ひと葉 ~壱の巻~   作:亜空@UZUHA

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それぞれの戦い/想い・我愛羅編

 『借り』がある……。

 『砂と木ノ葉は再び同盟を結んだから』、とかいう理由なんかじゃなく、返さねばならぬ『借り』があったから、自らの意思を持って動いた。

 己の存在を引っぱり上げた、『うずまきナルト』。

 そして、敵だったはずの自分を救った『いずみナナ』。

 木ノ葉には、返しても返し足りない『借り』がある。

 

 

「ナルトくんとナナが、サスケくんを追って先に行きました」

 

 隣でリーがそう告げた。

 

「そうか……」

 

 答えてから複雑な心境になる。

 あの二人が行ったのなら、きっと……。

 そういう思いと。

 逆に、()()()()()()うちはサスケを繋ぎ止めておけなかったのか……。

 そういう思い。

 部外者だから、余計に複雑だった。

 木ノ葉で見た彼らは、うっとうしいくらい『仲間意識』が強かったはず。

 なのに、今、自分がここにいるのは()()が崩れたのが理由で……。

 自分が見出した、うちはサスケの『孤独』。

 それを改めて思い知る。

 自分によく似た、あの瞳……。

 

 だが、信じたかった。

 うずまきナルトと、いずみナナを。

 そんな甘い現実じゃない……という考えはある。

 どちらかといえば、そっちの思いが強かった。

 でも信じたかった。

 世界には『温度』があることを、自分に教えたあの二人を。

 だから、確かめるように、呟いた。

 

「あの二人なら、うまくいくんだろう……」

「ええ、ボクもそう信じてます」

 

 隣から返ってくる、迷いのない言葉。

 コイツも大したやつだったな……と思いながら見やる。

 大して『熱い』やつだった……と。

 するとリーは、思い出したように彼に聞いた。

 

「そういえば、君はナルトくんと戦ったんですよね」

「ああ……」

 

 答えると、もうひとつの問い。

 

「ナナとも、話したことがあるんですか?」

 

 リーが不思議に思うのも無理はないだろう。

 “あの事”は、おそらく居合わせた姉兄とうちはサスケしか知らないはず。

 よくは覚えていないが、ナナの使った術は異常だった。

 ナナが“あの力”を他人に明かしているとは考えにくい。

 だが、不思議そうに寄った厚い眉毛を見て、素直に答えた。

 

「オレはアイツに救われた」

 

 救われた。

 敵だったはずなのに……。

 が、リーは驚きの欠片も見せずに納得する。

 

「そうですか、やっぱりナナはすごいです!」

 

 なぜお前が得意げな顔をするんだ……と内心突っ込みつつ、彼は小さくうなずいた。

 確か『友だちだから』という理由を口にして、この男の『誇り』のために戦ったナナ。

 そして、敵だったはずの自分を無条件に救ったナナ。

 その『すごさ』は、自分もよく知っているつもりだった。

 しかし、リーは意外なことを口にする。

 

「でも、今のナナは……誰かが救ってあげなくちゃいけないのかもしれません」

「…………?」

 

 意味が飲み込めず、下まつ毛を凝視した。

 リーはため息をつくように言った。

 

「傷ついて、悲しんで……ボロボロです……」

 

 最後にこう付け足して。

 

()()ナナが……」

「…………」

 

 彼は何も言えなかったし、それ以上聞けなかった。

 『あのナナ』が、今、何を思って目の前から去った『仲間』という存在を追っているのか。

 うずまきナルトは、おそらく迷いもせずに進んでいるのだろう。

 だが、ナナは……。

 

『もうあなたは……人の死で自分の存在を実感する人じゃない……』

 

 たしかナナはそう言ってくれた。

 自分を『変わった』と言って、変えてくれた人だった。

 強くて、優しくて、温かい……。

 そのナナが、変わってしまったのだろうか。

 だとしても……。

 

 彼はただ、空を見上げて、遠くのナナへと思いを馳せた。

 

 

 

 

 

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