ひと葉 ~壱の巻~   作:亜空@UZUHA

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それぞれの戦い/想い・シカマル編

 残されたメンバー……シカマル、ナルト、そしてナナ。

 その三人の背後に一瞬にして現れたのは、不気味な視線を持つ色白の男だった。

 

「君麻呂?!」

 

 前方の女が、そう叫ぶ。

 三人はその君麻呂という男の動きにぞっとした。

 まるで舞のような動きで、奪ったはずの『棺おけ』を鮮やかに取り返す。

 そして、多由也とかいう女に二言三言と言い残し、軽い足音で『棺おけ』を抱えて消え去った。

 卒のない……スキのない動き……。

 

「くっそー!!!」

 

 ナルトはシカマルが止める間もなく、多由也に突っ込んで行った。

 が、あっさりとはじき返される。

 

「ナルト!!」

 

 シカマルとナナが、枝に叩きつけられるナルトの体をガードする。

 多由也という忍も、もちろんただものではない……。

 三人は多由也を見上げ、それを確信した。

 が、次の瞬間、

 

「二人とも、先に行って」

 

 ナナが言った。

 

「ナナ?!」

 

 ナナの視線は、多由也を睨んで離さない。

 

「私があの人をひきつけるから、二人は……サスケを追って」

 

 『サスケ』という名を口にして、決意を露にする。

 

「早くしないと、追いつけなくなる……」

 

 言いながら、ナナはスッと立ち上がった。

 

 その横顔に、迷いはなかった。

 頬はまだ腫れていたけれど。

 川原で苦しんでいた姿も、廊下で泣いていた姿も、自分で消し去った。

 今あるのは、何ものも恐れず、目的のために戦う姿だ。

 『サスケを今も許すことはできない』と言いながら、木ノ葉の忍として“仲間”を助けると、ナナはそう決意した。

 自分の陳腐な台詞を素直に受け取って……、いや、そうとわかって掲げてくれた。

 それに、『みんなを死なせたくない』と言ってくれた。

 ナナが自分たちのためにも戦ってくれているのだと思うと、自分も強くなれた。

 それが自身への言い訳だったとしても。

 きっと、みんなの心にもナナの決意は強く響いたに違いない。

 その証拠に、チョウジもネジもキバも、仲間のための命がけの戦いをしている。

 

 だからこそ。

 

「いや」

 

 シカマルはナナを止める。

 

「俺が残る」

 

 ナナも、そしてナルトも、にわかに驚いて彼を見る。

 

「お前たち二人でサスケを追え」

 

 いい加減、仲間を置いて進むのは辛いのだ……というナナの気持ちは知っていた。

 だが、シカマルはそれを無視して、目の前の敵から二人を逃す作戦を口にする。

 

「でも、シカマル……!」

 

 ナナの抗議は、視線で止めた。

 

「ナナ」

 

 隊長である自分を残すわけにはいかないという、忍らしい意見を持っているのもわかっている。

 だがそれでも、一瞬ひるんだナナに強い言葉で止めをさす。

 

「お前は()()()()()()、サスケを追わなきゃなんねーだろ」

「でもっ……」

「進めよ、『先』に」

 

 『意味』を察し、ナナは唇をかみ締めた。

 

「……シカマル……」

 

 だから彼は、少し笑って言った。

 

「お前とナルトが行かなくちゃ、話になんねーんだよ」

 

 本当に取り戻すには『力』だけじゃ成し得ないから……。

 

「ナルト、ナナを頼むぜ」

「……わかったってばよ」

 

 小声で交わすのを見て、ナナは拳を握りしめた。

 

 先へ……。

 

 送り出すのも案外心地がいいもんだ……と暢気に思いつつ、彼は自分のための『作戦』を開始した。

 

 

 

 

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