艦これ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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青葉さんは省みない その1

 

 

 

 

 それは、ある艦娘の一言から始まった。

 

「……そう言えば、私って提督の顔知らないや」

 

 誰が、なぜ、そう呟いたのかはわからない。しかし、その声は確かに発され、そして周囲に広がってしまった。

 そしてざわめきが広がっていき、いつの間にかこんな話がされるようになった。

 

「この鎮守府の提督は既に亡くなっていて、その幽霊が艦隊を回している」

「提督など初めから居らず、プラズマを初めとする数人の艦娘達が提督の代わりに動かしている」

「妖精さん最強」

 

 そんな噂が鎮守府に広がり始めたとき、一人の艦娘が真実を暴き出すために立ち上がる!

 その艦娘の名は───

 

「どもー、青葉です!ちょっと取材させてもらえませんか?」

 

 鎮守府のパパラッチ、青葉である。

 

 彼女は持ち前の好奇心を燃料に、聞き込みを開始した。鎮守府の殆どの艦娘が顔すら知らない提督のことを知るには古株の者から聞くのが一番であると結論付けた青葉は、自らが知る古株の者達から話を聞くべく取材に取りかかった。

 

 ここで大切なことは、誰が相手ならばちゃんと取材に答えてもらえるかを考えること。それだけならばプラズマを選べば間違いなく知っているのだろうが……提督のことが大好きなプラズマに向かって「提督の顔を知らない上に存在そのものが怪しいって言う噂がある」等と言ってしまえば……。

 

「……やめておきましょう。青葉はまだ死にたくないです」

 

 青葉は自分の想像にガタガタと震える身体を押さえることができなかった。どうやらよほど恐ろしい想像をしてしまったらしい。

 

 それより先にまずは確認。提督の顔を知っていそうな人と言えば、プラズマと鳳翔。この二人は提督のことを話してくれたりするので間違いなく知っているが、鳳翔は基本的に忙しいので取材の時間を取るのは難しいだろう。

 それから天龍と龍田も知っているだろうが、天龍はともかく一緒に居ることの多い龍田は凄まじく強かで、知りたいことは何も知れないのにいつの間にかこちらの知ったことを全て吐き出させられてしまう可能性が高い。

 それから加賀だが、加賀は加賀で話しかけづらい所がある。触れたら刻まれてしまいそうな冷たい刃のような、そんな雰囲気を持つ相手に近寄りたくはない。

 それから扶桑と金剛。扶桑は物腰柔らかく、金剛は秘密にすると言うことを殆どしないオープンな性格であることを考えれば、この二人から話を聞いていくべきだろう。

 それと、長門と陸奥。色々と迷惑をかけたことがあるそうで、今でも提督に頭が上がらないと言う話をされて恥ずかしがっていた。

 

 ──────と、私はここまで三人称を使うことで客観的に現状を把握するのをやめて、記録してあることだけを見る。

 

 

 取材する意味のありそうな相手は、この鎮守府の最古参組である。

 予想できる危険度順は、プラズマ>>>>加賀>>龍田>天龍=長門=陸奥=扶桑>鳳翔=金剛。ただし、鳳翔は時間が取れない可能性が大。

 

 結論、金剛から順に危険度の低い相手から聞いていく。ただし、鳳翔とプラズマは最後の手段とし、さらに聞く内容をオブラートに包むこと。

 

 

 ……うん、なかなか的確ですね、私。これなら余程のことがない限りは私に被害が来ることは……無くはないでしょうが、最初の方でいきなり何の成果も無しにリタイアすることになる……と言う事態は避けられる筈です。

 そしてこれはやるなら一気呵成に。一番初めの金剛さんに話を聞いてからすぐに次の方へと回していくべきです。途中で邪魔が入ってしまっては目的が達成できなくなってしまいますからね。

 慎重に、かつ大胆に進めていかなければなりません。

 

 さあ、取材開始です!

 

 

 

「……と言うわけで、提督さんについて金剛さんの知っていることを教えていただければな……と思いまして」

「OKデース!何から聞きたいデスカ?」

 

 予想通りにあっさりとOKが出たので、本腰をいれて聞きにいく。

 

「そうですね……まず、金剛さんは提督のどんなところが好きなんですか?」

「Oh!いきなりそれを聞いてきマスカ。ちょっと恥ずかしいネー」

 

 金剛さんは頬を赤らめながらくねくねと身体をくねらせる。恥ずかしいと言っているけれど、むしろ嬉しそうに見えるのは私の気のせいではないはずだ。

 

「えっとネー……テートクはとっても優しくて、そしてpowerfulデスネ!」

「…………はい?」

 

 一瞬、金剛さんの言っていることの意味がわからなくなった。優しくて、そしてパワフル?

 

「……え、えっと……それはどう言う意味で?」

「そのままの意味デース!テートクはとっても優しくて、それでいてvery powerful!あの火力には憧れマース!」

「…………あの、つかぬことを伺いますが……提督って人間の方ですよね?」

「? なにを当たり前の事を聞くのデスカ? テートクは勿論人間デース!」

「……人間なのに、金剛さんが憧れるほどの火力をお持ちで?」

「Yes!あれはきっと聞き及ぶ『ヤマト』の『ハドーホー』に勝る威力ネ!」

「はい?」

 

 何の話かよくわからない。大和さんに『ハドーホー』なんて名前の武器は……?

 ……ハドーホー……ハドーホー…………波動砲!? 『ヤマト』って、まさか大和さんじゃなくて宇宙を航行する戦艦の方!?

 

 HAHAHAHA!なんて笑っている金剛さんだけれど、色々と冗談じゃない……と言うか、冗談じゃないと正直困る事を言ってきてるし……一番安全かと思った相手がこんな風に言ってくるなんて、そんなの想定してません!

 

 ……いや、きっと金剛さんお得意のブリタニアンジョークでしょう。そう考えればまあなんとか……。

 

「jokeじゃないヨー」

「……本当に?」

「Yes!大真面目ネ!」

 

 否定されてしまった。どうやら本人はそれが真実だと思っていることは確かなようだ。いくらなんでも本当だとは思えないけれど……それでも金剛さんの言うことだし記録するだけ記録しておこう。

 

「それからネー!テートクは可愛くってズルいんデース!あれはあざとすぎマース!」

「提督にそんなことを言っちゃっていいんですか!?」

「テートクにダイレクトに言ったこともありマース」

「言ってた!?」

「ちなみにテートクは特になにもなくワタシの髪を撫でてくれたネ」

「なんで!?」

「テートクは優しくて、ズルいんデース」

 

 ───そう言った金剛さんが浮かべた笑顔は、同性である私のすらも魅了されそうなものだった。

 

「……この話と言えばこれくらいデース!結局、ワタシはテートクが大好きデース!」

 

 その笑みは、一瞬にしていつも通りの太陽のような明るいものに変わった。まるでさっきの蠱惑的な笑みが幻覚か何かだったかのように、それこそ瞬きの間に。

 

「……提督の事、好きなんですね」

「勿論デース!」

 

 ……惚気られるのって……辛ぁ………………。

 

 

 

 

 

 艦娘紹介

 

 青葉

 

 艦隊のパパラッチと呼ばれ、愛されながらも一部の艦娘には厄介がられている。

 特に長門は青葉とできるだけ触れ合わないように気を付けているらしい。隠し事が知られたら間違いなくあることないこと書き立てられるのが原因だと思われる。自業自得と言う言葉をよく表している。

 

 今回は前哨戦として金剛と対話したが、甘ったるい攻撃を受けてやや辟易している。

 

 現在のLvは28。でも改造はされていない。なんでだろうね?

 

 

 

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