ホテルの中に戻った四人が時間を確認すると二十一時過ぎだった。
とりあえず、一時間後に再集合して状況判断することになった。
「いくら今日が
そう言うと社は『Ⅵ』の部屋の中へと笑いながら消えていった。
残った三人も無人のカウンター前で別れると、それぞれの部屋へと消えていった。
二階に泊まっていた二人が姿を消し、一人ぼっちになってしまった群道は一人寂しく
二階へと上がってきた。自室に戻ろうとし、例の部屋の前を通りかかった。
『見たことある部屋だった。』
群道の脳裏にドーラの言葉が過った。確かドーラは、ちひろがそう言ったと言っていた。
何気なく、本当に何気なく群道は番号の無い部屋のドアノブに触れた。
青いゲーミングチェア
青いタロットカード
辞書のような分厚い本
まるで、熱い何かに触れたように、群道はドアノブから素早く手を引いていた。
「何? 今の? 」
頭の中に見たこともないものたちのイメージが飛び込んできた。
自分の所持品でもないし、友達やメンバーの家で見た記憶もないものだった。
でも、本当に見たことのないものなのだろうか?
あんなにも、はっきりとしたイメージ。想像であんなに具体的なイメージが出てくるだろうか?
そもそも想像と言ってもドーラから部屋にあったものを聞いた覚えもなかった。
今日は色々な事が起き過ぎているからだろうか。シャワーでも浴びてスッキリしよう。
そう思い群道は足早に誰もいない廊下の奥の『Ⅲ』へと向かった。
時計の針が二十二時十五分を指していた。
皆と別れてから、そろそろ一時間が経とうとしていた。
社が部屋を出て見ると、カウンターの前には夏芽が立っていた。
「お待たせ。」
声を掛けると、社の顔を見て少し安心したような表情を浮かべていた。
社がカウンター前に着いたのと同時に『Ⅳ』の部屋から静も顔を出した。
「あら。二人とも消えてなかったのね。」
出合頭に静は笑顔で強烈なパンチを披露してきた。
「もー。怖いこと言わないでくださいよ。」
恐らく社が顔を見せるまで同じような事を考えていたであろう夏芽が引き攣った微笑みで
返事をしていた。
三人は玄関から門の状態を確認してみたが、やはり閉まったままになっていた。
その後で一階のトイレも確認してみたが、そこにも誰もいなかった。
群道が未だに顔を見せていなかったが、どうせ二階に行くのだからと、
三人は二階へ向かうことにした。
群道の部屋に着くと、社が数回ノックをしてみた。
「群道? 寝ちゃったか? 」
待てど暮らせど群道からの返事はなかった。
三人は一抹の不安を感じた。社の手は自然とドアノブに向かっていた。
『Ⅲ』の扉は、いとも簡単に口を開けた。
「群道...?」
社が見たのは無人となった空間だった。ベットの上にも、室内の見渡せる範囲に人は居なかった。
先ほどとは表情が一変した静はシャワー室へと駆け寄り、ノックもせずに扉を開けた。
扉を開けると温かい湯気が、ふわりと静の顔を包んだ。
室内にも湯気が充満していた。まるで直前まで誰かが使っていたようだった。
しかし、そこにも人の姿は見当たらなかった。
入り口で固まっている社の横を通り、夏芽が無人のベッドへと向かった。
見る限り掛け布団に膨らみもなく、人が中で寝ているとも思えなかった。
そんなことはわかっていたのだが、夏芽は掛け布団を捲らずにいられなかった、
夏芽がゆっくりと捲ると、やはり人は居なかった。
そう。
そこにあったのは