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第3章
ー風の聖痕ー
第2話
ー炎と風の試練ー
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俺は4つの属性の精霊の王と契約し、4つの属性の精霊であれば無条件に従えることができる…らしい。
ただ例外がなくもないのがこの世界というよりも現実である。
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○山の中○
いつもなら獣や鳥の鳴き声以外ないであろう山の中、破壊音が響き渡っていた。
「≪風遊び・鎌鼬≫」
俺の放った風の刃の嵐が、父親に襲いかかる。父親は両手をポケットに入れている内の右手のみ出して振るう。
「ふっ‼︎」
父親が腕を振るうと風の刃が生み出され、その刃が俺の風の刃達を切り裂いていく。
「まだ甘い‼︎ もっと意識を集中して風の密度を上げろ」
「≪風遊び・風波乗り≫」
俺から放たれた風の津波が、父親の放った刃を押し消す。
「…よし、ここまでにする」
「ふぅ」
父親の中止の声に俺は緊張を解き、汗を拭う。
「お前は出力こそ高いが、細かい調節がまだまだだな」
「いや、精霊王と契約してる俺の風を打ち破る方がやばいと思う」
「俺も風の精霊王との契約者だ。まだまだひよっこのお前に負ける気はないぞ」
そう、実は父親も風の精霊王と契約した契約者なのだ。
というか、俺の場合は特典で例外的に契約状態なので、ある意味で風限定ではあるものの父親が正当な契約者である。
「あと、お前はどちらかといえば炎術の方が向いているようだな」
「あー、それはずっと使ってたからなぁ」
デビルサバイバーの頃から、神の炎であるメギドの炎が主力であった。代表的なのは≪メギドラオン≫であろう。
つまるところ、使い慣れているのだ。
「炎術は俺じゃあ初歩くらいしか教えられんしなぁ…」
「まあ独学でやるしかないんじゃない?」
「それもそうだな。無い物ねだりしても仕方ない」
父親はごほんと咳払いをする。
「んじゃ帰るか…」
*********
○街中○
俺達は帰り道を急いでいた。電車が止まったせいで外が暗くなってしまっていたからだ。
「父親。母親に連絡しといたとはいえ急がないと…」
「ああ、分かって…」
突然父親が鋭い視線になる。
「総司、そっちに行くぞ」
「え?ちょっ」
俺は父親に工事現場に連れていかれる。
「さて、出てきたらどうだ?」
「え?」
工事現場の入り口から3人の男達が入ってくる。若い男2人と中高年の男1人である。
「オヤジ…」
父親がボソリとつぶやく。父親の父親…つまり俺の祖父ということだろうか?
「(ってことは、こいつら神凪か?)」
俺は戦闘に意識を切り替える。
数の上では相手の方が1人多いが、こっちには精霊王との契約者が2人もいる。容易く負けるとは思えない。
…問題なくやれる。
「久しぶりだな」
「そっちもなクソオヤジ…いや、神凪 厳馬」
父親と厳馬と呼ばれた中高年の男が、鋭い視線をぶつけ合う。
その背後の若い男達のうち、よく言えばチャラい悪く言えばヤンキー風の男がイライラした様子でそれを見ている。
「(厳馬とやらは腕が立ちそうだし父親に任せよう。俺はあの2人をやるか)」
父親は元々宗家…つまりは本家筋の人間であり、その父親である祖父は本家筋の人間ということになる。腕で劣る俺が勝てるとは思わない。
ゆえに、後ろの2人くらいは俺が処理するべきだろう。
「ーーー昨夜神凪の炎術師が3人殺された。やったのは風術師だ」
「「⁉︎」」
俺と父親は厳馬の言葉に驚く。
「ふーん、それで?」
しかし父親はそれを表情に出さずに、ポーカーフェイスでその内容を探る。
「宗主がお前にご下問される。ついてこい」
「俺じゃねぇよ。以上」
「かぁあああずぅうううまぁあああ‼︎」
厳馬の背後にいたヤンキー風の男が火の玉を放つ。炎術だ。
「ーーー馬鹿が」
その火の球を、俺は右手で受け止めて握り消す。
「…それがお前の息子か?」
「ああ、俺の息子の総司だ。俺よりも何倍もキレやすいから気をつけろよ?」
俺は酷いことを言う父親に、敵から視線を離さずに俺は問いかける。
「父親、あいつら攻撃してきたよな?手を出してきたよな?」
「だな。残念ながら」
父親が肩をすくめる。
「俺は厳馬をやる。お前は後ろの2人を抑えておけ」
「別に倒しても構わないだろ?」
「…油断はするなよ」
俺と父親は構えを取る。
「お前の実力。この目で確かめてやろう」
「ほざけ‼︎」
父親の風と厳馬の炎がぶつかる。
「さて、んじゃこっちもやりますかね」
俺は全身に炎を宿す。
「何で火力だ」
若い男が炎の火力に驚く。
「≪火遊び・火燐三大蛇≫」
俺に宿った炎から巨大な炎の蛇が3頭誕生する。
「まずは小手調といこう」
火の蛇から放たれた火球。2人の男達はうまく回避する。
「行け」
俺の命令で、火の蛇達が男達に殺到する。
「舐めるな‼︎」
男達は火の蛇の突撃と火球を避けながらも、炎術で迎撃してくる。
…うん、馬鹿なのだろうか?
「(俺にお前達の炎は効かないとさっきので分かっているだろうに。体術の方がまだ可能性がある)」
そもそも姿形こそ蛇のそれであるが、この火の蛇達はただ俺から発生している炎を操って、蛇の形を模倣して動かしているだけだ。つまるところただの炎なのである。
「(一族の関係者が殺されて冷静な判断ができていないのか?もしそうなら間抜けもいいところだな)」
とはいえ、現在押し切れないのも事実である。
「(神凪の炎の加護のせいで大してダメージを与えられない。それに冷静さこそ欠いているが、ヤバそうな攻撃は避ける上に隙があらば攻撃してくる。厄介だ)」
俺は一つの決定を下す。
「仕方ないな。ギアを一つ上げていくぞ‼︎」
そう言った瞬間、俺の炎が蒼く染まる。
ーーー≪神炎≫。炎術師最強と言われる神凪一族ですら歴代で11人しか使い手がいなかったとされる炎である。
だけど、そんなものは俺からすれば"炎のギアを1つあげる"くらいに過ぎないのだ。
「馬鹿な⁉︎ 蒼炎だと⁉︎」
「和麻の息子がだと⁉︎」
その瞬間、蒼い炎に染まった火の蛇の1頭が膨れ上がる。
「爆裂しろ」
「「まずッ」」
蛇が爆発し、周囲を巻き込む。もちろん敵対していた2人ごとだ。
「炎術師は炎への耐性がある。それは分かっている。しかし、爆発の衝撃は?否だ。炎術師といえども爆風までは耐えられない」
爆発の霧が晴れると、そこには地面に横たわった2人がいた。
「ま、殺すのはやめておこう」
俺は父親の戦う姿に目を向けるが、ちょうど終わったところらしく、厳馬が大出力の風に吹き飛ばされるところであった。
「…救急車くらいは呼んどくか」
俺はケータイを手に取った。
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エンド
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