ひと葉 ~壱の巻~   作:亜空@UZUHA

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それぞれの戦い/想い・ナルト編

 知っていたのかもしれない。

 サスケに対するこの感情も、サスケに必要なものも。

 でも、正直、ナナの『痛み』を見せ付けられるまでは、ナナの『想い』なんて知らなかった気がする。

 いつも一緒に居残りして、ご飯を食べて……、一番ナナの近くにいて……。

 下忍になって、運よく同じ班にもなったのに。

 今、隣の『ナナ』を感じながら改めて思った。

 こんな自分よりもっと頼りないナナを……、面倒をみていたつもりでいて、実はいつも見守られていた。

 己の中に、あの『九尾』がいるのだと知らされたあの日、ナナは深い深い瞳で言った。

 

『私、ずっとナルトのそばに居るから……』

 

 それも普通の言葉と受け取った。

 毎日会っていたはずなのに……。

 いつも側にいてくれたはずなのに……。

 ナナの『想い』に気を配ったことなんてなかった。

 今、目にした『傷』に、そう思う。

 深すぎて、直視できないほどのそれを見て。

 今度は、自分がナナを見守らなくちゃ……と。

 

 

 

 

 数え切れぬほどの影分身ナルトが、草原を埋め尽くす。

 が、四方を囲まれたはずの君麻呂に、危機感はなかった。

 怒りのような湧き上がる感情のまま、チャクラを練りだす。

 分身たちは、いっせいに君麻呂に向かって突っ込んだ。

 瞬間、ナナは君麻呂の死角をみつけて走り出す。

 二人に言葉はいらなかった。

 何体ものナルトの分身に身を隠しながら、ナナが目指すのは『棺おけ』。

 あと数歩……。

 君麻呂の背後に回りこみ、『棺おけ』に手を伸ばそうとしたその時だった。

 

「甘いよ」

 

 言葉と同時に、ナルトの分身がいっせいに消され、ナナに向かって何かが飛んできた。

 

「…………?!」

 

 足もとをかすったそれは、白く、鋭い物体だった。

 次々と投げつけられるその物体によって、ナナは近づいたはずの『棺おけ』からはどんどん遠ざけられる。

 チャクラを使って避けねばならぬほど、スピードも鋭さもあった。

 あれだけあったナルトの分身も、あっけなく消し去られる。

 

「ナナ!!」

 

 すっかり『棺おけ』から遠ざけられたナナの足には、数本の白い物体が突き刺さっていた。

 ナルトは君麻呂を睨み上げる。

 と、君麻呂は着物をはだけさせ、肩口から何かを抜き取った。

 それは、ナルトもナナも、たった今目にした白い物体で……。

 しかも、それは肩の『中』から抜き取られていた。

 

「……ホネ……?!」

 

 二人は少し離れた場所から、同時にそう呟いた。

 

「特別に見せてあげるよ。椿の舞……」

 

 君麻呂は抜き取った骨をまるで刀のように構える。

 

「くっそ……!!!」

 

 もうすぐそこに、サスケはいるのに。

 この男さえ倒せば、サスケを取り戻すことができるのに。

 苛立ちに歯軋りした。

 ナナだって、同じもどかしさを抱えているはず。

 その時、思いがけず爆音があがった。

 それとともに巻き起こる黒い煙。

 まさしく、『棺おけ』からだった。

 

「…………?!!」

 

 もう、ナルトにはナナを気遣う余裕などなかった。

 煙の中から現れたのは、追い求めていた『サスケ』の姿だった。

 

「サスケ!!!」

 

 その背に必死で叫ぶ。

 

「こんな奴らと何やってんだってばよ!!!」

 

 見慣れた背中に向かい、

 

「木ノ葉に帰ろうぜ!!!」

 

 ……そう、見慣れたはずなのに……。

 

「ククク……」

 

 どう見ても、サスケの様子はおかしかった。

 

「オレの声、聞こえてんだろーがよっ!!!!」

 

 力いっぱい、叫んでいるのに……。

 届かない……?

 

「サスケ……」

 

 ナルトはようやくナナを見た。

 同じものを見つめていたナナを。

 

(……ナナ……!!!)

 

 立っているのが不思議なほど、ナナの顔は真っ青だった。

 両の目を見開いて、サスケを見つめている。

 

「ナナ……!」

 

 声をかけた瞬間、ナナの肩はピクンと揺れた。

 同時に、サスケの不気味な笑い声もピタリと止まる。

 

(……クソ……!!!)

 

 悔しさとか、苛立ちとか、訳のわからぬ感情のまま、ナルトはもう一度サスケに向かって言葉を投げつける。

 

「ナナもっ……!!!」

 

 みんなの、全ての『想い』を ぶつけるように

 

「お前を迎えに来たんだぞっ……!!!」

 

 ナナはここにいる。

 息もできないくらい震えて。

 一度捨てたモノの、変わり果てた姿を見つめている。

 ここにナナがいるから……。

 だから……。

 

「サスケっ!!!」

 

 心をの限り、ナルトは叫んだ。

 

「一緒に帰ろうぜ!!!!」

 

 だが。

 

「…………」

 

 サスケは振り返りもせず、そんな素振りすら見せず……。

 二人の前から去って行った。

 

「サスケ!!!!」

 

 案外、早く足が動いてくれたのは、隣に青ざめたナナがいたからだった。

 硬直してしまったナナの『決意』を呼び起こして、走り出す。

 冷たい腕を引っ張って。

 

「ナナ!! サスケを追うってばよ!!!」

 

 震えるナナの足が、無理やり動かされるのがわかった。

 辛くても、進むしかない。

 痛くても、先へ……。

 

(ナナ!!)

 

 今度はちゃんと、引っ張るから……。

 

 

 

 

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