ひと葉 ~壱の巻~   作:亜空@UZUHA

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 なんとか忍者学校の卒業試験に合格したナルトとナナは、サスケ、サクラと同じ第七班にとして下忍生活をスタートさせることになった。
 担当上忍であるはたけカカシの“試練”も無事に突破し、日々、下忍としての任務をこなしていた4人だったが、ある時、火影から新たな任務を言い渡された。
 橋造り職人のタズナを、国元の『波の国』まで護衛するという任務である。
 当初は危険を伴わない身辺警護のはずだったが、道中、彼らは思わぬ襲撃を受け―――。



第2章 波の国編
始まり


 闇の森、五人の忍と一人の老人が、一枚の地図を囲んでいた。

 “敵”に居場所を悟られぬよう、灯りはペンライトひとつ。

 

 

「じゃあ、タズナさんの手配してあるボート乗り場へは、こっちの山道を通るの?」

「少し遠回りだってばよ」

「まぁ、まだ何処ドコかに霧隠れの忍が隠れていないこともないからな」

 

 

 昼間、『鬼兄弟』の襲撃を受けたばかりの彼らは、いささか慎重にならざるをえなかった。

 依頼人であるタズナから、敵の真相を聞かされてはなおさらのことだ。

 ごくりと唾を飲み込んだサクラの隣で、ナルトは己の左手を見やる。

 ぐるぐると白い包帯を巻かれたそこに、誓った言葉を思い出し、向かい側のサスケに視線を移した。

 サスケは相変わらずの無表情で、カカシの説明を聞いている。

 

(もうサスケにばっか、いいカッコはさせねぇってばよ!!)

 

 ナルトがそう闘志をメラっと燃やしたときだった。

 睨むように送っていた視線の先……サスケの肩に、コトンと小さな頭がもたれかかった。

 

 

「……オイ……」

 

 

 呆れて溜め息をついたのはサスケ。

 

 

「ナナ……よくこんな状況で寝られるわね……」

 

 

 そしてサクラ。

 

 

「緊張感なさすぎだってばよ……」

 

 

 ナルトは力が抜けたように呟いた。

 

 

「一番チビのクセに、いい度胸しとるのぉ」

 

 

 護衛される側であるタズナすら、苦笑した。

 

 

「あらら、ナナには難しい話は無理みたいね」

 

 

 カカシは面白そうに幼い部下を見て、ライトと地図をしまう。

 

 

「よし、タズナさん、そろそろ休んでください。お前らも、寝ていいぞ。」

 

 

 カカシに、木陰で睡眠をとるように指示された彼らは、輪を解いて立ち上がる。

 

 

「ほら、ナナ。そこの木まで移動するわよ」

「…んん……?」

 

 

 サスケの肩の上で、夢うつつに返事をするナナに、サクラはさらに呆れてため息を吐き出した。

 

 

(“さっきのナナ”とはまるで別人じゃない……)

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

「Cランクの任務で、忍者対決なんてしやしないよ」

 

 

 カカシにそう言われ、サクラが安心して笑った矢先。

 最後尾を歩いていたカカシが、突然、木っ端微塵に切り刻まれた。

 悲鳴をあげる事しかできず、状況もわからない彼女の目の前で、黒い二つの影がナルトの背後に回った。

 

(ナルトっ!!!)

 

 とっさにその声も出なかった。

 当の本人も同じ状態のようで、まるで反応しきれずにいる。

 その時、軽やかに中に飛び上がってナルトを救ったのはサスケだった。

 颯爽とクナイや手裏剣を放って、彼らの武器を瞬時に使い物にならなくする。

 さらに蹴りまでくらわせた。

 しかし、敵もそう簡単には動きを止めなかった。

 息もピッタリにナルトの脇をかすめて、サクラとタズナの元へ突進して来た。

 

 

「おじさん、さがってェ!!」

 

 

 懸命に強張る体を動かし、サクラはタズナの前に立ってクナイを構えた。

 

(わたしがやらなくちゃ……!!)

 

 その思いだけでそう叫んだ。

 その時、目の前に二つの黒い頭が立ちはだかった。

 サクラがそれが誰かと認識する間もなく、示し合わせたようにそれぞれ一人ずつの敵を蹴り倒した。

 

 

「サスケ君!! ……と……え? ナナ……?!」

 

 

 サクラは今の光景を疑った。

 が、紛れもなく、一瞬にして彼女と敵の間に回りこみ、敵のひとりに攻撃したのは、アカデミーでナルトと『ドベ争い』をしていたナナだった。

 しかも、大人の男の体が吹き飛ぶほどの、強烈な蹴りだった。

 

 

 その後、思わぬ展開に、二人の襲撃者は逃亡を図ろうとした。

 が、変わり身で無傷だったカカシによって決定的なダメージを受けることになる。

 その敵の様子を見届けると、ナナはサスケと同じくらい涼しい顔でパンパンと二回ほど服のホコリを払った。

 

 

「よくやったな」

 

 

 とカカシに言われ、無邪気に微笑んだ様は、いつも変わらなかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 そして今、サスケに引きずられるようにして木陰へ移動するナナも、普段と変わらないように見える。

 

 

「忍がこんな時に熟睡するなってばよ……」

「お前に言われちゃナナもおしまいだな」

「どういう意味だってばよ!!」

「騒ぐなドベ」

 

 

 サスケとナルトの言い争いにも全く起きる気配のないナナを見ながら、サクラは半分ナナの力を疑って、半分はなんとなく確信していた。

 どっちにしろ、タズナを守る体制をとることが精一杯だった自分よりも、応戦したナナの方がずっと忍らしかった。

 アカデミーでは、筆記はもちろん、実技もナナとは比べ物にならないほど成績はよかった。

 それでも、実戦で動けなくては意味がないのだ、、サクラは自分を密かに叱った。

 彼女の耳には、まださっきのナルトの誓いが残っていた。

 

(もう逃げない……)

 

 サクラもまた、密かに強く誓った。

 

 

 

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