐ。
「…?誰もいないのか?」
ここで家の中が静かな事に少し違和感を覚える。いつもならそれなりに返事が帰ってくるはずなのに…、買い物にでも行っているのだろうか?
(ま、、いっか。)
居ないなら居ないで別に良いか…。そう思いリビングまで入っていくと…。
「…っあ!おかえり、蓮…!」
「っ!?」
後方から聞き馴染みのある声。それに少し驚きながらも声のした方に振り返る。
「…なんだ、いたのかよ。ただいま……、蘭。」
そこには少し慌てた様子でリビングの入口にやってきた蘭の姿が…。
「『いたのかよ』って…、当たり前でしょ、ここ''あたし達''の家なんだから…。」
「ははは、返事が無かったもので…。」
「ちょっとお風呂場の掃除してたから。」
「なるほど。」
だからタオル片手に登場したのね…。
「……」ジー
「…?な、何」
「……なんか、いつもより疲れた顔してる。」
「え、うそ…。」
何故かじっと見つめられていると思いきやいきなりそんな事を言われる。確かに今日はやたらと仕事が舞い込んできて疲れてはいたがそれが顔に出てしまう程とは…。
「もうすぐお風呂沸くから先入ったら?」
「……そうさせてもらおうかな…。」
ここは蘭の言葉に甘えさせてもらおう。そう思い、俺はまっすぐ風呂場へと向かった。
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「あぁ〜、生き返る〜、、」
肩まで湯船に浸かり、今日の疲れを癒す。やはりひと仕事終えたあとの風呂はたまらん…。
こうしていると職場でやってしまった失敗とか仕事の量とか納期とか…、あと憎たらしい上司の事とか…、ぜーんぶどうでもよくなって忘れてしまう。
体の汚れだけでなく日々溜まっていく心の疲れも洗い流す。
風呂に入るとはそういことだ…。
「…さて、そろそろ体洗って上がりますか…。」
そう言って俺は浴槽に手をかけて体を起こそうとする。……その時だった。
ガチャ……っと脱衣場の扉が突然開きその瞬間、扉の向こうの光景に俺は声を上げて驚く。
「…ッ!?ちょ!!蘭!?何してんの!?」
そこにはかすかに赤面した蘭がタオル1枚の姿で立っていたからだ。さすがにこれには驚くだろ…。
「…え、えと…っ、たまにはっ、背中でも流してあげようかなって…。」
そう言って蘭はゆっくりこちらの方に入ってくる。
「…ッ//」
「…ッ、さ、さすがに見すぎだからッ//」
身に纏うタオルをキュッと強く掴んでさらに赤面する。そんなに恥ずかしなら無理しなければいいのに…。
「…ていうか、あたし達''初めて''じゃないでしょ、一緒にお風呂に入るのなんて…。何そんな顔赤くしてんのッ、、」
「鏡見てから出直してこい…。」
よくもまぁそんな事言えたな…。
「と、とにかく!早くこっち座ってよ!体洗ってあげるから…!」
バンバンと、椅子を叩いて催促する。
「いや…その、我々もう大人ですよ?さすがにこの歳で体洗って貰うのはちょっとあれな気がするんだが…。」
「…ッ、ま、まぁ…。」
「……、」
「……、」
ここで生まれる静寂、少しの間蘭は目をそらす。
「…わかった、じゃあやっぱり上が「あーでも今日は疲れすぎて背中に手が届かないかもな〜。」……は?」
そして後ろを向いて出ていこうとした蘭だが俺の言葉に振り向く。
「……まぁ、そんなわけで…、背中に限りお願いしようかな〜、、つって?」
「……最初からそう言えばいいのに…。」
「渡辺蓮は混乱している!」
「ゲーム脳うるさい。」
と、こういった一連の流れで蘭に背中を流してもらう事に。正直未だに恥ずかしいのだが…、まぁいいか…。
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「……、どう?痛くない?」ゴシゴシ
「おーう、苦しゅうな〜い。」
その後、早速俺は蘭に背中を洗って貰う。最初は少し恥ずかしかったのだが…、意外と快適なもんだな…。
「蓮って、背中広いよね…?」
「え、なに急に?」
蘭の何気ない言葉に思わず食いつく。
「別に、何となくそう思っただけ…。蓮ってもっとひ弱な体つきだったような気がしたから…。」
「本人の前でよく言うねぇ…。高校時代じゃある前し、俺だって成長するっての…。」
「ふーん。内面は全然だけどね。」
「お前もな?」
「……」ゴシゴシゴシゴシ!!
「いだだだだだだッ!!」
その後、一通り洗い終わったのでシャワーで泡を流す。なんか少し背中が赤くなってないか不安だがまぁ良いだろう…。今日のところは勘弁してやるよ…。
「…てか蘭?なんで今日はこんな事してくれたんだ?」
そして現在は一緒に湯船に浸かっている。少し狭いが別にあまり気にならない。
「……別に、ただの気まぐれ。」
「…ほーん。」
気になって質問してみたものの返ってきたのは素っ気ない答えだった。
「……、どうなの?最近の仕事は、」
「まぁぼちぼち、大変だけど何とかやってるよ。」
「そう……、」
「おう。」
もしかすると、蘭なりに気にかけてくれているのだろうか?社会人として働いているが俺もまだまだ新人。それにやたらと忙しい職場だからなかなかゆっくり休めない。蘭の前で愚痴を吐き続ける日も少なくない、むしろほぼ毎日な気がする…。
そんな俺のためにこうして不器用ながらも動いてくれたのだろうか…。
もしそうだとしたら…嬉しい限りなんだが…。
「……ねぇ蓮」
「ん?」
ここで正面に座る蘭がいきなりクイクイ…と人差し指を動かす。それを見て俺はなんとなく距離を縮める。すると……
蘭はいきなり俺の頭に手を回して、そっと自分の体に抱き寄せた。
「……え、、ドユコト?」
「……いつもお疲れ様、蓮…。」
そして混乱している俺の耳元で、蘭は優しくそう呟いた。
暖かく、そして柔らかい感触が体を覆う。蘭がこうして抱きしめてくれたのはいつぶりだろうか…。
「……な、何だよいきなり…、てか蘭の方こそ華道の集まりとか大変だろ…。別に俺だけがきついわけじゃ…」
「……あたしは別に平気…。でも蓮は最近ずっと疲れた顔して帰ってくるから…、昨日だって帰ってくるの遅かったし…。そんな姿見てたら不安で…。」
ギュッと抱きしめる力が強くなった気がする。どうやら俺が思っていたより…蘭は俺の事を心配してくれていたようだ。
「……ありがとな、蘭。」
「……ん。」
「……もうちょいこのままで……」
「分かった……。」
しばらく、俺達が離れることは無かった……。
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「さて、じゃあそろそろ上がるか…。」
あれからしばらくして…。俺達はお互い満足するまで抱きしめ合ったのでそろそろ湯船から出る事に…。
しかしその時、ふと蘭は俺の手を掴む。
「……ん、どした?」
「……あたし、まだ体洗ってない。」
「あぁ、そう言えば…。んじゃあ俺先上がって夕飯の支度してるから蘭はゆっくり「洗って」ん〜?」
今なんか聞こえた気がしたな?なんだろな?
「蓮の背中洗ってあげたんだから…、良いでしょ。」
「え、いや、ぅぇ…、ぅぅ、そう言うもん?」
「……ダメなの?」
「……ダメとは言ってないが…。」
ま、まぁ背中を流すくらいなら別に問題は無いだろうな…。うん。
「んじゃ、背中だけな…。」
「……全部。」
「……、」
、、、全部とは一体……
「…まさか、2回も言わせる気?」
俺が硬直している間に蘭は立ち上がって大胆に距離を縮める。段々と間の空間は無くなり蘭はほぼ密着状態でこちらを見上げる。
「……昔はそんなに身長差無かったのに…。」
そして肩に手を添えて背伸びをし、ゆっくり、唇を重ねた…。
「……ッ//」
「……そ、そう言う事だから、はやく//」
その後、蘭は後ろを向いて椅子に座る。今蘭がどんな顔をしているのかは分からないが耳がかなり赤くなっている事から大体想像が着く…。
「……わかったよ。」
「……大体、明日仕事休みでしょ…?」
そういう事は言わなくて良いんだよ…。察しが悪くてすみませんね?
そんな事を思いながら俺はしゃがんでゆっくり蘭の体を抱きしめる。できる限り優しく…。
「んじゃ…、''念入りに''洗うからな…?」
「……うん。」
ピピピピ!!ピピピピ!!ピピピピ!!
「……」
ピピピピ!!ピピピピ!!ピピピピ!!
「……(<●>ω<●>)」ムクリ
ピピピピ!!ピピピピ!!ピピピピ!!
無造作に、そして無慈悲に鳴り響く目覚ましの時計。……はて、ここは、どこだ?
「あ、ようやく起きたなクソ兄!遅刻すんぞはやく下来い!」
今、横から声を発しているのは…、あぁ、お前か……、という事は……そういうあれか……。
「……――だ?」
「あ?」
「だから、……いくらだ?」
「何が?」
「(ꐦ°᷄д°᷅)いくら払えばあの続きが見られるんだああああああああああああああ!!」
体の内から込み上げてく感情に任せて弟に襲いかかる。
「おわぁ!!何だよ人がせっかく''起こしてやった''って言うのに!!」
「56してやる!!56してやる!!!!56してやるぅ!!!!!!お前を56してやるぅ!!!!!!」
母「おい朝からうるせぇぞぉおおおお!!!?」
一方その頃……、美竹家では……
「……あたしったら///夢の中とはいえ……、なんて大胆な事を……////しかも蓮ってば…、''あんな格好''までさせて…////」プルプル
同じ夢の……ほんの少し''先''まで見てしまった美竹であった……。
休憩がてら書きますた♨︎