残されたメンバー……シカマル、ナルト、そしてナナ。
その三人の背後に一瞬にして現れたのは、不気味な視線を持つ色白の男だった。
「君麻呂?!」
前方の女が、そう叫ぶ。
三人はその君麻呂という男の動きにぞっとした。
まるで舞のような動きで、奪ったはずの『棺おけ』を鮮やかに取り返す。
そして、多由也とかいう女に二言三言と言い残し、軽い足音で『棺おけ』を抱えて消え去った。
卒のない……スキのない動き……。
「くっそー!!!」
ナルトはシカマルが止める間もなく、多由也に突っ込んで行った。
が、あっさりとはじき返される。
「ナルト!!」
シカマルとナナが、枝に叩きつけられるナルトの体をガードする。
多由也という忍も、もちろんただものではない……。
三人は多由也を見上げ、それを確信した。
が、次の瞬間、
「二人とも、先に行って」
ナナが言った。
「ナナ?!」
ナナの視線は、多由也を睨んで離さない。
「私があの人をひきつけるから、二人は……サスケを追って」
『サスケ』という名を口にして、決意を露にする。
「早くしないと、追いつけなくなる……」
言いながら、ナナはスッと立ち上がった。
その横顔に、迷いはなかった。
頬はまだ腫れていたけれど。
川原で苦しんでいた姿も、廊下で泣いていた姿も、自分で消し去った。
今あるのは、何ものも恐れず、目的のために戦う姿だ。
『サスケを今も許すことはできない』と言いながら、木ノ葉の忍として“仲間”を助けると、ナナはそう決意した。
自分の陳腐な台詞を素直に受け取って……、いや、そうとわかって掲げてくれた。
それに、『みんなを死なせたくない』と言ってくれた。
ナナが自分たちのためにも戦ってくれているのだと思うと、自分も強くなれた。
それが自身への言い訳だったとしても。
きっと、みんなの心にもナナの決意は強く響いたに違いない。
その証拠に、チョウジもネジもキバも、仲間のための命がけの戦いをしている。
だからこそ。
「いや」
シカマルはナナを止める。
「俺が残る」
ナナも、そしてナルトも、にわかに驚いて彼を見る。
「お前たち二人でサスケを追え」
いい加減、仲間を置いて進むのは辛いのだ……というナナの気持ちは知っていた。
だが、シカマルはそれを無視して、目の前の敵から二人を逃す作戦を口にする。
「でも、シカマル……!」
ナナの抗議は、視線で止めた。
「ナナ」
隊長である自分を残すわけにはいかないという、忍らしい意見を持っているのもわかっている。
だがそれでも、一瞬ひるんだナナに強い言葉で止めをさす。
「お前は
「でもっ……」
「進めよ、『先』に」
『意味』を察し、ナナは唇をかみ締めた。
「……シカマル……」
だから彼は、少し笑って言った。
「お前とナルトが行かなくちゃ、話になんねーんだよ」
本当に取り戻すには『力』だけじゃ成し得ないから……。
「ナルト、ナナを頼むぜ」
「……わかったってばよ」
小声で交わすのを見て、ナナは拳を握りしめた。
先へ……。
送り出すのも案外心地がいいもんだ……と暢気に思いつつ、彼は自分のための『作戦』を開始した。