【P5Rその後】地獄の女神は笑う【二次創作】   作:KOMOREBI

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 遅くてごめん。


 本作品には以下の注意事項がございます。


・ATLAS様の「ペルソナ5ザ・ロイヤル」の二次創作作品です

・無印版ではなく、完全版の方のその後ですので、本編のネタバレが含まれています

・よく言えばスピーディー、悪く言えば展開が早すぎる

・稚拙な文章

 以上のことが許せる方はどうぞ楽しんでいってください。


 この作品はフィクションです。実在する人物、団体、事象、宗教とは一切関係ありません。


第3話 杏の帰国

「竜司先輩、遅いですね……」

 すみれが蓮の隣で心配そうに言う。

「あぁ、遅いな。多分練習だと思うけど」

 蓮が答え、真が呆れた顔で溜息を吐く。

「まったく……。もう随分前から決まってたことなんだから、時間の管理ぐらいしっかりして欲しいわ」

 

 時刻は午前10時。まだ到着していない竜司と、杏を除いた元怪盗団メンバーはルブランに集合していた。

 一切ブレることなく単調に進んでいく時間を見ながら、蓮たちは焦っていた。

 惣治郎がコーヒーを沸かす音と、時計が時を刻む音だけが虚しく聞こえる。

 

「もう行っちまっていいんじゃねぇのか? このまま待って杏ちゃんの迎えに送れるよりはマシだろ」

 惣治郎がそう提案し、真が口を開こうとしたその時、全員のスマホが鳴った。

 パソコンで作業をしていた双葉がチャットを読み上げる。

 

「竜司からだ。『わりぃ遅れる。走っていくから先行ってて』だってさ」

「どう考えても走っていける距離じゃないだろう。全く、集合時間を30分も過ぎて勝手な奴だな」

 "サユリ"を観ながらコーヒーを飲んでいる祐介がぼやく。その隣で春は呆れた様子で言った。

「アハハ、祐介も10分遅刻してたけどね……」

 

 

◇◆◇

 

 

 約1時間後。成田国際空港。

 蓮たちは真の運転する車に揺られ、空港に来ていた。

 竜司に関しては姿も無ければあれから連絡もない。

 

「お? なぁなぁ! 飛行機が来たぞ! あれに杏殿が乗ってるんじゃないか?」

 バッグから顔だけを出したモルガナが興奮した様子で言う。

「かもな、行ってみるか」

 皆に声をかけ、到着ロビーへ向かうことにした。

 

 到着ロビーに着き、ベンチに座りながら杏を待つ。

 杏が降りてくるはずの到着口はそれなりに賑わっていた。

「そっか、出待ちぐらいいるわよね」

 ───忘れてたわ、と真が呟く。

 

 というのも、杏は留学をしながらあっちでもモデル活動を続けていたのである。

 元々日本で獲得していたファンは、もちろん海外での活躍も知っていた。

 つまり、人気モデル様が数か月ぶりに帰国してくるという事である。それならば出待ちぐらい発生するだろう。

 

 数十人の乗客をぼんやりと見つめて過ごし、蓮は「出てきたとしてもしばらくは会えないかな」などと考える。

 竜司の姿は、未だにない。

 果たして竜司と杏、どちらが先に姿を見せるだろうか。逆に面白くなってきた。

 

 と、出待ちと思われる集団の賑わいが急激に増した。何事かと視線を移すと、到着口は既に集団に埋もれ、何も見えなかった。

 向こう側では恐らく、杏がファンの皆に愛想を振りまいているのだろう。

「うひゃー、すげぇなー杏のやつ…………」

 そう言いながら双葉は隣で祐介がポリポリと食べているじゃがりこを狙う。

 

 じゃがりこを巡って争っていると、突然後ろから声を掛けられた。

「みんな、久しぶり!」

 マネージャーらしき女性を連れた金髪の女は、声を抑えてそう言った。

「おぉぉぉ!!! 久しぶりだな杏! 会いたかったぞ!!」

 

 「久しぶり」と皆が挨拶を終えた所で、杏が異変に気付いた。

「あれ? 竜司は?」

「それが……」

 申し訳なさそうな顔で真が事情を説明する。

 

「まぁあいつの事だし、そんなに驚きはしないけどさ……。出迎えぐらい間に合わせてよ」

 ため息交じりにぼやく。

 と、マネージャーが杏に耳打ちした。

「あーそっか。ごめんね皆、これからまた撮影があって……」

 

「帰ってきたばかりなのにもう撮影? 休んだ方がいいんじゃないの?」

 真が心配そうに言う。

「ありがと、でもダイジョブ。明日はお休みだし、今日の撮影はそんなに長引かない予定だから」

 そう言うと、杏はマネージャーに何かを伝え忙しくその場を去っていった。

 

 

◇◆◇

 

 

 数分後。

「おーーーい!!!! みんなーー!!」

 こちらに向かってブンブンと両手を振りながら走ってくる金髪のヤンキーが目に入った。

 空港に似つかわしくない陸上のウェアを身にまとい近づいてくる。

 

 結構な距離があったような気がしたが、気が付いたときには既にかなり近くまで来ていた。

「いやぁ練習が長引いちまってよ! 間に合ったみたいだな!!」

 汗を拭きながら竜司が言う。

 

 だが誰も何も言わず、それどころか皆竜司を白い目で見ていた。祐介がじゃがりこをかじる音だけが聞こえる。

「えっ? どうしたんスか皆さん……」

「遅い」

 と、双葉が呟く。

 

「え? え……っと、もしかして……」

 竜司は無理に笑って見せるが、その笑顔の裏には焦りが隠しきれていなかった。

「さっき降りてきて、もう撮影に行ったわ……」

「ってことは…………」

 呆れて言う真に、竜司はおかしな汗が垂れるのを感じる。

 

「大遅刻……だね」

 乾いた笑いを撒きながら春が改めて言う。

「マジかぁぁぁぁぁあああ!!!! ちょっ、れんれん!! 杏のヤツどっち行った!?」

 酷く興奮した様子で肩を揺さぶってくる竜司に、蓮は杏が向かった方向を指差して伝える。

 

「あっちか、あっちだな!? ごめん俺行ってくる!!!」

 言い終わる前に竜司は蓮が指差した方向へと走っていった。

 "雷嵐"が過ぎ去り、再び静寂が訪れた。

 

「……行っちゃいましたね、竜司先輩…………」

「…………あぁ、行っちまったな」

 

「……じゃあ私たちは帰りましょうか」

 ベンチから立ち上がり、真が言う。

「あ、俺らはちょっと…………」

 すみれと共に少し下がり、そう伝える。

 

「なんだ、デートか」

 双葉から逃れるためにじゃがりこを高々と掲げた祐介が尋ねる。

 ただでさえある身長差に加え、頭上に上げられてしまってはもう双葉の為す術は無かった。

 恨めしそうに祐介を見つめながらピョンピョンと猫のようにジャンプしている。

 

「そ、そんなとこです…………」

 すみれが顔を真っ赤にして照れながら答える。

 と、肩にかけていたバッグから何かが飛び出るような影が見えた。

 

「おいおい聞いてねぇぞ。そういうのはもっと早めに言ってくれよ」

 双葉に抱き上げられながらモルガナが言う。

「安心しろ、モナは私が責任をもってルブランに送り届ける。楽しんでこい」

 モルガナの後頭部に顔を埋めながらそう言った。

 

「うん、ありがとう。じゃあ行ってくる」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 ※ここから「竜司×杏」の小話です。本編に影響はないので好きじゃない方はご注意ください※

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 少し速足で歩きながら、杏はマネージャーである黒田に尋ねた。

「黒田さん、今日どこで撮影でしたっけ?」

「えーっと…………。お台場ですね」

 スーツの内ポケットから手帳を取り出し、黒田が答える。

 

「お台場かぁ、懐かしいなぁ。もう一年だもんなー」

 そう呟いて思い出に浸っていると、ポケットに入れていたスマホが小さく振動した。

 

 見てみると蓮からのチャットだった。

 彼らしい短い文で一言。

『竜司が追いかけた。よろしく』

 

「いやどういうこと?」

 人に事を伝えるには圧倒的に情報量の少ないメッセージに対して小さくツッコミを入れる。

 訳の分からないまま少し歩く速さを落とした。

 

 と、後方から自分の名前を叫ぶ声が聞こえた。

 悪い予感がし振り返ると……こちらに向かって全力疾走している金髪の青年が見えた。

 振り返った杏に気づき、嬉しそうに手を振っている。

 

「…………はぁ、恥ずかしい奴……」

 空港という事もあり多くの人がいる中で中々に目立っている。

 杏は軽くため息を吐きながら足を止めた。

 

 竜司は杏の目の前で止まり、少しだけ息を整えた。

「はぁ、はぁ……良かった、まだ行ってなかったな」

「十分遅いから!」

 

「ご、ごめん。コーチが中々帰してくれなくて」

 竜司が怒る杏をなだめるように言う。

「別に怒ってないケド……」

 そう言いつつも、杏は唇を尖らせ拗ねているような素振りを見せた。

 

「怒ってるじゃん、こっち見ろよ」

 杏の腕をつかんで言う。

「怒ってないって! 離してよ!」

 

 杏に言われ、竜司は離すどころか腕をつかむ力をより強めた。

「怒ってるだろ?」

「怒ってない!」

「いーや怒ってるね」

「しつこい!!」

 

 少しの沈黙が訪れ、杏がその場を離れようとしたその時、竜司が笑いをこぼした。

「……ははっ」

 その様子を見て杏は少し顔が綻びそうになる。

 

 急いで気を取り直し、やや冷たく言う。

「何笑ってんの」

 どこか嬉しそうに笑う竜司は、笑顔のまま答えた。

「いや、こうやって杏と痴話喧嘩できるのも久しぶりだなって、思ってよ」

 

 その言葉と笑顔に、杏は顔が熱くなるのを感じた。

 竜司は杏に向き直り、改めて言った。

「杏、おかえり」

 

「……うん、ただいま」

 優しく微笑み、そう答える。

 

 と、竜司が杏に一歩近づこうとしたその時、黒田が遮るように手を叩き、声をかけた。

「はい、そこまでですよ。撮られたらどうするんですか」

 竜司がつまらなそうに「うっす」と返事をする。

 

「それに、そろそろ行かないと撮影に間に合わないです」

 手帳を確認しながら黒田が言う。

「ごめん竜司。また明日ね」

 杏はそう言って、竜司の服を掴み少し背伸びをすると、頬に優しくキスをした。

 

 状況を解せぬままキスされた頬を抑え、竜司は顔を赤くした。

 悪戯っぽく舌を出し、杏が言う。

「じゃあね」

 

 それを見つめながら、竜司は「お、おう」と返事をするので精一杯だった。

「もう! ダメって言ったじゃないですか!!」

 黒田が怒る声が聞こえ、竜司はその場にしゃがみこんだ。

 

「くっそ……あいつには敵わねぇな…………。ずりぃだろあれは……」

 顔を熱くしたままボソッと呟いた。

 

 そして数日後、杏たちはネットで少々話題になるのだが、それはまた別の話───

 

 

 

つづく




お読みいただきありがとうございました。

 18禁バージョンはpixivにアップしております。許せる方はそちらもどうぞお読みください。(第1話、3話は同じです)

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