艦これ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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??さんは妥協しない

 

 

 

 カン、カン、カン、カン、鎚を振る。叩けば叩くだけ強くなり、叩けば叩くだけ硬くなる。深海産の鋼材は、叩くほどに強くなる♪

 

「おお、やってるな」

 

 仕事の最中に聞こえてきた声は、我々をこの世界で唯一肯定してくれたお方の声。我々はどうしても手が離せない一部の者を除いて即座に声の元を探し、そして敬礼する。

 

「テイトク! オツカレサマデアリマス!」

「はいお疲れ。そっちの方も、仕事のしすぎでまともに寝てないとか無いだろうな?」

「アリガトキオコトバデアリマス! ゲンジョウナンノモンダイモナイデアリマス!」

「そうか。ならいい。作業に戻ってくれ」

 

 答礼を返された後に言われたいつもの言葉に、我々は慣れたように作業に戻る。カンカンという音と共に武器の雛形が形作られていく。

 

「追加の資材はここに置いておくぞ」

「アリガタイデアリマス! キットユウシュウナブキヲツクッテミセルデアリマス!」

「疲れたら休めよ。集中力が落ちてる時には何をやっても上手く行かないだろうからな」

「ココロヤサシイオコトバ・・・・・・ワレワレハイッソウガンバルデアリマス!」

「ワレラガチンジュフノブキサクセイギジュツハセカイイチィィィィ! デアリマス! ツクレヌモノナドナイィィィ! デアリマス!」

「頼もしいな。期待させてもらうよ」

「モッタイナイオコトバデアリマス! カナラズゴキタイニソウブキヲセイサクシテミセルデアリマス!」

「よろしく頼む」

 

 提督はそう言い残してどこかへと去ってしまったであります。恐らく別の場所でのお仕事があるのでしょう。

 とりあえず提督の健康を祈りつつ、怨念の染み付いた鋼材を叩いて純化させ、艦娘にも使える武器へと変えていく。

 我々にとっては怨念も希望も同じようなもの。叩いて伸ばせばみんなただの力の籠った鋼材にすぎない。

 それを理解しない多数の人間から疎まれていた我々に、力を振るえる場所と材料を用意してくださっている。

 力を振るえぬ妖精など、燃料の無い艦載機や弾丸の無い大砲と同じ。兵器は使われてこそ兵器なのであります。

 

「サア! テイトクノゴキタイニソエルヨウニガンバルデアリマスヨ!」

「「「オー!」」」

 

 色々な所から答えの咆哮が響き、工廠内にワーンと反響する。我々妖精達は、最高の職場で全力で働ける事こそが喜びであります。提督のため、提督に仕えて働く艦娘さんたちのために、頑張るであります!

 

 深海棲艦の装甲の形の残った鋼材を、砕いてから溶鉱炉に放り込んで色々な金属に分離させ、それから必要な部分だけを混ぜ合わせて鋼へと変える。

 深海棲艦の装甲は、かなりの割合の鋼鉄と多少の別の金属でできていることが多い。特に空母系の深海棲艦は、艦載機だけではなく装甲にも僅かにボーキサイトが使われているためそのまま使ってしまうと不備が出やすくなってしまう。

 しかし、深海棲艦に染められ続けた鋼材に染み付いた怨念や執念を純化してしまえば、それはただの力の塊によって強化された鋼材。これで武器などを作れば、ただの鋼材などだけで作った同じ武器よりよほど強力な物が出来上がることが多い。

 勿論怨念を純化しないで使う方がロスが少なくなるため強力になるのだが、使い手を相当に選ぶのであまり量を作る意味はなくなってしまう。

 この鎮守府で深海棲艦素材の武器をそのまま使う適正があるのは、身体の大半が深海棲艦でできているプラズマ殿と鳳翔殿。深海棲艦素材のみでこの工廠で建造された扶桑殿。深海棲艦より産まれ、深海棲艦を取り込んで産まれた加賀殿。改装の際に深海棲艦の素材を使って強化された那珂殿くらいなものでしょうな。

 そして彼女達には既にそれぞれ専用装備を配備してあるのであります。

 

 プラズマ殿には電磁加速砲と加速装置、荷電粒子魚雷、それと特殊兵装として対空偵察妨害装置を。

 鳳翔殿には艦戦艦爆艦攻偵察全ての役割をこなす特殊艦載機『天界』の一八型甲(対空高め)、乙(雷撃高め)、丙(爆装高め)、丁(偵察高め)の四種を。

 扶桑殿には41cm三連装加重粒子砲を二門と水上偵察爆撃機『災禍』を二つ。

 加賀殿には鳳翔殿の艦載機のマイナーチェンジ版である『天嵐』の一三型甲、乙、丙、丁の四つを。

 那珂殿には、探照灯型広域弱レーザー発射装置が一つ。後は普通と言える装備で固めてるのであります。

 

 次に我々が本気で腕を振るうことができるのは、金剛殿か龍驤殿か、あるいは鳳翔殿が三度改装を受けるのか……その時までの楽しみであります。

 ……今のうちに誰に何を作るのか、考えておくのもいいでありますな。基本的な方針は艦種によって決まっておりますが、それでも個体ごとに得意分野や苦手分野などがありますからな。

 金剛型四姉妹の皆様でも、それぞれ別の得意分野があるでありますし、それが別の型なら余計に違いがあって当然。一つ一つを手作業でできるというのも、この鎮守府ならではの利点というものでありますな。

 他の鎮守府に居る仲間からの話では、どの提督も自由に何かを作らせてくれることもなければ深海棲艦から採れた良質な資材を使った建造や開発を許可してもくれないそうなのであります。

 使えるものを使わないとは、クズですな。仮にも大日本帝国海軍の系譜であるこの国の提督であるのなら、その場に存在するありとあらゆる物を使って勝利へと邁進していくべきであります!

 かつての大日本帝国海軍のお偉いさん方はあれはあれで戦略どころか戦術の基礎すらも理解できていないようなダメダメな方々が多く居りましたが、どうやらそれは現代でも変わり無いようですな。

 この時代では敵が変わった以外には人間の違いはあまり無いようで、悲しくなってくるでありますな。

 

 人間とは愚かな生き物であります。人間の思いから産まれた深海棲艦も艦娘も、人間の存在が全て無くなってしまえば存在することも無くなるというのに、知ってか知らずかぶつかり合っている。

 

 まあ、我々には関係の無い話でありますな。

 我々は単一事象を司る種族。製作や航海などの雑務ばかりでありますが、必要であることには違いないのであります。

 知る方のみが知ればいいことは、知る方のみが知っているべきであります。

 

 そうでありましょう? 異界の現代の英雄殿?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紹介

 

 妖精さん

 

 武器を作ってくれたり艦娘を作ってくれたり治してくれたり、艦娘の艤装をバラして鋼材や燃料などに変えてくれたり、武器をバラして鋼材や弾薬等に戻してくれたり、羅針盤を回して進む方向を決めたりする小さな娘たち。

 一説には『艦娘になるにも深海棲艦になるにも力の足りなかったなりそこない』だと言う話もあるが、真実は誰も知らない。

 提督であるならば出撃中に羅針盤を回している彼女達に呪いの言葉を吐きかけたり、建造で潜水艦を狙って燃料250弾薬130鋼材200ボーキ30を放り込んで某解体のアイドルや狙ってもいないレア駆逐艦が出た時などに半ギレした経験が、一度か二度はあるだろう。無い奴はなるまで回せ。そして資材枯渇させて理不尽に嘆け。

 しかし彼女達を責めてはならない。彼女達が居なければ、そもそも私達は海に出ることすらできないのだから。

 

 ……なお、彼女達は『妖精さん』と一括りにされて呼ばれているが、実際にはそれぞれに明確な意思とちょっとした個性があったりする。

 この小説ではその個性は『得意分野』として描かれており、彼女達は一点特化型の集団が全く同一の目標に向けて進むことができると言う、ある意味凄い種族になっている。

 一部の妖精さんは深海棲艦からの資材を使って艦娘を改造したり新しいキチガイ武器を作ったりしている。

 時々ネタを挟んできたり、どこかのナチスドイツ軍の将官みたいになる妖精さんが居るが、気にしても気にしなくても出来上がった武器などの性能はちょっとしか変わらないので大丈夫。

 

 Lv? そんなものは無い。強いて言うなら司令Lvがそれに当たるが、この鎮守府では既にそんなものは有名無実となっている。

 なお司令Lvは300以上。称号は『特務元帥』である。Lvキャップ? なにそれおいしいの?

 

 

 

 




 
タイトルの『??』には『妖精』が入ります。
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