私の普通のバンドライフ   作:しじみ豆腐

1 / 4
日常

 私の名前は広町七深。月ノ森女子学園に通う高校1年生でバンド活動をしている。担当楽器はベース、バンド名は「morfonica」といって、大体の人はモニカと呼んでいる。今日はそのモニカのバンド練習の日で私の家のアトリエにバンドメンバーが集まって練習をしていた。

 

透子「ヤバっ!今の演奏マジで凄くね?やっぱり私チョー天才かも!」

 

瑠唯「桐ヶ谷さん何を言っているの?貴方の演奏中のギター走りすぎてたし、まだまだ改善が必要だわ」

 

透子「なんだよ〜瑠唯〜、ちょっとテンション上がってただけじゃん!」

 

 ギターを担当しているは桐ヶ谷透子。透子ちゃんは金髪でルックスも良い。また自身がやっているSNSはフォロワーも多く学園でも有名な人気者だ。かなりの自信家でたまに周りの意見が耳に入らないこともある。

 

瑠唯「ちょっとどころではなかったと思うわね…」

 

 透子ちゃんに冷静な意見を述べた彼女は八潮瑠唯。るいるいはバンドでは珍しい楽器のヴァイオリン担当で、そのテクニックは相当なものだと思う。学園では成績も良くその大人びたルックスでファンも多いが、かなりの合理主義者だ。モニカでは作曲担当もこなしている。

 

つくし「ちょっとちょっと!2人ともまたケンカしないでよ!」

 

透子「はぁ!?ケンカなんてしてないし!瑠唯が細か過ぎなんだって!ふーすけもそう思うっしょ?」

 

瑠唯「二葉さん…私はただ意見を述べただけよ」

 

 ケンカ?の仲裁に入ったこの保護欲を唆られる可愛い子は、バンドリーダーでドラムを担当している二葉つくしだ。つくしちゃんは学級委員長で何事にも真面目に取り組む頑張り屋さんだけど何処か抜けている所もあったりする。そして透子ちゃんだけは彼女をふーすけと呼ぶ。

 

つくし「もう〜!ましろちゃんからも何か言ってよ」

 

ましろ「ええ?わ…私?何て言えば…いいのかな」

 

 そしてこのおどおどしている綺麗な銀髪の子こそが、我らがボーカル倉田ましろだ。あまり自分に自身が無くネガティブ思考が多い。しかし!このしろちゃんこそがバンド結成の発起人で、モニカの作詞担当。そして私達を引き寄せた子でもある。

 

七深「まあまあ〜とりあえず休憩にしようよ〜。かれこれ2時間くらいぶっ通しでやってるから一旦落ち着こうよ。あっ…クッキーが確かあったから皆んなで食べよう!」

 

ましろ「そ…そうだね!休憩にしようか。集中しすぎてそんなに時間が経ってるなんて思わなかったよ…」

 

つくし「本当だ!ぜんぜん気づかなかったよ!」

 

瑠唯「二葉さん貴方はリーダーなのだからしっかりとスケジュールを管理しくれないと困るわ」

 

つくし「うっ!瑠唯さん悪かったよ〜」

 

透子「あはは!ふーすけ、瑠唯に怒られてる〜」

 

つくし「透子ちゃんには言われたくないよ!」

 

 しろちゃんが困っていたので助け船を出すとしろちゃんは笑顔になって私の意見に同意した。…私はしろちゃんのことが好きだ…。もちろんバンドメンバーのことも好きだけどそれとは異なる感情だ。普通でないことは分かっている。初めはただの興味本位で普通な感じがして面白そうだと思って、バンドに入った。最初、モニカは上手くいかなかった。しろちゃんは嫌になって投げ出すし、るいるいには練習場所を取り上げされそうになったりと色々と問題だらけだった。でも紆余曲折を経て今に至る感じかな。

 

ましろ「七深ちゃん…!助けてくれてありがとうね」

 

七深「!!っ…これくらい普通だよ〜」

 

 しろちゃんはこっそり私に耳打ちをしてニコりと笑いそう言う。はぁ〜しろちゃんずるいよ〜。そんな笑顔を向けられたら、しろちゃんの為なら何でもしたくなってしまう。そう…しろちゃんはずるい。普段はおどおどしているのにステージに立つと力強く凛々しく歌う。そして彼女は努力家なのだ。作詞もボーカルレッスンも凄く頑張っている。私はそんな彼女を観てどんどん惹かれていった。幼少期の頃から大抵の事はすぐに出来て、数多くの賞やトロフィーなどを得てきた自分にとっては、努力というものがよく分からなかった。でも努力して苦手な事を克服したり頑張っているしろちゃんは、とても輝いて見えた。そして可愛い。

 

七深「ちょっとリビングからクッキー取ってくるね〜」

 

ましろ「私も一緒に行こうか?」

 

七深「1人で大丈夫だよ〜。しろちゃんは此処でみんなと待っててね〜」

 

ましろ「そ…そう?それなら此処で待っているね」

 

 危ない危ない。今の状態でしろちゃんと2人きりになったら理性を保てるか分からない。それと少し落ち着く為にも1人になりたかった。しろちゃんへのこの気持ちは墓場まで持って行こうと考えている。せっかく手に入れた友達…今の関係を壊したくないし、何よりしろちゃんに嫌われるのがとても恐いから。そんな事を考えながらリビングへ歩いて行くと中庭で何か作業をしているお父さんが目に入った。お父さんもこちらに気が付いたらしく話しかけてきた。

 

七深父「七深か、どうしたのだい?今はお友達と音楽活動をしているのではないのかね?」

 

七深「うん。今は休憩中なんだ〜。それでみんなにクッキーを出そうと思ってリビングに取りに行く途中だよ〜」

 

七深父「成程…それは良いことだな」

 

七深「お父さんは何をしてるの?」

 

七深父「純金で七深の像を作っている最中なのだよ。これがなかなかどうして難しくてね…。七深のチャーミングな顔を成形するのに苦戦しているのさ」

 

七深「そうなんだ〜(呆れ)」

 

 ウチの親は両方とも芸術家だけど呆れるほど親バカだ。お父さんは素晴らしい作品に仕上げるから楽しみにしておきたまえと言いながら作業に戻っていった。…さっさと取りに行こう。その後リビングでクッキーを入手しアトリエに戻ってきた。

 

透子「おっ!七深〜!おかえり〜!」

 

つくし・ましろ「「おかえり〜」」

 

瑠唯「広町さん、少し遅かったけど何かあったのかしら?」

 

七深「う〜ん、少しお父さんと話してたから遅くなっちゃったよ。ごめんね〜」

 

瑠唯「そう…なら別に問題はないわ」

 

七深「はい!お待ちかねのクッキーだよ〜。ティーセットもあるから紅茶と一緒に食べようよ〜」

 

つくし「本当に?やったー!」

 

ましろ「このクッキーの包装箱からして凄く高そうだね」

 

七深「クッキー20枚入で1箱10,000円だったかな〜」

 

透子「ちょっと高いクッキーなら普通じゃね?」

 

ましろ「ふ…普通じゃないよ!凄く高いよ!」

 

七深「えっ?普通じゃないの!?じゃあ今度は5,000円程度のをストックしとくね〜」

 

ましろ「それでも高いよ…」

 

 そうい言うと項垂れるしろちゃん。うーんやっぱり普通って難しいなぁ〜。その日はお茶をした後、1時間くらい練習をして解散となった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。