「面白いものが出来たよ!盟友!」   作:黒夢羊

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なんか東方projectの二次創作を読んでいて、こういうの読みたいなーと思ったんですけど、見つからなかったので書きました。
あったら教えて下さい。読みに行きます。

本作品は作者の好みで書いているために各キャラの一人称や、それぞれの関係性が原作や公式作品、他の方や一般的な二次創作とは大きく異なる可能性がありますのでご了承下さい。




……今思えば、こんなマシンがゲーセンとかにあったか?ってなってますが、この物語の外の世界ではあるってことにしておいてください。



第1話 ある日いつもの宴

 

 

「相性診断マシィン~?なによ、その胡散臭いやつ」

 

 忘れられしものが集う最後の楽園、幻想郷。

そんな世界を維持するために必要な存在である博麗の巫女が住まう博麗神社には今宵開かれる宴会のために幻想郷中の様々な人妖が集っていた。

 

 飲めや飲めや、歌えや歌えのドンチャン騒ぎ。

深まっていく暗闇とは反対にその存在を示す明かりのように博麗神社の境内は明るい空気に包まれていた。

 

 

 宴が進むにつれ、飲むだけ歌うだけではもの足りぬと余興が始まる。

鬼と天狗の酒飲み勝負、人形使いの演劇、騒音霊達の演奏会……と、宴会場の所々で行われる余興に酒で頬を赤らめる者達は大いに盛り上がる。

 

 

 そんな会場のとある場所。

 

 周囲と同じように酒で頬を赤らめた今代の博麗の巫女である博麗霊夢は、目の前に出された機械の名前を怪しさ満点だと言わんばかりに声に出す。

相性診断マシンと名付けられたそれは、河童である河城にとりが外界……つまり外の世界から流れ着いたものを、彼女が見つけ修理し、この宴会場に持ち込んだものである。

 

 当然と言えば当然だが、自身が持ち込んだ機械に対してあまり良い反応を示さなかった霊夢と、彼女と共に酒を楽しんでいた魔法使いである霧雨 魔理沙も同様の反応を示したが、持ち込んだ当の本人であるにとりはそんな彼女達を気にすることなく自慢げに説明を始める。

 

 

「そう!コイツはその名の通り、質問に答えるだけで二人の相性を数値化して診断するマシンなのさ!」

 

 

 そう言いながらにとりは機械のタッチパネルに触れる。すると軽快な音楽と『どっちで診断するか選んでね!』と音声が機械から流れる。

そしてにとりは表示された2つのマークのうち片方の『友情度診断』をタッチし、機械から振り返る。

 

 

「えーと、そうだね……じゃあ、魔理沙!」

「うぇ?私なのかだぜ?」

「うん、ちょっとこっちに来てマシンの指示に従って答えてみてよ」

 

 

 指名された魔理沙は面倒くささ半分、興味半分といった面持ちで、その腰を上げてマシンとにとりの元へ向かう。

にとりから基本的な操作の仕方を教えてもらい、順調に、しかし時に悩みながらマシンから出される質問に答えて行く。

そしてそれから1、2分程が経過した時。ある質問に魔理沙がある質問に答えた終わるとマシンから先程同様に軽快な音楽が流れ、続いて音声が発せられる。

 

 

『これであなたへの質問は終わり!次の子に変わってね!』

「だ、そうだぜ?」

 

 

 画面からにとりの方へと顔を向ける魔理沙。

するとにとりは彼女と交代し、マシンへ向かうと、先程の魔理沙と同じように画面を操作していき、質問に答えて行く。

 

 

『じゃあこれで2人の診断は終わり!結果はちょっとだけまってね』

「よし、後は結果を待つだけだよ」

 

 

 先程まで質問が出されていた画面には丸ゲージが表示され、中央のパーセントと共に並ぶ数字が増えていく次第にゲージが満ちていく。

ゲージが満ち、中央の数字が100%に達すると、再度画面が変わり『画面をタッチして診断結果を確認してね』という表示が浮かびあがる。

 

 それをにとりがタッチすると画面が三度切り替わり、診断結果が二人に出される。

 

 

「『友達としての相性は58%、普通の友達。2人の中は決して悪くないけど、親友まで行くかはアナタ達次第だよっ!』か」

「うん、まぁ、あってるんじゃないかな?」

 

 

 魔理沙が診断結果を読み上げると、にとりはその結果に同意する。

そして、後ろでその一連の様子を眺めていた霊夢達に向き直る。

 

 

「……と、こんな感じなんだけど、どうだい?やってみる気はないかな?」

「まぁ、暇潰しにはなりそうよね。魔理沙、やってみる?」

「おう、いいぜ!」

 

 

 デモンストレーションの結果は上々だったようで霊夢は興味なさげにそう言うが、やる気は満々だということがその態度でわかる。

そしていろんな意味で、霊夢はここに集まる人妖達から注目される輪の中心的存在だ。

そんな霊夢がマシンへ向かっているとなるとどうだろうか?

 

なんだなんだ、と次から次へと各々で騒いでいた者が集まり始め、その者達へにとりは先程の霊夢達にしたようにマシンの説明をしていく。

説明を聞いたものは、ほう、面白そうだなと言う者もいれば、興味を失い酒を飲み、つまみを口に運ぶことに戻る者も居た。

 

 

 まぁ、それに対してにとりは別になにも思うことはない。この機械を見つけたのは偶然だったし、壊れかけのところを直したのも単に好奇心からだから。

直ったそれをみても単体ではどうしようもない代物だったので単純に今回の宴会場の賑やかしになればいいな程度にしか思っていなかった。

 

 

 そう、だからこそ。

そんな善意で持ってきた彼女が、この後起こることを想像できたかと言えば若干怪しいところではあるだろう。

 

 わいわいとマシンの結果に一喜一憂する幻想の少女達を眺めるにとりへ1人の烏天狗が近寄る。

烏天狗の名は射命丸 文。幻想郷最速の座を争う一人であり、『文々。新聞』を発行している新聞記者でもある。

彼女も新聞のネタになるからであろうか、先程までマシンに向かい天狗仲間の犬走 椛と診断をしていた。

 

そんな彼女は自分よりも門番との方が妹との友情度が高いとかいう結果に怒りを覚え、門番に八つ当たりをしている吸血鬼の声と八つ当たりを受ける門番の悲鳴をBGMに、にとりへと質問を投げ掛ける。

 

 

「1つ気になったんですが、あれって友達の相性以外は診断できないのですか?」

「え?他にももう一個恋愛の相性が診断出来るよ?」

「……『恋愛の相性』?」

「うん。まぁ友達の相性診断の恋人バージョンみたいなものかな?それなら出来るよ」

 

 

 騒がしい宴会場でにとりの発したその一言は、決して大きくなく、宴会場全てに響くものではなかった。

しかし、彼女がその一言を発した瞬間、宴会場は……いや、正確に言えば宴会場で騒いでいた多くの者がピタリと、どこぞの時を止めることが出来るメイドが能力でも使ったかのように静寂に包まれた。

 

 

「え、え?」

 

 

 その多くの者に今のところは該当しない1人であるにとりは何故、いきなり宴会場が静かになったのかと戸惑いを隠せないでいる。しかし、一部の者は酒を浴びるように飲んでいたりするので時が止まったと言うわけではないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─さて、話題は突然変わるが、現在宴会場となっている博麗神社には境内で騒ぎ倒している者達以外にも1名、彼の式を合わせて1名と2体の式がいる。

彼らがこの幻想郷に来たのは色々と偶然とある者の思惑と企みが絡んでいて、それが幻想郷を揺るがす大事件となる異変に発展したりしたのだが、それは今回の件には関係しないので省かせて頂く。

 

 そんな彼らはその異変の中で多くの幻想郷の者達を繋がりを持ち、交流をしていったのだが、その過程で想いの強弱はあれど彼に対して好意を抱く少女が多く現れ、異変が落ち着いた現在は彼女らによる恋の戦いが密かに行われていた。

 

 

……とまぁそんな中で、誰かとの恋人としての相性を診断する装置が現れたらどうなるだろうか。

 

 

 そう、自分との相性を測ってみたいのではないだろうか。

だが現状、誰1人としてその一歩を踏み出そうとはしない。それは何故か。

考えてみて欲しい。

 

確かに好きな人との相性を知りたい。だけどもしもその結果が低い数値だったら?そんな考えが彼女達の足を止めていた。

 

 

 

 しかし、その中で一人の少女がその止まっていた一歩を踏み出した。

名を東風谷 早苗。守矢神社の巫女であり風祝の少女。

彼女は外の世界で過ごしていたが自身の母とも呼べる神々が幻想郷に移ることになったために付いていく形でこの幻想郷へとやって来たのだった。

 

そんな彼女は今宴会場を離れ、皆が口に運ぶおつまみを作っている彼とは元々外の世界での知り合いであり、学校と言う場所では先輩と後輩と言う関係で1年間だけではあったが仲良くしていた。

その中で恋心を抱くも、幻想郷へと移らざるをいけなくなり、想いも伝えないままに別れだけを告げた。

それは彼女の苦い初恋として終わる……筈だったのだが、なんの因果かその彼が幻想入りをした。

 

それを知った彼女は今度こそ想いを伝えようと、我慢なんかしないと、良い意味でも悪い意味でもこの幻想郷に染まってしまったその思考で時に強引に、時には恥ずかしがりながらも彼女なりにアプローチをしている。

 

 しかし、当の相手は鈍感が極まっているのかアプローチに気づく気配がない。

ならばここでこのマシンで相性が良いことを実際に数値化して見せ、賭けではあるが、もしもその数値が高ければ彼も意識してくれるのではないかと思い、周りの少女達が足踏みする中、その一歩を踏み出したのだった。

 

 

「真上先輩~!」

 

 

 駆け出した早苗を見た少女達が我に帰った時には時既に遅し。彼女は彼が料理を作っている厨房へとその姿を消してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この幻想郷に来てから少なくない時間が経過した。

最初は森のなかに放り出されて、色々と危険な目にあったり、誤解が解けて仲良くなったり。

色々と大変なことが重なったが、どうにかこうして危険と隣り合わせの幻想郷でも生きていけている。

 

 その間に様々な異変が起きたが、まさかカードゲームの異変が起きるとは思いもしなかった……。

というか、博麗さんとかがノリノリでカードゲームに興じる姿を見るのはちょっと以外だったな。

……まぁ、自分も何時ぶりか分からない娯楽を楽しんでたからあれですが。

 

 

 

 

 そんなことを考えていると、ポンポンと軽く肩を叩かれる。

叩かれた方へと顔を向けると、そちらには角と鬣を生やした虎の頭部を持つ偉丈夫が、小さく棒状にカットされた蓮根をまな板に乗せて此方へと差し出してくる。

 

 

「ありがとう、シド。戻ってていいよ」

 

 

 自身の式にそう感謝を告げると、目を細め、小さく唸るとボンと煙と共に姿を消す。

そろそろ前に持っていったおつまみがなくなる頃だろうし、早めに揚げないといけない。

 

予め火をつけておいた小さめの鍋にさっき用意してもらった蓮根を入れ、軽く揚げていく。

ある程度まで揚げ終えると皿へと移し、また次の蓮根を入れる。

 

 この幻想郷の宴会ではとにかく量が消費される。

時を止めたりすることが出来る十六夜さんや大量の食事を作るのに慣れている魂魄さんとは違って、自分に出来るのは軽いつまみが限界だ。

とにかく量を生産するために手早く作れるものを量産しているが、これも何時まで持つやら……。

 

 

そう思っていると、ドタドタと足音が聞こえ何者かが此方へとまっすぐに向かってくるのがわかる。

おつまみの催促だろうか。ならば申し訳ないが全部揚げ終わるまで少し待ってもらおうか、それとも今出来ている分だけでも持っていってもらおうか……何てことを考えているとその足音の主が姿を表した。

 

 

「真上先輩!」

 

 

 そう自分の名前を呼ぶのはこの幻想郷において1人しかいない。

外の世界での後輩であり、この幻想郷においては先輩に当たる年下の少女の東風谷 早苗さん。

 

こんな自分とも仲良くしてくれた数少ない後輩なのだが、家族の都合で遠い場所へと行くことになったと言われた時は悲しんだものだ。

ただ、こうやって再び幻想郷という場所で再会したのは予想外だったが、同時に嬉しくも感じた。

 

向こうも嬉しいのは同じで、感極まったのか涙目で抱きついてきたのには驚いたが。

そのあと我にかえって顔を真っ赤にしながら謝罪してきたので、気持ちは分かるけど年頃の女の子が軽々しく男性に抱きついてはいけないと注意したのだが、何故か「先輩は絶対に私の気持ちは分かってないです!」と逆に怒られてしまった。

 

確かに、片やその場所に残り対して変わることのない日々を過ごしていた者と、片や知らぬ地で知り合いは家族以外にも居ない者では寂しさには大きな差があっただろう。

そこに気づけないとは……やはり自分は駄目だなぁと反省したものだ。

 

 

 

 

閑話休題(それはおいといて)

 

 

 さてさて、何用だろうか。

普段は足音を立てるなんてことはない彼女が足音を立ててまでやって来たと言うことはそれなりに急ぎの用と考えるのが妥当だろう。

 

 だとすればおつまみが少なくなって取り合いでも起き始めたのだろうか。しかし、大変失礼な物言いになってしまうが宴会に来ている幻想郷の有力者の皆様はつまみよりも酒、というイメージがある。

その為に、至急つまみの補給を要求するなんてことは起きない筈だが……。

 

 ひとまず彼女から要件を聞き出さなければ分かるものも分からないだろう。

 

 

「どうしました、早苗さん。つまみならもうすぐ出来上がりますg──」

「そんなことは良いからこっちに来てください!」

「え、え?ちょっ、ちょっとま「良いから来てください!」

 

 

 要件を聞こうとすればいきなり腕を掴まれ、その細腕の何処から出てるのかと思えるほどの力で引っ張られる。

まだ、火をつけているから待って欲しいと言おうとすればそれすらも遮られる。

しかし、彼女が其処まで急かすほどの事ならば余程一大事なのだろう。それこそ要件を言う暇すら惜しいと言う程に。

 

ならば、自分がどこまで役に立てるかは分からないが行くしかないだろう。

ただ、火をつけっぱなしというのも危ないのでシドとは別の、もう一体の式に火の番を任せておくことにする。

 

 

「サジ、火の番お願い!」

「ほっほっほ、分かりましたぞ」

 

 

 もう1体の式であるサジにそう頼むと、穏やかな御老人の声と共に厨房から4本の角と鬣を生やした羊の顔が現れ、毛むくじゃらの手を振って見送ってくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、要件というのが……」

「はい!このマシンです!」

 

 

 いざ、何事だろうかと慌ててやって来てみれば宴会場は静まり返っており、自分が姿を現せば多くの瞳が此方へと向けられ、思わず軽く怯んでしまう。

しかし、依然として腕は掴まれている為に引っ張られると進まざるをえないわけで。

 

 そうして進んだ先にはなにやらこの場には似つかわないような機械が。

どうやら宴会場の娯楽として河童の河城さんが持ってきたものらしく、どうやら質問に答えた2人の相性を診断してくれるという代物とのこと。

 

 

 暫くはそれで遊んでいた彼女達だったが、異性との診断ではどうなるのだろうかと疑問が浮かび、かといって今から誰か男性の河童や天狗、鬼を連れてくるのもという事で自分に白羽の矢が向けられたと言うわけらしい。

 

成る程……と直ぐ様納得行くには少々難しいが、付き合いのある人の思いすら汲み取ることが出来ない自分が分かるわけはないだろう。

 

 

 そう浮かぶ疑問を強制的に終わらせると、早苗さんに進められるままに画面をタッチしていき質問に答えて行く。

結構『好みの女性はこの中で誰?』とか思ったよりもグイグイ聞いてくるもので、驚いた上に周囲を囲むように見られて来るので少々……いや、かなりやりづらかったがどうにか質問を終えることができた。

 

 さて、質問を終えて早苗さんの番になり、彼女は鬼気迫る表情で、さも自らの人生がかかっているとばかりに慎重に質問に答えて行く。

 

 

……そこまで慎重に答えなければならないものだろうか?と思うが、自分は男で彼女は女性である。

女性は男性よりも身なりを整えるのに時間がかかると言うし、そういう質問にも答えるのにも慎重になるのだろう。

 

 そうして10分以上が経過した時、ようやく早苗さんが質問を終えて診断結果が発表される。

 

 

「どれどれ……『恋人の相性は73%、恋人としての相性は抜群!よりお互いについて知ってもっと仲を深めよう!』ですか……これは喜んで良いんですよね?」

「喜んで良いに決まってますよ!私達やっぱり仲が良いので恋人としての相性も良いんですね!!」

 

 

 そう言いながら興奮した様子で腕に抱きついて来る早苗さん。

女性特有の柔らかさと甘い匂いが自分の理性に激しい攻撃を仕掛けてくるが、勘違いしてはならない。

あくまでも彼女が喜んでいるのは相性が良いからであって、決して自分と恋仲になりたいというわけではない。

 

自分だって外の世界で仲良くしてくれた彼女達とこれをして相性が悪かったら落ち込むし、良かったら嬉しいものだ。

彼女が今喜んでいるのもそう言うものである。

 

 

 しかし、これ以上抱きついていては彼女が将来結婚した時に何かあっては困るだろう。

いい加減彼女のこの抱きついてくるのをどうにかしなければと思うのだが、その度に何故か逆に説教を受けてしまう。

 

だが、彼女の為にもなんとか引き離す。

非常に残念そうな表情を浮かべられ、何故かこちらが申し訳なく感じるのだが、仕方ない。

 

取り敢えず、これで彼女達の要望には答えられただろうし、これ以上自分という邪魔者が居ては楽しむものも楽しめないだろう。

そう思いそそくさとその場から去ろうとしたが、早苗さんが抱きついていた腕とは反対の腕を強く掴まれる。

 

誰だと思い掴んだ者をへと視線を移すと、かなり必死な表情を浮かべる博麗の巫女の博麗さんがそこには居た。

 

 

 どうしたものか、と首をかしげると博麗さんは酒が回っているのか頬を赤めながら掠れるような声で何かを呟く。

 

 

「博麗さん?」

「わ……も…る……」

「はい?」

 

 

申し訳ないことにうまく聞き取れなかったので不快にならない程度に顔を近づけて、聞き取ろうとする。

すると、今度ははっきりと……ではないが、なんとか聞き取ることができた。

 

 

「私もやる……」

 

 

 成る程。

異変での勇ましい姿と日々の飄々とした彼女を見ると忘れそうになってしまうが、彼女とて年頃の少女なのだ。

そういうことに興味だって持つだろうし、そういう色恋沙汰の娯楽が少ない幻想郷では尚更だ。

 

 それに博麗の巫女というのはこの幻想郷において特別な存在で、それ故に人里の人々の中には畏敬を持って接する人も少なくない。

外の世界の友人である彼女達も色恋沙汰は乙女にとって必要なモノと言っていたし、同じ人間から距離を置かれていては余計にそういうことに飢えていることだろう。

 

 ならば、例え相手が自分という望まない存在だとしても、チャンスがあるならこういう遊びに興じて、そういう話題を作ってみたいと思うのも分からなくはない。

 

 

「分かりました、ではやりましょうか」

「……!いいの?」

「はい」

 

 

 自分が頷くと、驚いた声と共に俯いていた博麗さんの顔が上がる。

やや食い気味に問うてきた彼女に後退りしながらも、このくらいのことなら訳ない。

 

何故か早苗さんが挑発するようなドヤ顔を博麗さんに向けているのが気になるが…それは見ないことにしよう。

 

 

そして先程同様に質問に答えて、診断結果を見ると。

 

 

「『恋人の相性は78%。恋人としての相性は抜群!よりお互いについて知ってもっと仲を深めよう!』……早苗さんと同じですね」

 

 

 結果は数値がやや違うだけで早苗さんと同じ内容。

これで彼女の期待に答えられたかは分からないが、博麗さんの嬉しそうな顔を見る限り、きっと答えることが出来たのだろう。

 

 さてさて、今度こそこの場を去ることにしよう。

それに残したおつまみを冷める前に──もう既に冷めている気もするが──持ってこなければならない。

 

 そうしてドヤ顔を浮かべる霊夢さんとそれを睨む早苗さんを尻目に厨房へと戻ろうとした時に腕を掴まれる。

──2度あることは3度あると言う。さて今度は誰であろうか……と思い向き直ると、そこには博麗さんのように頬を少し赤らめながら、それに加え上目遣いでこちらを見つめる射命丸さんが。

 

どうやら自分も愛読している『文々。新聞』のネタとして強力して欲しいのこと。

流石に断ろうとしたが、美人の上目遣いというものはかなり破壊力がある。

幻想郷に来て美人にある程度の耐性が付いてきたと思っていたのだが、流石に上目遣いというのは中々に無いもので、迷った末に了解してしまった。

 

それに続くように他にも寅丸さんや優曇華院さんもやってみたいと手を上げる。

 

 

 

 

 

……当分厨房には戻ることはできなさそうで、サジに申し訳なく思いながらもやるしかないと腹をくくった次第である。

 

そしてまさかこれが後々あんな大騒動になるとは思ってなかったわけで、やはりあの時無理を言ってでも射命丸さん達の要望を断って厨房へと戻っておけばよかった、と思うことになるのは大分後のお話。

 





簡単ですが紹介を。

真上……主人公。鈍感。彼や地の文が話してた異変については他の奴で上げるかもしれません。

シド……真上の式その1。基本無口のパワーファイター、言うことは基本聞く。猫だけど犬っぽい。

サジ……真上の式その2。優しい爺さんっぽいマジックキャスター、言うことは聞いたり聞かなかったり?意外と意地悪。

今後の展開の優先度について

  • 幻想少女とのやり取り重視
  • 異変について
  • 外の世界の友人達との再開
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