平成の転生者(改訂版)   作:初任者

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縁は意外なところにあるものですよね。


・第2話 ー人形の屋敷ー

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第4章

ーゴーストハントー

第2話

ー人形の屋敷ー

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森下家の家の中で、俺は数人の人間に囲まれていた。

 

 

「君が礼子ちゃんが呼んだ助っ人か?」

「ええ…私の専門はどちらかと言えばオカルト方面ですので」

 

 

俺は偉そうな青年の言葉に肩をすくめる。その後に視線を小さな子供ーーー森下 礼子に向ける。

 

 

「で、あんたが依頼主か?」

「ええ、依頼に答えてくれて感謝するわ」

「対価が良かったからな、と思ったが中々やばい家のようだな。よく生きてた」

 

 

俺は純粋に礼子を褒める。よくもまあこの状態で生きていたものだ。

 

 

「この家の状態がわかるのか?」

「まあ…ここまであからさまだと」

「聞かせてもらっても?」

「この家は間違いなく私や礼子さんの年代の子供を狙っていますね。手を出してくるのは子供の霊ですが、彼らは言わば使役されているに過ぎない。元凶は別にあります」

「その元凶は?」

「流石にそこまでは」

 

 

見た感じはそうということである。俺は霊を見ることはできるが、その霊の心を読み取る等はできない。

 

 

「早速だけど頼める?」

「ああ、用意はしてきたからいつでもできるが…本当にこれだけでいいのか?祓うこともできるが」

「貴方がやると、家が吹き飛びかねないわ。それこそ貴方の父親である八神 和麻が、趣味の悪い金持ちの依頼人の屋敷を吹き飛ばしたみたいに」

「電話の時も思ったが、ぜひその諜報能力の手の内を教えてもらいたいもんだな」

「ーーー八神 和麻?今、八神 和麻と言いましたか?」

 

 

長身の男が立ち上がる。見覚えのない男だが…誰だ?

 

 

「もしや、その八神 和麻というのは、フリー風術師の八神 和麻氏では?」

「ええ、そうですが貴方は?」

「私は香港の出身で、【リン・コウジョ】と言います。お噂はかねがね…」

「知っているのか?リン」

 

 

偉そうな青年がリンに問いかける。

 

 

「はい。フリーとしては最上ランクと言われている風の精霊術師です。ただの噂かと思っていましたが、まさか実在するとは」

「まあ、精霊術師の数も科学の発展と共に少なくなってきてますからね。日本最強とされる神凪一族も規模だけならアメリカの【マクドナルド】家に劣ってしまっているのが現状ですし…まあ、神凪一族は実力で言えばマクドナルドの術師を圧倒しているのですが」

 

 

マクドナルド家はアメリカで最も勢いのある炎術師勢力である。火の精霊を核とした【精霊獣】を使役するタイプの炎術師集団だ。

 

 

「それより、先ずこのミニーを。中にいるのは被害者でもあるのでなるべく穏便に」

「ああ、人形が憑依されたのか」

 

 

目の前に西洋人形が置かれる。成る程子供の幽霊が憑依しているようだ。

 

 

「さっさと祓うぞ」

「その子も被害者だから穏便に」

「人形から追い出して、人形を使われないようにするだけだ」

 

 

俺は人形を持ち上げ、右手人差し指に黄金の炎を宿す。

 

 

「え?火?」

「…八神氏は風術師では?」

「彼も八神 和麻もその血を辿ると炎の一族である神凪家の宗家に辿り着きます。その縁からか、彼は炎術を使うことができます。それも破邪の炎を」

 

 

俺は人形の額に炎を宿した人差し指を当てる。

 

 

『あ、温かい…』

 

 

人形の中の霊の声がする。まるでミニー自身が喋るように。

 

 

「炎で全ての楔を焼き切ろう。さあ、あるべき場所へと帰るがいい」

『ありがとう…』

 

 

人形から幽霊が離れ成仏し、霊を失った人形は一気に燃え上がる。

 

 

「きゃっ」

 

 

高校生くらいの少女が、いきなり燃えた人形に驚いた声をあげる。

 

 

「これでよし…で、大元はどうするんだ?」

「渋谷サイキックリサーチさんにお任せします。その間避難するためにミニーに取り憑いた霊が邪魔だったんです」

「じゃあ俺はお役御免か?」

「ーーーいや、是非君にも協力してほしい」

 

 

偉そうな青年が話に割って入る。

 

 

「(当日中に帰りたいんだけどな…)」

 

 

と思いつつも、協力依頼を受諾する。

 

 

「とはいえ、どうするんですか?」

「先ずは元凶の特定だが…」

「それは依頼主が知ってるでしょう。そうだろう?」

「ええ」

 

 

俺の確認の言葉に礼子が頷く。

 

 

「そりゃあつまり、俺らが来る前から原因は分かってたって事か?」

 

 

チャラい男が礼子に問いかける。

 

 

「ええ、原因は分かっていたのですが…解決できそうで尚且つ協力が得られそうな彼の連絡先を特定できなかったもので」

「で、俺らが来てから連絡が取れたと」

「そうなりますね。まあ、彼を呼ぶのは最終手段であるとは思っていましたよ?彼がやると下手すれば家ごと吹き飛びかねなかった」

「流石に加減はするがな」

「…それは今のを見てよく分かった」

 

 

礼子が深くため息を吐き出す。

 

 

「それで?この件の原因は?」

「話はかなり昔のことです。この家にはとある家族が住んでおり、そこには母親と幼い子供がいました」

 

 

礼子がことの発端を話し始める。

 

 

「ある日その家の子供が母親が目を離した隙に行方不明になり、その後池に子の死体が浮かびました。子の母親は絶望のあまり、井戸にその身を投げ込みました。そしてその母親の怨念が、子を取り戻したいという執念が、子供の浮遊霊だけでなく生きた子供の命まで奪い始めたのです」

「その家がここだったってわけか」

「ええ、その通り」

 

 

礼子が書類を偉そうな青年に手渡す。

 

 

「こちらが詳細となります」

「…すごい情報量だな」

「私もそこの彼と同じで只人ではないということですよ」

 

 

そう言った礼子は薄く笑みを浮かべた。

 

 

*********

○数時間後○

○リビング○

 

 

「間違いなくここだな」

 

 

俺はリビングの床をノックしながら呟く。

 

 

「燻り出せそう?」

「やれない事はないが…間違いなく、リビングは修理が必要なレベルになるが?」

「構わないわ。どうせ"原作通り"ならリビングの床は全滅してるわ」

「…なるほど、あの渋谷サイキックリサーチとかいう連中がキャラクター達ってところか?」

「ええ。原作は【ゴーストハント】。ホラーミステリーってところかしらね?まあ、私もアニメしか見てなかったから、この現状に気が付くのが遅れたわけだけど」

「ふーん」

 

 

俺達は一度安全地帯へと戻る。寝室と渋谷サイキックリサーチの拠点としている部屋には、風の結界を展開している。中級妖魔でも弱い個体なら弾けるほどの強度を持つ強力な結界である。つまり、この家の中でそこだけは安全地帯だ。

 

 

「ついでに主人公は、人形が燃えた時に悲鳴をあげていた谷本 麻衣」

「ん?谷本?」

 

 

谷本…谷本…谷本?

 

 

「うーん、どっかで聞いたことあるような」

「接点があるとは思えないけど?」

「谷本…谷本…」

 

 

渋谷サイキックリサーチの拠点の部屋のドアを開けた瞬間、俺は思い出す。

 

 

「あぁあ‼︎ はいはい思い出した‼︎ 谷本 麻衣って【谷本 真奈】さんの娘さんか‼︎」

「え?お母さんを知ってるの?」

 

 

麻衣がこちらを向く。

 

 

「ええ、少々お世話になりまして。彼方が覚えてるかは知りませんが…真奈さんはお元気ですか?」

「うーんと、言いにくいんだけどもう…」

「そうでしたか」

 

 

谷本 真奈。デビルサバイバー2の世界で、家族を一緒に探してくれた鬼神:ウベルリの使い手のJP's局員である。

 

しかし、死んでしまったのか…お礼ぐらい言っておきたかったが。

 

 

「よろしければ今度お線香を上げに行かせていただいてもよろしいでしょうか?」

「うん、お母さんも喜んでくれると思うから来て」

 

 

麻衣がニコニコと笑みを浮かべている。

 

 

「しかし、真奈さんの娘さんという事は霊能力者としての才能は高いでしょう。もう覚醒されているので?」

「え?霊能力者?」

「はい。真奈さんは強力な霊能力者でした。霊視に夢を介した他者との交信に優秀な霊力。ああ、霊に物理攻撃もできると言っていましたね。そんな真奈さんの娘さんが無能力者とは全くもって考えられないのですが」

 

 

実際実力主義のエリート集団であったJP'sに身を置いていたことからしても、相当な手練れであったと言って構わないだろう。

 

そもそもJP's局員達はゲームのデビルサバイバー2ではやられ役の雑魚キャラ扱いであったが、平時である今であれば間違いなく世界有数の異能集団であった。つまり、そこに勤めていた麻衣の母親は間違いなく実力派エリートであった。

 

 

ーーーそして、霊能力は遺伝しやすい。彼女ほどの能力者のチカラが遺伝していないとは考えずらい。

 

 

「そんな話聞いた事なかったけどなぁ…」

「怖がらせないように話さなかったか、または関わらせたくなかったか…まあ、何かあれば相談してくれれば、恩もありますからお手伝いさせてもらいます」

「うん、ありがとうね」

 

 

しばらくするとメンツが揃い始める。

 

 

「それじゃあ、始めるとしよう」

 

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エンド

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