【P5Rその後】地獄の女神は笑う【二次創作】   作:KOMOREBI

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 遅い! ごめん!


 本作品には以下の注意事項がございます。


・ATLAS様の「ペルソナ5ザ・ロイヤル」の二次創作作品です

・無印版ではなく、完全版の方のその後ですので、本編のネタバレが含まれています

・よく言えばスピーディー、悪く言えば展開が早すぎる

・稚拙な文章

 以上のことが許せる方はどうぞ楽しんでいってください。


 この作品はフィクションです。実在する人物、団体、事象、宗教とは一切関係ありません。


第7話 疑念

「あの、大丈夫ですか?」

 

 頭を押さえ苦しそうにする蓮と、心配そうに寄り添うすみれに一人の男が声をかけた。

 俯く蓮には足元しか見えず、その声の主が誰なのかは分からない。

 ただこの観光客で賑わう温泉街で特に目立ったことをしている訳でもない蓮に気付き、さらに声をかけてきた者に僅かだが違和感を覚えた。

 蓮が頭をあげその顔を拝むよりも早く、すみれが驚きの声を上げた。

「ひ、ひろくん!? 何でここに!?」

 すみれの言葉を聞いてばっと顔をあげれば、そこには浴衣を身にまとった島田弘樹が立っていた。

 

 すみれと同じ新体操のスクールに通っている、すみれの後輩である島田。

 彼がなぜここにいるのか、2人には見当もつかなかった。

 本当に偶然なのか、と蓮は疑念を抱く。

「友人と温泉旅行です。まさかすみれ先輩と旅先で会うなんて…………。先輩は彼氏さんと旅行ですか?」

 島田の笑顔に少し雲がかかる。

 すみれはそれに気づいていないようで、ただ島田と遭遇したことへの衝撃と、蓮を心配する気持ちでいっぱいいっぱいになっている。

 

 島田が接近してきてから大きくなった頭の痛みを何とか耐え、なんでもない様に愛想笑いを向ける。

「そんなことより彼氏さん休ませてあげないとですね。立てますか?」

「いや……俺は、大丈夫…………だから」

 蓮がそう返すと、すみれの前に立っていた島田が蓮の顔を覗き込むように屈んだ。

「強がっても無駄ですよ。どう見ても大丈夫じゃないでしょう」

 島田が叱責するようにそう言うと、蓮は顔を俯かせて何か考えるように黙り込んだ。

「蓮先輩…………」

「………………。……すみれ。」

 すみれの方に顔を傾けて呟くように言う。

 蓮の返事を待つ島田は、何も言わずに蓮の横顔を見つめている。

 

 しばらくして、何かを察したすみれが視認できるかできないか程にこくんと小さく頷いた。

 島田の方に向き直り、申し訳なさそうに笑いながら首を傾ける。

「ごめんね、ありがとうひろくん。でも本当に大丈夫。蓮先輩、よくこういうことあって、いつも少し休めばよくなるから……」

「…………」

 すみれの言葉を聞き島田は黙り込む。

 この状況下でどうすればいいか分からず、すみれはただ笑うことしかできなかった。

 

 島田は表情を固めたまま黙るが、だが確かにそこからは蓮を本気で心配する感情が読み取れた。

 しばらくしてようやく島田が口を開いた。

「分かりました。それならすみれ先輩に任せます。……友人が呼んでるので、僕はこれで」

 言葉ではそう言うが、島田の顔にはまだ蓮を心配しこの状況を不思議に思う気持ちが残っていた。

 

「あ、そう言えば……」

 この場を去りかけていた島田が何かを思い出し振り返る。

「すみれ先輩、首の痣、治ったんですね」

 首元を押さえ、何とも無いような顔でそう言う。

 その視線はすみれではなく、なぜか蓮に向いていた。

 

「え、痣? 痣なんて…………。あっ!」

 島田の言葉を理解したすみれが慌てて首元を押さえる。

 耳まで真っ赤になってどうにか言い訳をしようとするが、それも叶わずただどもるだけだった。

 言いたいことだけ言ってすぐに背を向けてしまった島田を見つめる。

 振り返る直前、島田は酷く冷たい目をしていた。

 

 

◇◆◇

 

 

 島田が立ち去ってから数分が経った頃。

 蓮の頭痛はほとんど治まっていた。

「蓮先輩……、大丈夫ですか?」

「あぁ、もう……大丈夫」

 蓮はそう言いながら、島田が去っていった方向を見つめていた。

 

「先輩の頭痛、何が原因なんでしょう……。この前のデートでもありましたし、先輩、辛そうですし……。病院行った方がいいんじゃないですか?」

 蓮がベンチに置いた手に自分の手を重ね、不安気に尋ねる。

 それでも蓮は何か考え事をしているのか、それか何も考えていないのか、ずっと真顔で一点を見つめていた。

「先輩……?」

「…………? あ、ごめん。ちょっと考え事してて。でも……病気とかそう言うのではないと思う。確信できたら、すみれにもちゃんと話すよ」

 

「…………分かりました」

 すみれは少し納得のいかないような表情でそう短く答えた。

 それは蓮を信頼しているからこそだった。

 蓮には何か思うことがあるのだろう。

 でもそれをむやみに言ってしまっては自分を心配させるだけかもしれない。

 そう思っての言葉なのだろうと、すみれは蓮を信じた。

 

「だから、今は楽しもう。せっかく二人で旅行に来れたんだから」

「……はいっ!」

「足湯行くはずだったよね。行こうか」

 ベンチを立ち上がり、すみれにすっと右手を差し出した。

 恥ずかしそうに俯いてから、こくんと小さく頷き、そして蓮の手を取る。

 蓮がすみれの手を引き、そして二人は目的地へと歩き出した。




 お読みいただきありがとうございました。

 本作品の18禁バージョンはpixivにアップしております。許せる方はそちらもどうぞお読みください。(第4話デート回の続きがあります)

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