五等分の花嫁と七色の奇術師(マジシャン)   作:葉陽

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第12話 今日はお休み ②

~オリ主サイド~

 

「もう花火大会始まっちゃうわよ。……なのになんで私たち家で宿題してんのよ!」

 

「週末なのに宿題終わらせてないからだ!」

 

 中野姉妹は夏休みの宿題とかは最終日にまとめてやるタイプだな。

 

 僕? 僕は夏休みが始まる前にあらかた終わらせる人間だから。そして終わっていない人をいじるタイプ。

 

「片づけるまでは絶対祭りには行かせねー!!」

 

「あっ一花ここの数式間違ってるよ。せっかく使う公式までは合ってたんだから計算は間違えないようにしないとね!」

 

「あ! ほんとだ。ありがとねー」

 

 という感じに宿題を手伝い始めて1時間。やっと終わったのでこれから夏祭りに向かう。

 

「終わったー!さっあんたたち支度しなさい!行くわよ!」

 

 急に元気になったな。オ〇ナミンCでも飲んだ?

 

 

 

 

 

ーーー………

 

 

 

 

~夏祭り会場~

 

「やっと終わったー!!」「みんなお疲れさまー」「花火って何時から?」

 

「19時から20時まで」「じゃあまだ一時間あるし屋台行こー!!」

 

 明るい中野姉妹とは裏腹に祭りにふさわしくないドヨーンとした空気を纏っている上杉。

 

「上杉さん早く早くー!」

 

(はぁ……きょうはいつにも増して騒がしいなこいつらにしては宿題もすんなりやってたしそこまでして花火を見たいかね……)

 

「なんですかその祭りにはふさわしくない顔は」

 

 五月がフランクフルトを食べながら木を囲んでいる柵に腰かけている上杉に声をかける。

 

「! 俺はなんて回り道をしてるんだと思って……」

 

 返事をし、五月に目を向ける上杉だが、髪形を変えた五月が中野姉妹のだれかがわからなかったみたいで五月を見つめる上杉。

 

「あ……あんまり見ないでください」

 

 照れくさいのか髪をいじる五月。

 

「誰だ? ただでさえ顔が同じでややこしいんだから髪型を変えるんじゃない。」

 

 直球で聞くなよ。もっと観察しようぜ。

 

「五月です!どんなヘアスタイルにしようと私の勝手でしょう!」

 

「上杉よもっと観察をするのだ。手にフランクフルトを持ち、星形のヘアピンをつけているのは五月しかなかろうて」

 

 ちょうど三玖に抱き着きながら歩いてきた一花が口を挟む。

 

「女の子が髪型を変えたらとりあえず褒めなきゃ、もっと女子に興味持ちなよ!」

 

「そうなのか……?」

 

 いいぞ一花! もっと言ったれ!

 

「ほら、浴衣は本当に下着を着ないのか興味ない?」

 

 そう上杉に囁く一花。

 

「それは昔の話な。知ってる。」

 

 何の動揺もなく返す上杉に対抗し、少しだけ浴衣をずらす一花。

 

「本当にそうかな~? ……なーんて冗談でーす。どう? 少しはドキドキした?」

 

(こいつら妙にテンション高いな……うざ……)

 

 

「あ!お兄ちゃん見て見て四葉さんがとってくれたの」

 

 そう言い大小さまざまな金魚がたくさん入っている袋を見せるらいはちゃん。

 

 めちゃめちゃ入ってんな。パッと見ても10匹以上いるぞ。

 

「おー!四葉すごいね!」

 

「もう少し加減はできなかったのか……」

 

「あはは……らいはちゃんを見てると不思議とプレゼントしたくなちゃいます」

 

「これも買ってもらったんだ」

 

 今度は超花火セットと書かれたもの。

 

「それ今日一番いらないやつ!」

 

「だって待ちきれなかったんだもーん」

 

「いつやるんだよ……四葉のお姉さんにお礼言ったか?」

 

「四葉さんありがと。大好きっ」

 

 四葉に抱き着きながら言うらいはちゃんにキュンキュンして頬ずりをする四葉。

 

「あーんらいはちゃん可愛すぎます。私の妹にしたいです。……待ってくださいよ私が上杉さんと結婚すれば合法的に義妹に出来るのでは……」

 

「自分で何言ってるかわかってる……? 四葉に変な気起こさないでよ!」

 

 上杉に指さしながら詰め寄る二乃。上杉は後ろに下がり追及を逃れようとするが三玖にぶつかってしまった。

 

 ドンッ

 

「すまん」

 

「上杉気をつけろよ」

 

「い……いい、それよりも二乃がお店の屋上を借り切ってるから付いていこう」

 

 あれ? ちょっと三玖さん顔赤くないですかー? んー?

 

「ブ……ブルジョワ……、それならさっさとここ抜けて行こうぜ」

 

「ぜひそうしてほしい、少し人に酔ってきちゃったよ」

 

 気持ちの問題かな? どうしても人が多いと空気が悪く感じちゃうんだよね。

 

「待ちなさい、せっかくお祭りに来たのにアレも買わずに行くわけ?」

 

「アレ?」

 

「そういえばアレ買ってない……」「あ、もしかしてアレの話してる?」「アレやってる屋台ありましたっけ……」「早くアレ食べたいなー」

 

「なんだよ……」

 

『せーの』

 

『焼きかきリン人形チョコそば氷ゴ飴焼きバナナ』

 

「「……」」

 

 見事にみんな違うの食べるんだな。

 

『全部買いに行こーっ!』

 

「お前らが本当に五つ子か疑わしくなってきたぞ」

 

~しばらくして~

 

「あれー? 五月どうしたの?」

 

 五月が眉を眉間に寄せて怒っている。ぷんすかという文字が浮かんでみえるくらいだ。

 

「機嫌直しなよー」

 

「思い出しても納得がいきません! あの店主一花には可愛いからおまけと言って私には何もなしだなんて! 同じ顔なのに!」

 

「その店主の好みが髪はショート派だったんじゃない? 同じ顔だからこそね。それか仲良く分けると思ったんじゃない?」

 

 なんで僕がしらないおじさんを援護しなきゃいけないんだ。

 

 ちなみに僕はさっき三玖と一緒にお面を買いました。三玖はひょっとこのお面で僕は七つの球を集めると願いが叶う物語で出てきた悪の宇宙の帝王のお面を買った。売れ残ってたけど……。ファンとしては心が痛い。

 

「あんたたち遅い!!」

 

「二乃の奴気合入ってんな」

 

「それな、いつもの勉強でもそれくらい気合入れてくれると嬉しいんだけどねー」

 

 無理だろうけど……。

 

「お前たちもずっとテンション高いし花火なんて毎年やってるだろ」

 

「花火はお母さんとの思い出なんだ。お母さんが花火が好きだったから毎年揃って見に行ってた。お母さんがいなくなってからも毎年揃って。私たちにとって花火とはそういうもの」

 

(そういうことかどうりであいつが張り切るわけだ。雪斗から聞いたがあいつは家族が大事なんだな。)

 

『大変長らくお待たせいたしました。間もなく開始いたします』

 

 ワァッ!

 

「どっちだっけ?」「もう上がってる?」

 

「痛っ、足踏んだの誰よ!……ちょっとみんなどこ? 四葉! 一花! 五月! 三玖! 雪斗!……フ…」

 

「掴んでろ」

 

 おーっと!ここでかっこよく上杉が登場!……ちなみに僕は気配を消してすぐ側にいます。助けなくてゴメンね二乃。上杉の好感度も上げたいんだ。

 

「何よ……」

 

「こんなところじゃ埒が明かない。ひとまず予約したっていう店に案内してくれ」

 

「あんたなんかお呼びじゃないわよ」

 

「はいはい行くぞ、五人で花火見るんだろ」

 

 ぎゅっと上杉の服の袖をつかむ二乃。

 

~数分後~

 

「やっと抜けたわ!あんたが道を間違えるから遅くなったじゃない」

 

 あー揉まれた揉まれた、社会の荒波に揉まれちまったよー。

 

「お前が歩くの遅かったせいだ」

 

 いやあれは上杉が悪い。なんで右って二乃が言ってたのにまっすぐ行くかねー。無視してたの?結構大きい声で言ってたと思うけど。

 

「まぁいいわ、それよりここの屋上よ。きっともうみんな集まってるわ」

 

 階段を駆け上がり屋上に着くと同時にドォォオン! と花火の花が咲いた。

 

「あっ、どうしよう……よく考えたら今年のお店の場所私しか知らない……!」

 

 「それはやばい。やばくね? マジやばくね?」

 

 これがやばいの三段階活用。テストに出るぞ! 覚えておけよ!

 

「あんたいたの!? いたなら声かけなさいよ!」

 

「ごめんごめんごー」

 

「その言い方腹立つわね」

 

「それよりどうすんのよ!このお店の場所は私しか知らないのよ!」

 

 

 

 花火大会終了まで00:59:51

 

 


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