【P5Rその後】地獄の女神は笑う【二次創作】   作:KOMOREBI

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 本作品には以下の注意事項がございます。


・ATLAS様の「ペルソナ5ザ・ロイヤル」の二次創作作品です

・無印版ではなく、完全版の方のその後ですので、本編のネタバレが含まれています

・よく言えばスピーディー、悪く言えば展開が早すぎる

・稚拙な文章

 以上のことが許せる方はどうぞ楽しんでいってください。


 この作品はフィクションです。実在する人物、団体、事象、宗教とは一切関係ありません。


第2話 焼き餅

 着替えに行くすみれを見送り、(れん)は体育館を出た。とその時、何者かの殺気を感じ、即座に振り向いた。

 後方にはいつの間にかあの男が立っていた。背丈はすみれ程で、顔も少々幼い。

 

 自分を見ても一切表情を崩さない蓮を見て、男は少しばかり怯んだ。

 すぐに気を取り直し、蓮を指差して言う。

「見てろよ。お前が今、彼氏だろうが関係ねぇ。最後に笑うのは俺だ!」

 

 男はそれだけ言うと、蓮の返事も聞かずに去っていった。

 嵐が去った後をぼんやりと眺め、蓮は得体の知れない不安を感じていた。

 

 数分後、蓮は夜の街を歩きながら深く後悔していた。

 子供のような下らない嫉妬心と怒りに身を任せ、非常識な行動を取ったことを。

 少し下がって隣を歩くすみれは、まだ顔を赤らめて緊張している様子だ。時々蓮に近づいては顔を押さえて悶えている。

 周囲からは車の行き交う音や人々の話し声、道に面している店からの音楽など様々な音で包まれていたが、自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。

 

 そうして2人はいつの間にか駅についていた。

 名残惜しい気持ちを抑え、すみれの方に向く。

「今日はいきなり押しかけてごめん。すみれに早く会いたくて」

「そんな! 謝らないでください! その…………私も、あ、会いたかった、です……ずっと…………」

 すみれが火照った顔を隠すように俯いて言った。

「うん、ごめん」

 

「ふふっ、なんか照れますね……」

 少しの沈黙が訪れ、少し震えながらすみれが言う。

「あ、あの…………。も、もう、一回…………ぎゅってして、く、くれませんか……?」

 蓮は言われるがままにゆっくりと手を伸ばし、すみれを抱き寄せた。

 

「すみれ、大好きだ。愛してる」

 そう耳元で囁く。すみれは蓮を抱きしめる力を一層強め、応えた。

「私も、大好きです。先輩。今日はまだ、一緒にいたいです……」

 

 時刻は午後8時20分。

 2人ははぐれないようにと手をつなぎ、ルブランへ向かっていた。

 主要道路はまだ多くの人で賑わっていたが、一本ずれた住宅街は既に人気は全くなく、街頭の明かりが不安定に明滅している。

 電線に泊まっていた鳥が蓮たちに気づきその場を飛び立った。バサバサッという音を聞き、すみれが小さな悲鳴を上げながら蓮の右腕を掴む。

 「大丈夫だよ」と蓮が声をかけると、すみれは安心したように蓮を見上げた。

 

 しばらく歩き、ルブランに着いた。

 ドアを開き、真っ暗な店内を覗きながら申し訳程度に「ただいま」と呟く。

 と、すみれがまた小さく悲鳴を上げてより強く蓮を掴んだ。

 

 すみれが怯える方向を見ると二つの小さな光が見えた。

 その光は段々とこちらに近づき───そして蓮に話しかけた。

「ワガハイ、用事が出来た。ちょっと出てくる」

 二つの光はそれだけ言うと、蓮の横を駆け抜け外へと出ていった。

 

 蓮は店内の電気を点けた。冷蔵庫を見ると丁度カレーの具材が余っていたので、2人で作り食べることにした。

 テーブル席に並んで座り、蓮の淹れたコーヒーを飲みながら談笑する。この世界に2人だけしかいないような、そんな幸せな時間だった。

 

「そう言えば……、俺が会いに行く前に話してた男の子って誰?」

 "極自然に"蓮が尋ねる。緊張が伝わったのか、すみれはくすっと小さく笑ってから答えた。

「あぁ、ひろくんの事ですか?」

 

 ひろ"くん"!? 恋人である俺は蓮"先輩"なのに!?

 蓮はそんな思いを隠そうと無表情を貫いたが、すみれには筒抜けだった。

「あの、先輩…………、もしかして……あ、わ、私の勘違い、だったら申し訳ないんですけど…………。もしかして、や、やきもち、焼いてるんですか……?」

 

 すみれに図星を指され、蓮は慌てて目を逸らす。

 その行動を不審に思ったすみれがさらに問い詰める。

「やきもち、ですよね? 先輩? 絶対そうですよね!?」

 

 寄りかかってくるすみれを何とか引き離そうと力を加える。

「きゃっ!」

 蓮の力が勢い余ってすみれを押し倒す。倒れるすみれに引っ張られ、蓮がすみれに覆いかぶさるような体勢になった。

 お互いの顔が近づき、すみれは顔を耳まで赤くする。照れるすみれを見て、蓮も同じように頬を赤らめた。

 

 少しの間沈黙が続き、蓮が訴えるように囁いた。

「やきもち、焼かないわけないだろ…………!」

「先、輩……」

 

 再び静寂が訪れる。そして静寂を打ち破るように、蓮が言った。

「誰にも渡したくない。すみれ……。キス、してもいいか?」

「……もう、そういうの、聞かないでくださいよ…………」

 

 すみれがゆっくりと目を瞑る。その姿に見惚れ、一瞬だけ硬直した。

 そうして、蓮は静かに顔を近づけ、2人は僅かに触れるだけのキスをした。

 

「……苦い…………」

「ふふっ、レモンの味、しませんね」

 

 

◇◆◇

 

 

 数分後、2人は蓮の自室でソファに腰かけ話をしていた。

「ひろ、くん、本名は島田弘樹(しまだひろき)なんですけど。あの子は去年の春頃からうちのスクールに来た選手で、前は別のとこに所属してて凄く演技が上手なんです」

 自分ではない別の男を褒めるすみれを見て、蓮は少しばかり嫉妬心を抱いた。

 

「それで、去年の夏の終わり頃。先輩といよいよしばらく会えなくなるってなって、私、少しスランプ気味になっちゃったんです」

 ───情けないですよね、とすみれが笑って言う。

 蓮の言うことを見越してか、すみれが付け加えた。

「言い訳ですけど、受験で忙しい先輩に、余計な事で心配かけたくなかったんです」

「すみれ…………」

 

「平口コーチには『あなたが会いに行けばいい』って言われたんですけど、でもそれはルール違反じゃないですか。そんな感じで悩んでた時、ひろくんが話を聞いてくれて」

 蓮は申し訳なさそうに俯きながら静かに話を聞いている。

 

「ひろくんは勿論私たちの事を知らなかったので、何というか……逆に話しやすくて。それで気づいたんです。先輩は1人で頑張ってるのに、私がこんなのじゃダメだって…………」

「ごめん。…………ずっと寂しい思いさせて……。会えなかった分、これからもっと支えるから」

 その言葉を聞き、すみれは目に少しの涙を溜めながら笑って頷いた。

 

「あ、そ、その……、ひろくんには、話を聞いてもらっただけで、ほんとに何もないですから。こういうのも変ですけど…………心配しないでください。私には、れ、蓮が、いる、ので……」

「うん、分かってる。ごめん」

「もう、謝りすぎですよ。悪いのは私なのに……」

 

 照れ隠しだろうか、すみれが徐に時計を見た。

「あ、もう9時ですね……名残惜しいですけど、さすがに帰らないと…………。先輩、次は、いつ会えますか……?」




 お読みいただきありがとうございました。

 18禁バージョンはpixivにアップしております。許せる方はそちらもどうぞお読みください。(第1話は同じです)

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