艦これ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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金剛さんは砕けない

 

 

 

 

 ワタシがこの鎮守府に来たのは、鎮守府の海域進行速度が大分落ち着いて来た頃……だったと聞いていマス。

 北方海域を制覇し、西方海域に進出しようとしている途中にワタシは深海棲艦から引きずり出され、この海の上に『金剛型戦艦一番艦・金剛』として再誕した。

 ……らしい。

 

 ワタシがどうやって生まれてきたのかわからない。艦娘としての自分の始まりがわからないなら深海棲艦との戦いでドロップしたと言われるようデスが……本当にそうなのかはわかっていないのデス。

 そう言うわけで一応ワタシは深海棲艦からのドロップだと言うことになっているのデシタ。

 

 それからすぐに、ワタシはテートクと出会った。テートクはとても可愛らしい人で、ワタシはテートクのことが凄く気に入った。

 ワタシを手に入れることができると言うだけである意味では実力は十分だとわかるわけだし、元々可愛い人は好きだったからネー。

 丁度、航空戦艦となって火力が落ちたフソウと入れ替わりになるようにしてワタシは第一艦隊に所属するようになった。そこでのワタシの活躍は……まあ、それなりの物だったネ。

 

 ……プラズマとか、存在が反則ネ……あんなのに勝てるはずがないヨ……。

 

 けれどワタシは頑張った。出撃を繰り返し、演習でプラズマにフルボッコにされながらも頑張り続けた。

 その内にだんだんと痛みが快楽へと変わり始めたけど、キリシマやハルナが特殊な世界へ続く扉を必死に押さえていてくれたお陰でちょっといけない世界に辿り着かないで済んでいマス。

 

 いやー、当時のワタシは……ヤバかったデス。あの時大破したままダメージを受けたらどれだけ(キモチイ)いのかと大破進軍しようとしたワタシをハルナが止めてくれてなかったら……危ないところデシタ。ワタシ一人だったら、間違いなく轟沈してましたネー。ハルナには感謝デース!

 まあ、若気の至りと言うやつデスネ!今ではそんなこともなく、ちゃんと落ち着いて行動できてマース!

 痛いのも『嫌いではない』というくらいまでになりマシタし、戦艦棲姫に砲口を向けられてゾクゾクしたりもシナイしネー。

 ワタシはNormalになったヨ、テートク!

 

「……と言うことで、ワタシをまた第一艦隊に入れてほしいネ!」

「……第一艦隊は今プラズマが新入り達を連れて珊瑚海沖に行ってるんだが……プラズマの代わりに新入り達も自分も傷一つなく完全勝利できるか? できるならプラズマに頼んで変わってもらうが」

「……き……キス島ならなんとか……」

「その場合、戦艦と空母はダイヤちゃんの受け持ちだが……できるか?」

「やって見せマス!」

 

 ワタシのことを『ダイヤちゃん』と呼ぶテートクに、意気込みを見せようと虚空に向けてPunch!

 しばらくそれを見ていたテートクだけれど、軽く溜め息をついて許可してくれマシタ!

 

 But、テートクはいくつかの条件を出してきたのデス。

 まず、自分だけでなく誰かが中破あるいは大破した場合にはすぐに帰還するコト。出発前にはちゃんと全員のConditionを確認して、無理がないのを確認するコト。ちゃんとTeatimeを大事にすること。

 そして、無闇に傷付かないコト。

 

 ……まあ、最後のソレは自覚もありマスし、仕方ないかナーとは思うのデス。

 

「だからってお目付け役にハルナを入れますカー!?」

「入れるぞ。どうしても嫌ならキリクマにするか? まあ、心配なんだ。何事もなかったら笑ってやれ」

 

 ……テートクは卑怯デース。そんなこと言われちゃったら……嫌だなんて言えないじゃないデスか……。

 

「……仕方ないデスネー。心配症のテートクを安心させてあげるために、ハルナ達と一緒に出撃するヨー」

「そうしてくれ。俺はまだ一度も艦娘を轟沈させたことがなくてな。ダイヤちゃんが沈んだら泣くぞ」

「……ンー、これは絶対に無茶はできなくなっちゃったネー」

「そうしてくれ。……ふぁ……」

 

 テートクは一つアクビをすると、執務机を部屋の隅に寄せて布団を敷いた。どこから取り出したのかは、きっとテートクにしかわからない。

 

「……じゃ、俺は寝るから……プラズマが帰ってくる時間になったら起こしてくれ」

「All light!任せてくだサーイ!」

「起こす時は……」

「小さく声をかけながら身体を揺する、デスネ。ちゃんと覚えてるから大丈夫ヨ!」

「ん。……じゃ、よろしく。おやすみ」

「Good night!」

 

 テートクは上着と帽子を脱いで、そのまま布団に入ってしまいました。テートクは昔から本当によく寝るネー。

 

 ……それにしても、やっぱりテートクはワタシのことを『ダイヤちゃん』と呼ぶのデスね。

 出会ってから既に40年以上。名前を覚えてもらうのに五年か十年かかると言われ、それだけの時間が過ぎた。プラズマなど、イナズマだった頃からプラズマと呼ばれ、そしてそれを本名に変えてしまうほどの努力を見せた。

 ママ(鳳翔のこと)はテートクからは『おかーさん』と呼ばれて満更でもなさそうな顔をしてマスし、テンリューやタツタも少しおかしくはあるものの名前らしいものを呼んでもらえていると言うのに……なぜワタシだけはずーっと『ダイヤちゃん』なんデスか?

 

 ……まあ、prettyだから別にいいケド……たまにはちゃんとワタシの名前を呼んでくれなきゃ、ワタシだって悲しくなることだってあるんだヨ?

 

 ワタシのこんな考えを知らずに眠り続けるテートクの頭を、ワタシの膝の上に移し替える。むにゃむにゃと口の中で何かを呟いて、すぐに何事もなかったかのように静かになった。

 

「……Hey、テートク。テートクはワタシのこと、どう思ってマスカ?」

 

 くしゃり、と硬めの髪を撫でながら、聞かれないように声を小さくして問いかける。

 

「ワタシは、テートクのことが大好きデース。それは多分、プラズマやママと同じような意味での……Love、なんデスよー?」

 

 答えが無いことを知りながら、ワタシはゆっくりと喋り続ける。……こう言うのは、ワタシじゃなくってテンリューやプラズマの役割だと思いマスが……たまにはこんな湿っぽい空気を感じるのも悪くないデース。

 

「……そうか。イギリス名物のブリティッシュ・ジョークだとばかり思ってたよ」

「……What?」

「ブリティッシュ・ジョークだとばかり思ってた」

 

 突然下から聞こえた声に視線を下ろしてみると、そこにはワタシと目を合わせるように片目だけを開いたテートクが居た。

 

「……すまんな、金剛。不安にさせた」

「そんな、ワタシが勝手に……って、テートク……今、ワタシの名前……」

「初対面の時に言ったろ。五年もあれば覚えてみせると」

 

 テートクの手がワタシの頬を撫でる。なんだか勝手に撫でられた頬が熱くなって……。

 

「安心しろ……とは言えんが、俺は破る必要の無い約束は守る。一度覚えた名前も、記憶が根っこから消されない限りは忘れん。……呼ぶのは今まで通りの渾名が一番多いだろうがな」

「……もう、テートクってば言葉が足りなさすぎるヨー。これじゃあワタシ以外にも不安になってる娘が居るかもしれないネ?」

「……確か、鳳翔とプラズマと扶桑と加賀とむっちゃんには同じようなことを言われたな」

「このテートク前科持ちデース。ケンペイサーン!」

「来ないぞ。実はここ俺専用の鎮守府の名を借りた独立国みたいなものだからな」

「だからプラズマが書類を出したりしたのも受理されるんデスネ。ようやく謎が解けマシタ」

 

 横になったままのテートクとのトークタイム。今まで溜まっていた何かが、すぅっと消えていくような感覚がして───。

 

 

 

 

 

「さて、ここでプラズマからの質問コーナーなのです。

 これから振るわれるのは右手でしょうか? それとも左手でしょうか?」

 

 

 

 

 

 突然の悪夢に遮られてしまいマシタ。真っ暗で何も見えまセーン!

 

「ああ、お帰りプラズマ。一緒に寝るか?」

「司令官さんが風邪を引いてはいけないので、それは司令官さんをちゃんとした寝所に運んでからなのです」

「……と言いつつ、なんでテートクの布団に潜り込んでいってるネ?」

「月が綺麗だからなのです」

 

 ? プラズマの言っている意味がよくわかりまセーン。まだ夕方デスから、月なんて出てないデース。

 

「……あ、それじゃあ金剛さん、おやすみなさいなのです。寒くなったら司令官さんの隣に入るといいのです」

 

 プラズマはそれだけ言って、すぐに寝入ってしまった。

 

 ……ど……どうしたらいいのこの状況……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦娘紹介

 

 金剛改二

 

 金剛型高速戦艦の一番艦。作られた時期を考えると、実はかなりいやなんでもない。

 初めてこの鎮守府でドロップした戦艦であり、航空戦艦になってしまったため火力の落ちた扶桑と交代して第一艦隊に入ったという経歴を持つ。

 戦艦としてはこの鎮守府ではNO.2。戦闘では長門に劣るが、料理ではギリギリ長門に勝る。判定の差は『食べて死ぬか否か』。長門の料理は人死にが出る。

 

 提督大好き。ただ、最近はあまり出撃がないことが若干不満だった。

 実はこっそり深海棲艦産の資材でできている。

 

 現在のLvは99。本人の同意があれば更なる改造ができるが、本人はそれを知らない。

 

 

 

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