「ではまず、初めまして……ですよね? 青葉と言います。この度は取材に応じてくださり、ありがとうございます」
「なに、気にするな。仕事は終わっているし、暇潰しにはもってこいだろう。ちょうど他には誰もいないわけだしな」
提督はカラカラと笑いながらそう言った。確かに、鳳翔さんの店にしては珍しいことに私と提督以外はこの店の中にはいない。奥の方にいるらしい鳳翔さんを除けば二人きりだ。
……さっきからなんだか凄まじく嫌な予感がして困る。なんと言うか、本格的に命に関わるりそうな気がする。
一体なんでかは……きっとあれだ。提督とこうして二人きりで仲良く話をしているからだ。プラズマさんがどこかの影で私の事を睨んでいたりしそうだ。
プラズマさんの嫉妬心を得るとか、正直勘弁してください。私はまだ死にたくないです。いや本当に。
……あ、もしかしてこの料理を食べたのとかまずかった? プラズマさんに献上……いや、私が一口食べちゃったし、残すのは絶対によくないよね。うん。
とりあえず唐揚げをちょこちょこつまみ、ハイボールで唇を潤す。艦娘にとって、アルコールなんて燃料とそう変わらないので、飲んでもなにも問題はない。
それに、提督さんの方にもいつの間にかお茶が用意されていて、つまみに落花生も用意されていた。
……目は離してないはずなのにいつの間に用意したんだろう?
「いつだと思う?」
「……つかぬことをお聞きしますが、もしかして扶桑さんに観察からの読心術を教えたりしませんでしたか?」
「したな。俺の場合は大体『なんとなく』で済ませるから他人に教えるのには向かないんだが、扶桑は理論的に再現して見せたからな。あいつは本当に艦娘か?」
「本当に人間かどうか疑わしい提督さんに言われたくないと思いますけど」
「違いない」
提督はまたカラカラと笑う。けれど、考えを読まれると言うのは……とてもやりにくい。色々聞き出したくても、狙いがバレてしまっては効果は半減どころじゃない。
となれば……やっぱり真正面からまっすぐに聞くのが一番かな。
「さて、改めまして……お名前を伺っても?」
「織斑一夏だ。最近は提督とか司令官とかそういう風にしか呼ばれて無いから知らなくても問題はないと思うが」
「だいぶぶっちゃけますね。……年齢は?」
「忘れた。提督歴なら7~80年程度だと思うが。鳳翔が産まれるより20年は昔の話だな」
「……え、80歳?」
「提督歴、だ。当時にはもう20は行ってる」
「…………提督さんって……人間ですよね?」
「少なくとも一時期そうだったな。人間だった頃からこんな感じだが」
さらっと『今は人外』発言を頂きました。これについては黙っておきましょう。艦娘でなく人間でもなく妖精でもないなら深海棲艦だとか言う人が出てきたら面倒なことになるでしょうし。
「昔言われたことがあるが失脚させたし問題ないぞ」
「また読まれた……えっと、プラズマさんは提督さんが人間じゃないと言うことはご存じで?」
「80年も姿が変わらない人間がいないことはわかるだろうし、知ってると思うぞ」
「……直接伝えたことは?」
「無いな」
【プラズマさん】死亡フラグがどんどん強固に建設されていっている件について【怖い】
……いやいや冗談じゃない。色々な意味で冗談じゃない。脳内にスレッド立てちゃったけど書き込んでくる人なんて
2:名無しの世界水準越え
スレ立て乙。
その気持ちはわかる。よくわかる。でも口にはすんなよガチで死ぬから。
3:名無しのビッグ7(姉)
うむ、あれは危ない。殺される。
4:名無しのダイヤモンド
とりあえず、>1は暫くテートクの近くに居ることネ!テートクは優しいから止めてくれるヨ!
5:名無しのアイドル
提督さんは優しいですから!ちゃんにもこんなにいい装備をプレゼントしてくれましたし!
6:名無しの原初の航空母艦
なんだか私の店が戦場になりそうですが……しっかり止めさせてもらいますね。
書き込み来た!? え、なんで!? 私の脳内のスレなのにどうして書き込みが!?
あと、名無しのって書いてあるけど個人特定余裕ですからね!? だってそのまんまですし!
……とりあえず名無しのダイヤモンドさんの言ったように、提督さんから離れないでいよう。
8:名無しの新聞記者
名無しのダイヤモンドさん、ありがとうございます。
今提督さんに直接会ってご飯しながら取材中ですので、暫く一緒にいようと思います。
9:名無しの世界水準越え
……デートか?
10:名無しの元不幸戦艦
そしてプラズマに見られて夜戦に持ち込まれるのね……。
……この名前変えられないのかしら。
11:名無しの大正生まれ
夜戦で一撃で水底に沈んでいくのね~……そして無理矢理引っ張り上げられて、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもな(字数制限です)
12:名無しの世界水準越え
俺の隣の名無しの大正生まれがヤバイ感じになったから引っ込むわ。ちび共の相手もしなくちゃならないしな。
あと、残念ながら名前は固定みたいだぞ。
13:名無しの元不幸戦艦
あら、残念ね。
……よし、落ち着いた。びっくりしすぎて逆に冷静になった。パニックになるほどじゃなくて助かったね。
「提督さんは鎮守府を一つ任されてますけど、階級はどの辺りで?」
「特務大元帥だ。知ってるとは思うが、ちょっと色々やらかしてな」
「あー……確か、他の提督さんたちの率いる艦娘の艦隊を200ほど一方的に殲滅したんでしたっけ?」
「正確にはその後にその演習に参加した提督の勤務する鎮守府に直接殴り込んでいくつか壊滅させた上に妖精の中から希望者を募って引き抜いてな。個人の力に潰されたなんて公表するわけにもいかないらしく、俺をこの鎮守府に閉じ込めた……って訳だ」
「……鳳翔さんから話を聞いた龍驤さんはそこまで言ってなかったんですけど、鳳翔さんはその事を……」
「教えてないから知らないだろうな。プラズマは一応俺の所に来る前に話だけは聞かされてたようだから知ってると思うが」
セーフ。鳳翔さんならセーフ。プラズマさんは知ってるそうだから、ギリギリセーフ。
まったくもう、提督さんの話にはいったいどこに地雷が埋まっているかわからない。話を振る度になんでこんなに疲れなくちゃいけないんだろう?
「そう言えば、今ではこの鎮守府には結構な数の艦娘が居ますけど……来た順番とか覚えてます?」
「プラズマ、鳳翔、フフ怖、たったちゃん、扶桑、加賀、ダイヤちゃん、樫原丸、ういはる、アカシロ、ながもん、むっちゃん、出雲丸……までは覚えてるぞ。間にもまだ居た筈だが、プラズマがいつの間にか喰って雷装にしてな」
「 」
プラズマさんマジで怖い。もしかしたら私も跡形もなくムシャムシャされちゃったり……。
「安心しろ。プラズマはもう食わないよ。食わないってか『食えない』んだが」
「心底安心しました」
「まあ、別の奴に食わせることはできるんだが」
「心底不安になりました」
やっぱりプラズマさん怖い。
14:名無しの夜戦バカ
夜戦と聞いて
15:名無しのビッグ7(姉)
帰れ
16:名無しの第三砲塔が熱い
お帰りはあちら
17:名無しの世界水準越え
帰れ
18:名無しの大正生まれ
死にたい艦はここかしら~?
19:名無しのアイドル
ちょ、なんでここに!?
20:名無しのダイヤモンド
さっき元気よく飛び出していったネ。
21:名無しの提督
悪いんだが誰かあの夜戦バカを夜まで黙らせといてくれ。恐らくこれを見ているだろう加賀。お前が止められたら今晩プラズマと添い寝する権利をやろう
22:名無しの五航戦嫌い
承りました。報酬はそれで。
あと、青葉。今忘れていることを思い出したら全身から燃料を吐き出させてスクラップにしてあげるから覚悟なさい
23:名無しの新聞記者(絶体絶命)
は……はい。わかりました。何も思い出しません。
24:名無しの提督
名前変わったな? スレ立て主の特権か?
まあいいや。暫く時間はあるし、とりあえずもう少し取材には付き合ってやるよ。
「ありがとうございます」
「気にするな」
脳内スレッドからの話をこちらで繋げてみたら本当に繋がったので、どうやら提督さんは本当に脳内スレに書き込めるらしい。いったい何がどうなればそんな真似ができるのかと。
……あ、別に聞いた訳じゃないですから答えなくていいですよ?
「そうか。取材というからには聞けることは聞いてくると思ってたんだが」
「物によりますよ。知ってるだけで危なさそうなのは知らないようにしてますし、極秘情報とかそう言うのは後に一般に広げられるようなものでも知らないことにしますし」
「知ってはいる……と」
「さて?」
とぼけてはみたけれど、多分通用しないんだろうなぁ……。
「……取材を続けても?」
「ああ。あと、あまり長く居るつもりなら他にも何か頼んどけ」
「……では、焼き鳥のつくねとねぎまと
「はい、焼鳥つくねねぎま薬研二本ずつとご飯と大根サラダと鰆焼きお待ち」
「すいませんこれいつ料理しました?」
「今だ」
「……新聞にしても?」
「構わないがいつもは別のところに居るからな。期待されても困るぞ」
「その辺りはちゃんと書いておきますとも。……それじゃあ、頂きます」
私はできたてのご飯を食べながら、提督さんの取材を続けたのだった。
艦娘紹介
青葉
今回のことで色々な被害を出してしまったが、その分Lvは確実に上がっている。
具体的に言うと、取材開始前のLvは28だった筈が、いつの間にかLv87まであがってしまっている。なんと言う高速Lv上げか。
この後の行動を間違えると、某KUCHIKUKANに一方的に夜戦される可能せ「えっ、なに夜戦!?」帰れ。夜戦の国に帰れ。