気が付いたら海の上に居て、気が付いたら身体が見慣れぬ女のものになっていて、気が付いたら自分がどういう存在であるかを理解した。なんと言うか、昔『聖杯戦争』に呼ばれた時に聖杯から当時の常識的な知識が多量に送り込まれて来たりしたが、それと同じような感覚がしている。
知れることについてはこの身体についてと、この世界における俺の絶対的敵対者のこと。そして、俺の戦闘をサポートしてくれるらしい妖精たちの知識くらいだが……無いよりはるかにましだ。
それに、俺が元々持っていた力は今まで通りに使うことができるようだし、俺自身は実のところ本体ではなく分体の端くれみたいなものだってことはわかったしな。実際問題俺がここで何をしてようが問題にはならないって訳だ。
そんなわけで、俺は一人この場所でのんびりと敵を狩り、狩った敵を食い散らかし、時々現れる言葉を話せる色白の女と殴り合い、血の代わりに体に流れる燃料を賭けた麻雀で限界ギリギリまで搾り取ってやったり、襲ってくる変な胡瓜みたいなのを殴り砕き、身体が傷つけば修復し、艦載機が少なくなれば襲ってきたクラゲみたいな帽子を被った女の飛ばす機体を収奪して捕食することで補給していった。
そんな生活を続けて何年過ぎたかも覚えていないが、まあとりあえず俺は個人的にはなかなか平和に過ごせている。
「……オイ、イカサマシテナイダロウナ」
「俺の存在自体がそもそもイカサマと言う点を除けば、してないぞ」
「……ダッタラナンデイチドモカテナインダ?」
「お前達三人が台の下でやってるように、バレなきゃイカサマじゃないんだよ。バレてるけどな」
「マテ!モウヌグモノナンテナイゾ!」
「じゃあ、燃料か弾薬だな。鋼材か艦載機でもいいぞ? 勿論、身体でも」
「ムグゥ……」
……ん? 今? あー……『南方棲戦鬼』とか言うのと『ワンコ棲姫』とか言うのと『飛行場姫』とか言う三人をトばしたところだ。
「……ワレワレハ、シニタクハナイ。カラダヲサシダスノハ『フカ』ダ」
「だろうな。俺は食事としてそれを消費するつもりだし」
あっさりとした俺の言葉に、南方棲戦鬼は歯噛みする。まあ、こいつは目の前で戦艦棲鬼が俺に食い潰されたのを見てるしな。拒否するのも仕方ないだろう。
この身体は燃費良くないからな。ある程度大量の燃料があれば半永久的にエネルギーを生み出すエンジンを動かし始めることができるんだが、今のところそれを動かすには大分燃料が足りていない。これさえ動けば今の自転車操業状態も改善……と言うか、解決するんだが……そんな大量の燃料をどこから拾ってくるのかと言う問題がある。
なにしろ、完全始動に必要な資材を数値で表すと、燃料200000/弾薬50000/鋼材10000/ボーキサイト30000と言うところ。燃料は動かし始めれば自動で供給されるとは言え、一番初めにこれはあまりにも痛すぎるだろう。と言うか、無理じゃね?
「……まあ、取り返しがつくように燃料か弾薬にしておけ。おすすめは燃料だな」
「ヌゥ……ワカッタ」
そう言って三人は腕を差し出してくる。こいつらの燃料は質がかなりいいから、一回で取り尽くすのはあまりにも勿体無い。
勿論、こっちが負けたらそれなりの武器やら何やらを渡しているから、こちらからしても相手からしても取引としては悪くなかったりする。
相手は食われさえしなければ、海の中に漂うプランクトンや海草、廃棄された燃料などを集めて体内で新製させて再利用できる上に、そもそも燃費がかなりいいためにプランクトン等が絶滅するなどあり得ない程度にしか消費しない。そして、やろうとすれば自分達の味方だった奴を食べて燃料や鋼材として活動を続けることができる。どう考えても質量的に1から2以上の物を産み出しているんだが、魔法的……正確には霊力的な視点から見れば何もおかしくはない。
そんなわけで、俺は近場にいる南方棲戦鬼の方から燃料を貰っていく。質がいい燃料はどれだけあっても困らないので、とりあえず行動に支障が出ない範囲で貰っておく。
……千の顔を持つ英雄でさっさと出せば本当はこんなことをする必要もないんだけどな。実際、今までにもらった燃料とかはほとんどそのまま溜めてあるし、身体を維持するための燃料や戦いに必要な弾薬や武器、修理に必要な鋼材などは基本的に千の顔を持つ英雄で賄うようにしているし。
……集める量が普段から行動する最低量を上回っていればなんとか使わないで頑張ってみるって選択肢も出てくるんだが、流石に普通に行動するのに足りない量しか集まらないとなれば……多少のズルはするわな。
かぷりと指先に噛み付き、傷をつけて燃料を吸い出す。南方棲戦鬼の燃料は若干スパイシーで後味スッキリ。寝起きよりは起きてしばらくした頃に飲みたい味だ。
そして次はワンコ棲姫。若干甘いんだよなこいつの燃料。弾薬は甘いって言うのは聞いたことがあるが、燃料が甘いってのは初耳だ。
首から吸ってやるのもいいんだが、首の血管は燃料漏れが止まらないからあまりやらないようにしている。前にヲ級とかレ級にやって懲りた。
で、飛行場姫はほとんど味がしない。まるで水でも飲んでいるようだが、それはそれであり。最後に飲んで口の中をスッキリさせるのには最適な味だと思っている。
「……ごっそさん。また暇になったり物が入り用になったりしたら来るといい。燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイト、遊び相手、身体、時間等々、物々交換はいつでも受け付けているからな。寝てる時に起こそうとしたら殺すが」
「イヤ……マア、ソウダナ。ナニカアッタラマタコヨウ……サラバダ」
「……マタネ」
服を返してから三人は帰っていった。まあ、ワンコはこの島の裏側にいる港と湾その物で、飛行場姫は海上を移動する飛行場、南方棲戦鬼は海を縦横に渡る者だから、ワンコ以外の二人はいつ再会できるかもわからないんだがな。
前に来た戦艦棲姫はいきなり襲ってきたから開幕航空銃撃→開幕航空爆撃→開幕砲撃→砲撃→直接殴って空中コンボでトドメを刺して大量の資材として身体の中で保存してたりするが……。
……そう言えば、それ以来だな。深海棲艦とまともに話をすることができるようになったのは。
もしかしたら、ある程度以上の強さを持つ深海棲艦を全て身体に取り込むと、深海棲艦の言葉や何やらがわかるようになったりするのだろうか。だとしたら、凄まじく便利な話だ。
ただ、それでも駆逐級や巡洋艦級は時々襲ってくるんだがな。全身に赤や黄色、蒼い靄を纏っている奴はまず襲ってこないんだが、そう言うのが無い奴は高確率で襲いかかってくる。
……まあ、襲ってきたところで俺には基本勝てないんだがな。
この身は戦艦。ただしまともな戦艦などではない。
元々分厚かった装甲に、耐熱・対衝撃・防炎防爆効果の非常に高い銀の膜を何重にも重ねて張り、傷付くことが殆ど無い。
戦闘中は基本的に浮いているため、魚雷や航空雷撃の殆どが当たることがない。爆撃なども、こちらから出した艦載機の性能が頭がおかしいレベルであるため一つ残らず撃墜することができ、最終手段としてワープも……まあ、エンジンを動かせばできる。今は動いてないけど。
つまり、今のところ俺は艦娘としての能力ではなく、人間として動いているんだが……見た目相応の能力では無いことをここに宣言しておくことにしよう。艦娘として動くよりも、人間として動いた方が燃費は遥かにいいしな。
だから、基本は人間のまま動いている。人間として動いていても防御力は艦娘状態とそう変わらないし、問題ない。水面にも立てるしな。
……さて、それじゃあ今日も資材集めに深海棲艦狩りに行くとしようか。
『宇宙戦艦』ヤマト。抜錨する!
……まあ、人間の全力なんて実際には大したことはないんだがな。ちょっと身体の使い方が上手いだけだし、駆逐イ級を何百も持てばそれでいっぱいいっぱいになるしな。バランスの問題で。
ついでに、錨も無いけどなww
じゃ、行くか。食事だ食事だ。
艦娘紹介
ヤマト
唯一の宇宙戦艦である。宇宙戦艦にも色々あるが、ヤマトは色々と企画外である。簡単に言うと、「僕の考えた最強の宇宙戦艦ヤマト」である。
スロット数200。主砲には波動砲を備え、一撃にして海域全域攻撃を行う事ができる。ただし、波動エンジンが動いていればの話であり、現在は撃てない。
副砲、艦載機、缶の代わりのエンジン等など盛りだくさんで、ゲームバランスを完全に無視して行動できる存在である。
ただし、作中でも言っていたように本格的に起動させるには大量の資材が必要となり、かなりの熟練提督でなければ干からびて死ぬ。
ちなみに、真暇提督でも燃料が50000くらい足りない。
耐久:56000
火力:33000
装甲:68000
雷装:0
回避:3400
対空:76000
搭載:1200
対潜:0
速力:ワープ
索敵:27500
射程:超
運:B(一夏の運が『B』固定であるため。数値にすると65程度)
基本装備
波動砲:種別・主砲
火力+300000
命中+500
対空+5
コスモ・ゼロ:種別・艦上戦闘機
対空+24000
雷装+18000
索敵+9800
コスモタイガー:種別・艦上戦闘攻撃機
対空+17500
雷装+23000
爆装+22000
索敵+7000
以下、実弾系主砲及び副砲のオンパレードが170スロまで。