復活しました。死ぬかと思いました。
40度の熱が出るとぼんやりして何も考えられなくなると聞きましたが、嘘ですね。死ぬほど痛かったです。
あ、それと、番外01にヤマトについての追記をしました。
深海飯を食べに海上を走り回っているんだが、ここ最近はあまり飯がいない。居ても赤かったり黄色かったり青かったりするオーラのような物を纏っていて、俺に敵対するようなことはしてこないので戦いづらい。
……戦おうとすれば秒殺だが、向かってこない相手はできるだけ相手にしないようにしている。敵を増やすのは最低現にしないと鬱陶しいしな。
そんな理由で敵対してくる深海棲艦を見付けては狩り、食し、体内に保存していつか波動エンジンを使うための資材としてある。
溜まるのは遅いが、自分が動くためのエネルギーは千の顔を持つ英雄を使って供給しているからじりじりと溜まり続けている。このペースなら……まあ、一体につき燃料が2~5、弾薬が4~30、鋼材が7~50程度。ボーキサイトは空母系統がいなければ取れないし、居たとしてもそこまで多くはけして取れない。
時々、電探を積んでいる奴が居るが、そいつが居れば大分多くの資材を取れる。武器も船体も全てを解体すれば、物によっては結構な量にはなる。電探は本当に美味い。解体に少し手間はかかるが、手間をかけるだけの価値はある。
……駆逐艦くらいならまるごと食い潰した方が速いんだけどな。コストパフォーマンス的にも精神的にも。
駆逐艦はいくら食ってもいくらでも湧いてくる。そして直ぐに倒してすぐ飲める。それこそ『駆逐艦は飲み物』ってくらいのレベルだ。ドリンクバー的な感じに『駆逐艦バー』でいいかもしれん。
さて、そんなわけでオーラを纏ってないちっこいのをちゅるちゅると啜りながら移動していると、初めて見かける俺の同類……いや、俺と同類扱いされるのは向こうも嫌か……艦娘らしき姿を見つけることができた。
水平線の向こう側まで視認することは物理的に不可能だが、気配を見つけるだけなら霊的存在である艦娘も深海棲艦も簡単にできることではある。
向こうは水平線に隠れている俺のことを見付けてはいないだろうが、とりあえず俺は見付けている。いつ頃気付かれるかは……まあ、相手がどの艦種かにもよるが、少なくともそう簡単には気づかれない筈だ。実際に今のところ気付かれてはいないわけだし。
そして、その艦娘達はどうやら戦闘中らしい。深海棲艦に襲われているようだが、かなり余裕がありそうだ。俺が手を出す必要はなさそうだが……まあ、艦娘は沈めた深海棲艦を放置していくそうだし、死体を頂いていくとするか。
沈んだ時に燃料は殆どが海に流れ出ていってしまうが、それでも弾薬と鋼材、運が良ければボーキサイトも拾うことができる。
艦載機は規格が違うし、大砲などは物によっては一応使えなくもないという程度で、残念ながらまともに使おうとしたら作り直すレベルでの調整が必要なので基本はバラして資材行きだ。
……そう言えば、深海棲艦は各種食べたことがあるが艦娘を食べたことはなかったな。なにかあったら食べてみるのもいいかもしれない。具体的には、目の前で沈んでいく艦娘を見つけた時とかな。
さて、艦娘ってのはいったい深海棲艦と何が違うのか。今まで片方にしか会って話をしたことがないから、よくわからないんだよな。
深海棲艦曰く『絶対に相容れない相手』って話だが、実際にはどうして相容れないと言い切るようになっているのか。何があったかは知ったことじゃないが、とりあえず食えそうなら食ってしまおう。
今まで海上を走っていたが、今度は海中に沈む。宇宙空間で宇宙服として使えるシルバースキンと、足の裏につけてスクリュー代わりにすることで水中での移動速度を上げるモーターギアを使い、気付かれないようにこっそりと移動する。
残念ながらこの船体は宇宙戦艦であり、どこかに隠れることなど普通は無理だ。なにしろ超弩級だからな。
だがしかし、光学迷彩・電磁迷彩を搭載し、海中を進んでいる俺を見つけるのはかなり難しい筈だ。相手がソナーでも積んでいれば話は別だが、この辺りには潜水艦は出てこないので気付かれずに行動できる筈だ。
それを証明するように、俺は一度も攻撃を受けないままに深海棲艦達の真下に着いた。軽巡洋艦のフラグシップが一隻に、エリートが二隻。駆逐艦のフラグシップが一隻と、なんでもない駆逐艦が二隻。対潜水艦攻撃をするなら素晴らしい組み合わせだが、相手にはどうやら潜水艦はいないようだ。残念だったな?
あっという間に砲撃で沈められていく深海棲艦を海中で捕まえて傷口に吸い付く。海に流れ出る前なら、少ないにしても足しにはなる。
燃料がなくなれば、次は鋼材と弾薬の補給。燃料を吸いきられて動けなくなった深海棲艦を抱き締めるように抱え、それから一息に飲み込んだ。後は体内の妖精さん達がバラして必要なところに持っていってくれるだろう。
次々に落ちてくる深海棲艦を全て食べ尽くす。よくわからないが、生きている深海棲艦を食べるとほんの僅かにとは言え艦娘としての力が強くなっているように感じるが……これが『近代化改修』と言うやつなのだろうか。まともな艦娘がどうやってやってるのかは知らないが……俺と同じ方法だとすると随分と罪深いよな。共食いとか、やる方もやらせる方もどうかしている。
もしかしたら、ワンコ棲姫や南方棲戦鬼はこうして深海棲艦が死力を尽くして喰らい合い、蠱毒の原理で力を得たのが元になってるんじゃないかと勝手に考えてみた。
この海を一つの孤独のツモ……麻雀やってたせいか意識がそっちに引っ張られたな……蠱毒の壺だと考えれば、やけに強い者が居るのも、多種多様な進化を遂げている者がいるのも理解できる。と言うか、もしかしたら俺のこの身体もそうやってできたものかもしれないな。
元が大和で、深海棲艦となり、多数の深海棲艦を食い潰して進化し、こうなった。あり得ない話と断ずるには、わからない情報が多すぎる。もちろんそうだと言い切ることもできないが、可能性を考えるだけならいくらでもできる。
……さて、沈んでしまった深海棲艦を全て美味しく頂いた訳だが、食った深海棲艦の魂の一つが暴れているように感じる。
このままだと腹の中に人が一人現れて即座に圧砕されてしまう未来しか見えなかったので、仕方無く海面に上がっていった。
海面にはまだどこぞの艦娘達が居るが、この際仕方ない。
……しかし、艦娘だと思われたら連れ帰ろうとしてくるのがわかりきっているので、少し遊び心のある演出と変装をしてから出ていこう。きっと驚愕するだろうしな。
side 天龍
深海棲艦との戦いが一段落したところで、俺はゆっくりと辺りを見回した。
俺以外の奴等はまだ気付いていないようだが……それでも何かがおかしいと言うのには気付いているようだ。
……嫌な予感がするぜ……それも相当悪い……最悪に近い事が起きそうな気がする。
……なんだ? 何がおかしい? 周囲に敵影なし。水平線まで見ても影も形もなし。敵艦載機も発見できず。さっきの敵は6体全て倒しているし、沈んでいくのも確認した。新しい敵が居ると言うことはまず無い筈だ。
今までの研究では、深海棲艦と言う奴らは一ヶ所に六隻より多く集まると、六隻より少なくなるまで共食いを続けて質を上げていくって言う観測結果と、人工的に状況を再現した場合の再現性の確定と言う形での研究結果が出ているので、さっき倒した奴の他にもう一隻居るのだったら、とっくに共食いが始まっていてもおかしくない筈だ。
……いや、むしろ『始まっていなければおかしい』んだが……っだ!畜生!考え事をするにも情報が足りなさすぎる! いくら実戦では無い無い尽くしっていっても、ここまで何もわからない状態じゃ何もできねえぞ!?
俺の予感は嫌なものほど良く当たる。いい予感は大して当たらないくせに、悪い予感ばかりだ。
まあ、悪い事が起こりえるとわかっていれば周りの状態の変化から多少なりとも対策ができるが、今回はそれができそうにない。いったい何が起きるのか。何が起きようとしているのか。全く予想もできやしない。
……しょうがねえ、ここでうだうだ考えてる暇があったら、その時間をもっとしっかり使える可能性のある奴に使わせた方が遥かに有効だろう。情けねえけどわからねえんだから仕方ねえ。
「龍田」
「あら~? 天龍ちゃん、どうしたの~?」
「嫌な予感がする。それこそ最悪クラスに嫌なやつがな」
真剣な俺の表情に、龍田も辺りをゆっくりと見渡し始める。互いに背中合わせになり、視界に入る景色に、耳に入る音に、集中していく。
「ヤ」
そんな俺の前に、何の予兆もなく───真っ白い女が現れた。
まるで挨拶でもするかのように軽く片手を揚げていた。
「なっ!?」
俺は龍田を掴んで無理矢理に飛び退く。こいつがなんなのかはわからねえが、この肌の白さからして深海棲艦だと言うのは間違いない。
「……ヤレヤレ、挨拶ヲシテイル相手ニ返スコトモデキナイトハ……」
「てめえ!何者だ!?」
「天龍ちゃん!一度下がって!」
俺の周りには、練度は少し低いがこの海域を抜けるだけなら十分な力を持つ艦娘が並ぶ。俺と龍田、それから戦艦金剛、駆逐艦叢雲・朝潮、正規空母の蒼龍がそいつに向き合った。
射程は既に遠距離中距離を通り越して近接戦。殴り合いができる位置だと考えるなら、隣接していると言ってもいい距離に居る。
艦娘は……戦闘中においてと前置きすればの話ではあるが……10m程度は距離として数えない。一歩でその距離を詰めるのはわけないことだし、大概の場合はわざわざ詰める必要は無い。
砲撃や雷撃の射程は流石にそこまで短くはないし、そこまで近付かれる前に大概の場合は相手を沈めてしまえる。
「マア落チ着ケ、慌テテモ得ナンテシナイゾ? ア、ボーキ食ベルカ?」
「いらねえよ!」
「石炭モアルゾ?」
「いらっ……いらねえって言ってんだろ!なんなんだお前は!」
奇妙な深海棲艦は、明らかに笑顔だとわかる表情を俺達に向けて浮かべた。
「俺ハ潜水戦艦ヤ級。潜水シタリ浮上シタリシナガラ魚雷ヤ砲撃ヲ相手ニ撃チ込ンダリ、食料代ワリニ艦娘ガ撃沈シタ深海棲艦ヲモッシャモッシャト食ベタリ、麻雀デ知リ合イノ身グルミヲヒッペガシタリシナガラ毎日ヲ過ゴシテイル普通デ普通ナ普通ノ深海棲艦ダ。イツモハデテキタリシナインダガ、チョット色々アッテナ」
そういったと思うと、そいつはその場で大きく口を開けてえずき始めた。
「……ヴェップ」
そして、そいつの口が大きく開かれ───非常に気色の悪い、無理矢理音を文字で表せば『ずりゅぶぐっ』と言う音と共に、一人の艦娘が吐き出された。
「……ゥエ……サッキ沈ンデキタヤツヲ喰ッタラ腹ノ中デコウナッテナ……イランカラ、ヤル」
「……は?」
え、いや、深海棲艦ってのは艦娘も食うんじゃ……?
「馬鹿ダナ、会話ガデキテ、意志疎通ガ可能ナ相手ヲソウ簡単ニ殺シタイトハ思ワンヨ……ヨホド腹ガ減ッテイレバ話ハ別ダガナ……」
それだけ言い残して、そいつは海の中に沈んでいった。……そう言えば、『潜水戦艦』って言ってたか。沈んでも平気なわけだ。
……って、ぼんやりしている暇はない。ソナーは無いにしろ一応およその位置はわかるので、あの妙な深海棲艦を探しながら、吐き出された艦娘を助け起こした。
……かなり衰弱しているものの、外傷はないように見える。
「……ほんと、なんだったんだあいつ……」
俺は消えていったあの奇妙な深海棲艦の事を考えながらも、とりあえず目の前で濡れ透けになっている一人の艦娘を抱き抱えた。
side 宇宙戦艦ヤマト
腹の中で産まれた艦娘を見知らぬ艦娘に押し付けてから、俺はさっさとその場を離脱した。
宇宙を航行できる船の気密性がそこらの潜水艦と同程度に見てもらったら困る。潜ったところで艦載機を出せない事と波動砲以外の主砲、副砲が使えないと言うことを除けば、基本的に何の問題もない。武装は後付けでいくらでも用意できるってのが俺の利点だしな。
それはそうと、やっぱり水中だとライアーズマスクを被っているのがやや疲れるので、身体の上から着ていたヤ級ボディと一緒に脱ぎ捨ててしまう。きつくも苦しくもないが、やっぱり女の身体は落ち着かない。つまり今も落ち着いてる訳じゃないんだが……まあ、いいか。
適当にある程度進んだら、さっさと空間転移で近場に居る深海棲艦を餌として食い荒らしていく。強い弱いはあくまで年齢や練度に当たるのであって鋼材の量に関わる訳じゃない。さっさと喰ってまた別のところに行ってしまおう。
艦娘(?)紹介
潜水戦艦ヤ級
宇宙戦艦たるヤマトが実力のほぼ全てを封印し、海中で行動している姿。主に魚雷を撃ち込んでくる。
なお、耐久を数値で表すと七桁、装甲は八桁にすら到達するため、これが出てきた時点でS勝利は諦めるべき。落とせません。