安パイだと思っていた扶桑さんから命の危機を感じると言う予定外にして想定外な目に遭った上、殆ど金剛さんから聞いたものと同じ話しか聞けないと言う悪夢のような結果に終わってしまいましたが、私はまだまだ諦めません。とりあえず今は、次のターゲットを探していこうと思います。具体的には、長門さんか陸奥さんか天龍さんですね。
ですが、天龍さんは大概多くの駆逐艦の子や龍田さんと一緒にいるので、とりあえず狙うは長門さん。長門さんならよく一緒にいる陸奥さんが居たとしても龍田さんを相手にすることほど難しくはない筈。長門さんも陸奥さんも、話を聞く限りでは素直な方だそうですしね。
そう言うことで、私は長門さんを探して鎮守府内を見て回っていく。どうも私は長門さんから避けられている節があるので、できるだけ誰にも気付かれないようにかつ急いで見つけなければいけない。
……一度見付けてしまえばこっちのもの。長門さんも陸奥さんも身体は大きいし、更に言ってしまえば戦艦だけあって速度はけして速くない。見失うことはまず無いだろう。
……まず、見付けるのが一番難しいんですけどね。
「見ぃぃぃぃつけたぁぁぁぁぁ!」
「長門!ここは私に任せて早く逃げて!」
「馬鹿なことを言うな!妹を置いて逃げる姉がいるものか!」
「いいからさっさと逃げろ馬鹿!妹が姉を大事に思ってて何が悪いのよ!」
「しかし!」
「大丈夫!私だってビッグ7の一画なのよ? そう簡単にやられてたまるものですか!むしろ、返り討ちにしてや───」
「第三砲塔にC4ぉぉぉぉ!」
「───ごめん、やっぱり無理かも」
「よし、一緒に逃げよう!」
長門さんと陸奥さんが、戦艦とは思えない速さで走っていく。長門さんの前身である長門型戦艦の出力は8000馬力に届かないはず。だと言うのにあの速さは凄いと思う。
「まぁぁぁぁぁってくださぁぁぁぁぁい!」
「誰が待つものかぁぁぁぁ!」
「第三砲塔に触られるとわかってるのに待つわけ無いでしょぉぉぉぉ!」
全速力で走り回る長門さんと陸奥さん。それを追いかけ回す私。
いったいどこからこれほどの力がでてるのか……やっぱり、長門さん達も提督印の魔改造を受けているんでしょうか?
「あの提督のキチガイ改装など受けているものか!」
「確かに力は強くなるけどまだ戦艦からSENKANになりたくないわよ!KUCHIKUKANに喜んでなったプラズマと一緒にしないで!」
「司令官さんの改装がキチガイですか。そうですか」
私達は確かに空間が凍りつく音を聞いた。
ゆっくりと声の聞こえてきた方向に視線を向けると、そこには闇より暗く、深海より深い色をした瞳で私達の事を無感情に見つめながら笑顔を浮かべているプラズマさんの姿があった。
「……さて、長門さん。陸奥さん。覚悟はいいですか? トイレには行きましたか? 神様にお祈りはしましたか? 鎮守府の地下室の隅でガタガタ震えながら許しを乞う準備はOK?」
ゾッとするような冷たい声に意識を無理矢理はっきりさせられたのか、長門さん達は必死になって言い訳をしようと口を開いた。
「い、いやいや確かに私は今キチガイ改装とは言ったがけして悪い意味ではないのだ。ただ提督が独自に行う改装を受けると多少と言うか凄まじくと言うかとにかく理不尽なほどに能力が大きく増強されるだろう? それを指して『キチガイ』と言ったのであって、けして提督自身の事を『キチガイ』等と言ったわけではなくてだな!?」
「そうそう!それに私は提督にもその行動にもキチガイだなんて言ってなくて、何が起こるかわからなかったのに一番最初に提督からの特殊改装を受けたプラズマちゃんの事を尊敬して言った言葉な訳だからあのその……」
「さあ、俳句を詠むのです。介錯してあげるのです」
そこから先の記憶はない。
はっ、と気付いた時には全てが終わっていた。私は何も覚えてはいないけれどどうやら長門さんと陸奥さんに話を聞くことはできたらしく、手に持っていたメモ帳にはしっかりと長門さんと陸奥さんからの質問の返答が書かれていた。
ただ、その質問も相手からの返答も何もかもが歪んだカタカナのようなもので書かれているため凄まじく読みづらい上に、メモの余白にはまるで何かの呪文のように『テイトクハスバラシイオカタデス、テイトクハリッパナオカタデス』と、何度も何度も続けて書かれているのがわかる。
……字が崩れているせいもあって、余計に何かの呪いか呪文の書き写しにしか見えない。
……ふと、長門さんと陸奥さんがどうなったのかと考えてしまった。周りを見渡してみると、どうやらここは鎮守府のどこかにある部屋らしい。
窓がないことと音の響き方。それに高い湿気などから考えるに……多分ここは地下室なんだろう。
地下室……地下……しつ……ちかしつ?ちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしつちかしちかしちかしちかしちかしちかしつちかしちかしちかしちかしちかしちかしつちかしちかしちかしちかしちかしちかしつちかしちかしちかしちかしちかしちかちかちかちかちかちかちかちかちかちかかかかかちかちかちかちかちかちかちかちかちかちかかかかかちかちかちかちかちかちかちかちかちかちかかかかかちかちかちかちかちかちかちかちかちかちかかかかかちかちかちかちかちかちかちかちかちかちかかかかかちかちかちかチカチカチカチカチカチカチカチカチカチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチカチカチカチカチカチカチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチカチカチカチカ……
思考回路を一人称から第三者へと転換。一人称回路を一時凍結。
……青葉は突然動きを止めた。ガタガタと震え続けていた震えは止まり、どこを見つめているのかもわからない茫洋とした視線を壁に向ける。
青葉はふらふらと壁に近付いて行き、ゆっくりと両手をついて壁に凭れかかった。
そして、突然動き始めたかと思うと頭を大きく後ろに引き、思い切り壁へと叩きつk
轟音が響いて、私の頭の中で星が飛ぶ。
視界はチカチカと明滅し、額がズキンズキンと痛みを訴える。
「───っ…………たぁ………………!!」
無理矢理固まった頭を動かすにはちょうどいいけれど、この痛みにはやっぱり慣れない。第三者の思考回路は私自身がパニックになっていても関係なしにコントローラーでラジコンを動かすかのように動かすことができて便利だけど、こうして強い衝撃を与えると凍結させておいた思考回路を無理矢理元通りに動くようにさせられるんじゃなかったら絶対こんなことはやらないね。凄く痛い。
……まあ、よく覚えてないけど取材そのものは成功してるみたいだし、とりあえず次の人を探しにいこうかな。
……あたたた……まだ痛い……いつになったらなおるかなぁ……。
装備紹介
災禍
航空戦艦となった扶桑の持つ専用の水上偵察爆撃機。今のところ開発で手に入れることは不可能である。
扶桑の専用装備であり、伊勢や日向が装備しようとすると内側から深海棲艦産の鋼材とボーキサイトからの侵食を受けて深海棲艦になって沈む。扶桑が使うと、艦娘としての光の力と深海棲艦としての闇の力が合わさって最強に見える。
加賀、鳳翔、扶桑が同時に艦隊に居て、制空権が取れなかったらそこはもう潜水艦のみで行った方が間違いなく被害が少ないだろうと言われる。
対空+10
対潜+20
爆装+10
命中+2
索敵+50
これを扶桑は二枠30機積んでいる。キチガイかな?