五等分の花嫁と七色の奇術師(マジシャン)   作:葉陽

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 最後の試験が〇〇の場合シリーズはその人視点です。後書きに今後の執筆活動について書いてありますので出来れば目を通していただくと助かります。

2/12 個人的な都合で取り下げて、急遽書き換えましたが中身は変わってません。


第55話 最後の試験が三玖の場合

「それでは試験を開始します」

 

 その声が耳に届いた瞬間に、シャーペンが解答用紙を走る音があちこちから聞こえてくる。 

 

 この試験で目指すのは赤点回避だけじゃない。

 

 他の姉妹にも負けたくない……あの日そう決めたんだ。

 

 

 

 3月、三玖は意志を固めて期末試験へと挑む。

 

 この一日が自分と、そして彼らとの今後を左右する大事な日なのだ。

   

 

 

 

 

 

 

 

 一月のとある日、姉妹たちは炬燵を囲み、勉強会の準備をしながら話をしていた。

 

「冬休みも終わっちゃったね」

 

「あんたたちのクラスも進路希望調査もらった?」

 

「何書けばいいかわからない」

 

「そんなのやりたい事を書けばいいじゃない」

 

「……私がやりたい事……」

 

 ……私がやりたい事って何だろう……? 

 

 三玖は自身の手を見つめながら、自分には一体何が出来るのかを模索していく。

 

 勉強では歴史しか得意だと胸張って言えないし……それに歴史の知識で職を探すのは無理だよね……。それ以外に私が自信を持ってるものって……。

 

 ……ないなぁ。

 私は一花のように社交的ではないし、二乃のように料理上手じゃない。四葉みたいに運動はできない。五月みたいに何事も真面目には出来ない。考えれば考えるほど自分には何もないかのように思えてきて、胸の内に不安が零れてくる。

 開いた私の手には、香水の香りはない。洗剤の匂いはしない。運動で出来た肉刺もない。ペンで擦れた傷跡もない。

 何もない真っ新だ。そんな何もない私が、進路を見つけることが出来るのかな……。

 

「よーし集まってるな」

 

「ちわー、さて今日も授業を……」

 

 両手を眺めて思い悩む三玖の考えを打ち切ったのは、時間通りにやって来た家庭教師たちの声。

 

 ……今はまだ未来の事は置いておこう。まずは試験で赤点回避する事。それが第一目標だから……。あと、ユキトのチョコの好みを知る事。

 そうと決まれば早速チョコをユキトに食べてもらおう。鼻血を出しているユキトに五月が慌ているのを横目に、側に置いてある自身の鞄を引き寄せてチョコを複数取り出して机に並べる。五月が救急車を呼ぼうとして時報に掛けようとしていることに口元が緩むのが分かる。……でもユキトが鼻血を出した原因って私なんだよね……。ちょっぴり罪悪感を感じながら口を開く。

 

「今日も持ってきたから、食べて感想教えて」

 

 今日も色々な種類のチョコを持ってきた。……ユキトはどれが一番好みなのかな?

 

「ありがと~。…………うん。わからん! そもそも僕は食べれればそれでオッケ! できれば甘いのが良し!」

 

 むぅ。それじゃあ分からないよ……。今日もユキトの好みは分からなかったことに肩を落としながら、頭の片隅に『甘い物』をメモしておく。甘ければ何でもいいのかな……。香りとかは気にしたりしないのかな……。

 

「あら、丁度甘いものが食べたかったの」

 

「二乃にはあげない」

 

「はぁ? 独り占めしないでよ」

 

「しないよ、まだ」

 

 私に手のひらを差し出してきた二乃に、うっすらと笑みを浮かべて断る。独り占めするのはまだ先だから。

 

「ユキト、全部食べて感想聞かせて」

 

 新しく鞄から出したチョコを机に並べて言う。だからユキト。私がユキトを独占できるように色々教えて。チョコの好みも、勉強も、色々。

 

「さっきも言ったけど食べれれば大丈夫なんだけど……まあ頂くけど」

 

「わ、私も一つくらいは」

 

「だめ、五月は一つじゃ止まらない」

 

 ユキトの為に買ってきたチョコなんだし、五月が食べちゃったら意味がない。それに一つじゃ済まなそう……。チョコを口に運んだユキトの、珍しくへにょりと眉尻が下がる様子を見て、そのチョコの銘柄を覚える。もしかしたらこのチョコがユキトは好きなのかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 

 今日のユキトの表情から使うチョコを決めた私は、早速試作品作りに励んでいた。

 

 私は料理が下手だから、スマホでクックパ〇ドのレシピを見ながら鍋に火を掛ける。

 

 ……う~ん、湯煎といっても温度ってこれくらいでいいのかな? チョコが溶ければ別にいいよね。

 

 沸騰寸前の鍋でチョコを溶かしている内に、次に何をするのか確認する。

 

 ……次に生クリームを温めればいいのね。

 冷蔵庫から取り出した生クリームを片手に、レシピを最後まで読み進めれば、最後には冷やすらしい。……なら最終的には冷やすんだから別に温めなくてもいっか。そんなに違いは出ないでしょ。

 

 ある程度チョコが溶けたので、そのまま生クリームを適量注いで混ぜる。……一先ず完全に混ざるまで混ぜよ。

 スマホを片手に混ぜ混ぜしていれば、何処か焦げているような臭いがしてくる。

 ……あ、ちょっと焦げちゃったかな? まぁ最初はそんなもんだよね。ユキトだって、最初は失敗して当然だって言ってたし……。だから気にしない。それに焦げは黒色、チョコも黒色だから、見た目に変化はないよね。

 

 鍋にかけていたチョコを耐熱皿に流し入れて冷蔵庫に入れる。

 

 他のレシピを探しにネットの海を漂っていれば、チョコが固まるまでの1時間が経っていた。

 

 ……どんな感じかな?

 

 初めてのチョコ作りに心躍らせながら試作品を取り出せば、廊下をきしませながら一花がやって来た。

 

「三玖、まだ起きてたんだ」

 

「一花……起こしてごめん」

 

 静かに作っていたつもりだったけど、壁が薄いからもしかしたら煩かったのかな……。

 

「チョコ作りの調子はどう? そろそろユキト君の好みを把握してきたんじゃない?」

 

「! ……気づいてたんだ。でも、ユキトは何でも美味しいって言うから難航中」

 

 私は甘いの苦手だから、と呟きながら冷蔵庫から取り出した試作品を台に乗せる。すると、一花が気になるのか覗き込んできた。

 

「……このチョコ、ドクロマークが出てるんだけど……」

 

「……ほんとだ。でもこれは大丈夫な方のドクロマーク。ほら、大丈夫って言ってる」

 

 一花が指さしたところには確かにドクロマークが浮かんでいた。でも大丈夫だよ。だって大丈夫ってこのドクロは言ってるから。私にはそう聞こえる。

 

「え? 今大丈夫って言ってたの? それはむしろヤバいんじゃない? ………ねえ、もっとシンプルなレシピでいいんじゃないかな? 溶かして混ぜて固めるみたいなのとか」

 

「……………」

 

 それをやった結果がこれなんだけど……。

 

 やっぱり私には料理は向いていないのかもしれないのかなぁ……ううん、弱気になっちゃダメ。ユキトには手作りを食べてもらいたいもん。好きな人の笑顔がみたいもん。まだ諦めるのは早い。

 

「…………そうだ。私の知り合いに料理上手な人がいるんだ。その人に教えてもらいなよ。話はつけておくからさ、頑張ってね」

 

 え!? 良いの!? それなら料理下手な私でも手作りチョコを渡すことが出来る。……ふふふ、やった。

 

 

 

――――

 

 

 私は悩んでいた。まだ寒さが厳しい朝、早く起きて台所で左右に首を傾げながら何度もレシピを見直す。……どうして失敗するんだろう……?

 でもその悩みも一花が連れてくる人物に教えられればきっと解決するだろう。一花の顔が広くて助かった。今日が約束の日だけど、一体どんな人なんだろう。

 悩みながらも私はチョコの試作品作りの手は止めない。作っていくうちに何か掴めるかもしれないと思って作っているのだ。でもついさっき出来た新しいチョコにはドクロマークが出ていた。でも……これならユキトも食べてくれるかな……? このドクロマークは大丈夫な方だし……。

 冬休みが明けて、試験に向けて本格的に勉強を始めた後でも、私はバレンタインに向けてチョコの試作品を作ってる。私は甘いものは苦手だから、ユキトの好みがよくわからない。だからこうやって夜に試作品を作ったり、ユキトに市販のチョコを食べさせて好みを理解しようとしてる。けど……まだまだ難航中。

 

 うだうだと考えていては作りたいのも作れない、よしと緩んでいた袖を巻くって気合を入れ直す。まだ時間はある。頑張ろう。

 

「あれ? 一人で何してんのよ」

 

「二乃…今日は学校で勉強会の筈じゃ………」

 

「一花に呼ばれて戻って来たのよ」

 

「えっ 一花の言ってた人って…………」

 

 一花が言っていた料理の上手い人とは、しばしば喧嘩になってしまう二乃だった。正直嬉しさよりも不安が上回ってしまい、自然と口は閉じてしまう。

 

 

 

 ドンッ!!

 

「「!?」」

 

 沈黙が漂っていた空間を割いた音によって、二人は咄嗟に抱き合った。

 

「?」

 

 何の物音だったんだろう……。物音がしたほうに目を向けても、音の正体は分からずじまい。悪戯猫かな……。

 

「……何よ、今のびっくりした……ってこっちにもびっくりだわ」

 

 あ……二乃が私の作った試作品チョコに気が付いた……。

 

「なんなのよこのドクロマークが出てる如何にも危ないチョコは? おいしくなさそうだし、見た目もめちゃくちゃじゃない。こんなのあげて誰が喜ぶのよ? これで喜ぶ人は物好きね」

 

 分かってたけど……知ってたけど……言ってほしくなかったなぁ。……そんな言葉は欲しくなかった。

 

「あんたは味音痴と不器用のダブルパンチなんだから、変な意地張ってないで大人しく市販のチョコを買ってればいいのよ」

 

「……うるさい」

 

 静かな声は怒ると言うよりも、落ち込んでいるようにも見える。

 

 私が味音痴なのは前から知ってる、不器用なのも知ってる……でもそんなことを言われたら、今までやってきたのは意味がなかったんじゃないかって不安になる。言い返すことが出来ない事実も踏まえて、泣きそうな気分になってきた。

 

「ひっ……。で、でも、料理は真心っていうし手作りに意味があるのよね。私だってたまに失敗することはあるわ。それに少し下手っぴの方が愛嬌があるしこれなんてよく見たら虫みたいでかわいいわよね!」

 

 二乃の思っていた反応と違ったんだろう、二乃は言いすぎてしまったことに気づき、三玖を元気づけるべく頭に浮かんだ言葉を早口で捲し立てた。

 

「……無理にフォロー入れなくていい」

 

「……ごめん」

 

 二乃の言ってることは全て真実だから、フォロー入れられる方が悲しくなる。

 

 

 暫くすれば三玖はぽつりと小さく声を出し語りだす。

 

 

「ユキトはどんなものも美味しいって言ってくれる だから私もあれこれと市販のチョコを渡して様子を見てた。本当に不器用だなって自分でも分かってるよ。でもちゃんと喜んで欲しいの。市販のじゃなくて私ので……………だから、食べたくなるようなチョコを教えてください。お願いします……」

 

 初めてだったんだ……私の料理を、ユキトに初めて作った手料理(オムレツ)を、美味しいって言ってくれたのは。

 決めたんだ……私は、私の好きなようにやるって。だから今のままじゃダメ。今までの私じゃユキトを振り向かせることは出来ないから……。

 

 私は二乃に誠意を込めて頭を下げて、チョコ作りの教えを乞う。こんな時に見栄なんて張って、喧嘩なんてしてる場合じゃない。そんなことでチョコを上げられなくなったら嫌だもん。絶対に、ユキトにおいしいチョコを食べてほしいから。

 

 そんな真剣で真っ直ぐで不器用な三玖の姿は、姉妹想いの二乃の心を動かした。

 

「…………油分と分離してるわね。湯煎の温度が高いせいね。それに生クリームを冷たいまま使ったでしょ。舌触りが最悪よ。ていうか、それ以前の問題がありすぎ。なんで湯煎時に沸騰寸前の温度でチョコ溶かすのよ……溶ければいいってもんじゃないわよ」

 

 二乃は呆れながらも私のチョコのダメな部分を1つ1つ的確に指摘してきた。でも湯煎の温度はレシピに書いてなかったから仕方がないよね……生クリームについては弁解できないけど……。

 

「全く……面倒くさいわ、準備しなさい」

 

「……………! うん」

 

 二乃にチョコ作りを教えてもらうことになって、私は思わず頬が緩んだ。

 

「本当 面倒な性格だわ…………」

 

 二乃はそんな事を言ってるけど、料理を教える時の顔は微笑んでいたように見えた。私は二乃に適宜指示されながらチョコを作っていく。こうしてやってみると、最初から二乃に手伝ってもらえばいいかななんて思えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから何度か躓きながら勉強会は進み、遊園地に行くなどの気分転換を挟んでいれば、いつの間にか2月14日になっていた。

 

 

 

 ピピピピ、ピピピピ

 

 

「……ん……ふわぁ……」

 

 2月14日、バレンタインデー当日。スマホに設定したアラームで私は目を覚ます。チョコ作り、朝までかかっちゃったなぁ……。おかげで私も二乃も寝不足になっちゃった。でもそのおかげで、今までで一番の出来になった。ドクロも出てこなかったからチョコは今までで最高のものになった気がする。早く渡してユキトの反応見たいな……。なんて思い耽ながら寝室の襖を開ける。

  

 

「ふぁぁ……眠い」

 

「あっ三玖おはようございます」

 

「お前も二乃も何時まで寝てんだよ」

 

「おはよ~三玖」

 

「ユキトたち…………来てたんだ」

 

 今日も家庭教師の日。最近家庭教師たちが来る時間は指定されず、早く来れる人から来る形になってたから、朝からユキトはまだ来ないと思っていた。けど、私にとっては好都合。早めにチョコを渡すことができるから。………五月とユキトの前に空箱のチョコが置いてある………五月もユキトに上げたのかな? ……まぁいいや。私のチョコの方が美味しいに決まってるし。

 

「実はユキトに渡したいものが……」

 

 そう言いながら冷蔵庫の扉をあけて中を覗く。……あれ?

 

「なんでっ!!?」

 

 ない、ない……どこにもない……ユキトに渡そうと作ったチョコが! 

 

「冷蔵庫に入れておいたチョコは?」

 

「え? チョコ? ……もしかして五月か?」

 

「ちょっと! 何で直ぐにに私を疑うんですか! 私なわけないじゃないですか! 冤罪です!」

 

 五月が無罪を主張するが信じられない。だってどう見たって既製品じゃなくて手作りだと分かるのに……それを食べるって五月以外に誰が居ると……。

 

「あぁーチョコ? ここにあるよ、これ三玖の手作りだろ? 早速食べて良い?」

 

「……そこにあったんだ良かった。是非食べてみて」

 

 二乃に色々手伝ってもらって、真心込めて作ったんだ。絶対美味しいはず。

 

「……驚いたよ。凄い上達したじゃないか。市販のものよりもうまかったよ」

 

 ! 今、ユキトに……私の手作りチョコをおいしいって言ってくれた! それも市販のものよりもだって! ……手作りで美味しいって言われたのはオムレツの時以来だ。……本当に嬉しい。二乃ありがとう!

 

「あ ありがと…そのチョコなんだけど……」

 

「何?」

 

「……ううん、やっぱり何でもない」

 

 そのチョコは実は本命なんだ、そう言葉にすることは叶わず、あと一歩の勇気をだすことは出来なかった。

 

「そっか。……そうそう三玖にはやっぱり伝えておくべきだね。三玖が1番だよ!」

 

「え?」

 

 私が……1番?

 

「い、1番って……それはどう言う意味で?」

 

 もしかして……私の事を……。

 

「それはね」

 

「それは……?」

 

 うるさい位に早鐘を打つ自身の鼓動を自覚しつつ次の言葉を待つ。

 

「先日行った模擬試験の結果だよ! 見て三玖の点数! 65点だよ! 三玖が1番の成績だよ!!」

 

 …………。

 

「……あ……そう」

 

 膨れ上がった黄色い感情がみるみるうちに萎んでいく。

 

 期待してたのと全然違う……。

 

 でも

 

「……ユキト、私頑張るから見ててね」

 

「うん。刮目してるよ」

 

 私が次の試験で他の姉妹より1番の成績を収める。そしたら私の気持ちを伝えるんだ。この関係を終わらせるために……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~」

 

 今日の勉強会が終わってユキトとフータローが帰った後、玄関の外で柵にもたれかかりながら中空に向かって小さく息を吐けば、白い煙となった私の元一部は風に吹かれて霧散していった。

 ……煙草もこんな感じなのかな? 

 自分が煙草を吸っているシーンを想像するが、一花の方が様になりそうだなと、ひとり納得する。

 

「うーさむさむ」

 

 私がユキトの真似をして外の景色を眺めていると、一花が帰ってきた。

 

「お仕事お疲れ様」

 

「三玖、何してるの? っていうか今日バレンタインだよね? ちゃんと渡せた?」

 

「一花は……ユキトにチョコあげないの?」

 

「ど……どうしたの急に? そりゃ誰にもあげなかったらかわいそうだし、お姉さんが買ってあげようかなと思ったけど………三玖があげるなら安心だね」

 

「安心って何が?」

 

「…うーん」

 

 やっぱり……未だに一花は私のことを気を使ってる。『平等に』じゃなくて『公平に』。私はそう決めたんだから。私はそういうの望んでないよ。

 

「そもそも誰もあげてないって考えが間違ってる。今日、五月もユキトにチョコ渡してた。同じのを二つ買ってきて一緒に食べてた」

 

 ………今思うともしかして五月もユキトの事を? ……ううん。きっと気のせい。五月の事だから普段のお礼のつもりであげたんだろう。

 

「ユキトは私たちを女性としては見てくれてる………でもただの生徒、友だちとしか見ていない」

 

「三玖…」

 

「だから決めた。今度の期末試験で赤点回避する。しかも五人の中で一番の成績で。そして自信をもって今度こそ好きって伝えるんだ」

 

 今日は勇気が出ずに言えなかったけど、テストで一番を取れば自信もついて勇気が出るはず。

 そしたら告白するんだ。ユキトに1人の異性として見てもらうために……。

 

 

 

 

 

 

 学期末試験終了後の3月9日。テストが返されてきた。

 見たいような見たくないような気持と葛藤しつつ、意を決して結果を目に映す。

 

 2年4組 中野三玖:試験結果

 

 国語43点

 

 数学48点

 

 理科41点

 

 社会72点

 

 英語34点

 

 総合点238点

 

 

 ……やった、やったよ。全教科赤点回避出来た! 舞い上がってしまう体を必死に抑える。自分らしくない。まるで私が私じゃないみたいだ。きっと人の目が無ければ叫んでたかもしれない。そう思うほどに心嬉しかった。

 夢を見ているのかもしれないと、自分の頬を引っ張ってみても覚める気配はない。紙に記された数字が変わることは無い。

 

 うふふ……こんな良い点を取るなんてまだ信じられない。でも、これなら姉妹の中で1番を取れたかもしれない。だって、姉妹の中で1番勉強の出来が良いのは私だから。

 

 だから一花、私は一花を待ってあげない。全員公平に……早い者勝ちだから。

 

 

 待っててね。ユキト。

 

 

 

 

 

 

たいへんよくできました!

 

 




 チョコの作り方を検索してクックパッドを見ていたのですが、生クリームを温めるって、何度で温めればいいんだよ! とか、状態がどこまで進んだら次のステップに進んで良いのか書いとけよ! とか、まだ実験の作業手順の方が詳しく書いてあるぞ! とか愚痴ってました。

 煙草って非喫煙者からすれば文字通り百害あって一利なしですが、喫煙者からすれば、そうではないんでしょうね。そんな喫煙者の友人曰く、煙草を一つのコミュニケーションとして用いている人は煙草に依存しないみたいですが、人寂しさやストレスなどで煙草を吸う人は、依存しやすいそうです。へ~。

 それはさておきこれからの事です。

 今まで週一投稿していましたが、一時的に私が納得するまで投稿しないという形を取ろうかと思います。最後の試験が〇〇の場合シリーズをそういった形で書こうと考えています。尚、投稿日は今まで通り金曜日の12時です。

 今までは週一に投稿しなければならなかったため(自分で決めたことですが……)、時間が足りずにどこか不自然な状態で投稿してしまうリスクがありました。無論投稿する前に確認はしていますが……。

 まだ文章能力等至らぬ点がありますが、自身のスキルの向上のため、読者様が読みやすい作品にするためにも、こういった形を誠に勝手ながらに取らせていただきます。週に一度の投稿を楽しみにしてくださっていた方には申し訳ございません。  葉陽


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