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第4章
ーゴーストハントー
第3話
ーあっけない終わりー
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結果から言えば、リビングの床は大きく破損したが、穏便…穏便?に除霊は終わった。
渋谷サイキックリサーチはヒトガタを霊の失った子供に見立てる事で、子供を取り戻したと思わせ、母親の霊を満足させて成仏させた。その成仏に連鎖し、囚われていた被害者の魂達も成仏した。
俺は父親に付き合って何度かこういう場に行ったが、その中で最も穏便な解決を迎えた。俺がやってたことなんて、霊が家から逃げないように結界を張っていただけだった…いるか?俺?
「しかし、あの偉そうな奴が陰陽術師だったとは…」
「彼には彼の事情がある。詮索しない方が双方のためでしょ」
「まあな」
安全になった家の庭で俺達は会話を交わす。既に渋谷サイキックリサーチは朝イチで撤退するための準備を終え、今は就寝中である。
「まあそれはそれとして…ちょっと疑問符はつくかもしれんが、依頼は完遂した。報酬をもらおうか?」
「"成果には相応の報酬を"…前世の父から教わった家訓よ」
礼子が俺に封筒を手渡す。中身を開けると幾らかの書類と写真が入っている。
「私の特典は電気を介した情報収集能力。そこから貴方の欲しがった情報をまとめたのがそれ」
「成る程。だから俺の家の電話番号も分かったのか」
「まあ、応用というところね」
俺は中身を読み込んでいく。
「ふむふむ…助かるぜ。実はいくつか原作があるだろう事件に巻き込まれてるが、その原作を知らなくてな。こういう情報はあればあるだけいい」
書類の中身は俺が巻き込まれた原作のリストと、簡単な内容。そして、"敵対可能性の高い敵"の情報であった。
「報酬は確かに受け取った…だがな」
俺は異空間倉庫から拳銃を取り出す。ラクーンシティで手に入れた一品で子供にも持ちやすいスモールサイズの拳銃だ。それ故に誰も持っていかなかったようだった。
「…なんの真似?」
拳銃の銃口は礼子に向けられていた。
「通常の転生者なら放置しても良かったが、お前の能力は野に放つには脅威だ」
「賭けに勝って、勝負は墓穴を掘ったってところ?」
「かもな」
俺たちは双方微笑を浮かべる。
「すぐに殺さないということは、何か他に手があると考えていい?」
「脅しみたいになるが、いや立派な脅しではあるが…ああ、もちろんあるとも」
殺さない選択肢もある。
「今現在ラクーンシティで助けた転生者が転生者のための組織作りを始めている」
「転生者のための、組織作り?」
「外側は"カラーギャング"だが、その首脳陣は転生者で占めるそうだ」
「カラーギャング、ね」
話を聞いた時は驚いたが、カラーギャングを隠れ蓑にするのは十分ありな話だ。さらに下の連中は手駒として使える。
「つまりだ。組織に入り、俺達の仲間となれ。それなら殺す必要はないからな」
「完全な脅しね」
「もっとスタイリッシュにやりたかったが、どうもこの手の交渉ごとは苦手なようでな」
俺は両肩をすくめる。
「さて、悪いが返答はこの場で頼むよ。最悪の場合後始末もしないといけないからな」
カチャリと銃を音を立てて構え直す。銃口はしっかりと礼子に向けて。
「武力的後ろ盾も欲しかったし、組織に入るのは構わないわ」
「のは?」
「ええ、入るのは構わないけど、入るのは脅されたからじゃなくて入りたかったから。そこははっきり言わせてもらうわ」
俺はポカーンとほうけた表情を浮かべる。そして、大爆笑する。
「あははははは‼︎ 面白い奴だなお前‼︎ いいぜ、気に入った。ようこそ我らが組織へ」
俺は異空間倉庫へと拳銃を放り投げる。
「後日その転生者から連絡を入れさせる」
「もう組織名は決まってるの?」
「ああ、ダラダラしたいから【ダラーズ】。イメージカラーは無色だそうだ」
礼子は少し驚いた表情を浮かべる。
「成る程、原作までに戦力を整える気か」
「…?どうかしたか?」
「いえ、なんでもない」
ひゅうっと冷たい風が吹く。
「寒くなってきたようだな。俺はこのまま帰宅させてもらうが」
「私はこのまま家に戻るわ。そろそろ母達が私がいないことに気づくだろうし」
「次会う時まで元気でな。早速の同胞が知り合って速攻で死ぬのは勘弁だ」
「さっきまで殺そうとしていた人間のセリフとは思えないわね」
礼子が肩をすくめる。
「昔の話だろ」
「いえ、今の話よおじいさん?」
「そうだったか?もう忘れちまったな」
俺は風を纏い、空へと浮かぶ。
「じゃあ、また会おうぜ」
「ええ、また今度電話するわ」
「そういえば電話番号知ってたな」
すっかり忘れていた。
俺は風の光学迷彩を纏い、空の闇へと消えていく。
なお、帰りが遅かったせいでコッテリと絞られた。ぴぇん。
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***
○数日後○
○自宅○
風呂上がりでパジャマ姿の俺は、家の固定電話の前で受話器片手に会話をしていた。
「こんなすぐにかけてくるとは思わなかったな」
『ええ、報告と依頼を兼ねてね』
「人使いが荒いお嬢様なことで」
俺は肩をすくめる。
『まず、ダラーズについては結成時期が"全員が中学生になってから"という事で決定したわ』
「さっさと結成しないのか?」
『ええ、提案者曰く現在同胞を捜索中とのことよ』
「悠長な事で…まあ、動くのはあいつだから俺は構わんがな」
『それと、彼からの伝言で戦闘系の能力者でない同胞に、悪魔召喚プログラムを貸して欲しいとのことよ』
「まあ、そうはなるだろうな…」
俺は頭をぽりぽりと指先でかく。正直言って戦闘系の能力者でない転生者は大変危険である。下手な一般人よりも能力目当て狙われる可能性が高いからだ。おまけに防御能力がない。
「レベル15までの悪魔なら構わないぞ。ただ契約してもらう必要があるから、俺とか戦闘能力があるやつが近くにいないと危ないぞ」
『それが私からの依頼よ。私の契約を成功させて』
「暇な日は?」
『2週間後の日曜日でどう?貴方の能力なら、寄り道しなければ20分もかからないでしょ?』
「戦闘可能な場所に連れていかないといかんだろ。家族と話はつけておけよ」
『…まさか、家族に転生者だと明かしたの?』
「ああ、問題なく受け入れてもらえたよ」
『私にはとても無理な話ね』
電話の向こうからため息の吐息が聞こえる。
「話してみればいいじゃないか」
『正直言って、私は人間の感情が怖いわ。何がきっかけに爆発するか分からないもの』
「まあ、それはあるな」
『つまり、私が生まれなければ生まれるはずだった子供を思って、私を拒絶する可能性もあるのよ?それでなくても自分達から離そうとするかもしれないじゃない』
「まあ、それは俺も思ったがな…能力を見せてしまった時点で引き下がれなかったしな」
『ああ、ラクーンシティの件ね。確かにあそこまで派手にやったなら仕方ないわね。
ーーーあ、そうそう報告し忘れてたわ』
「ん?なんだ?」
電話の向こう側からガサガサと紙を漁る音がする。
『あの事件の生存者にキリスト教。それもローマ・カトリック教会の信徒がいたのを知ってる?』
「あ?ローマ?カトリック?それがどうした…よ」
脳裏に記憶が走馬灯のように走る。あれ?もしかして俺…。
『探し回ってるみたいよ。"天使を使役し、死者たちがたむろする地獄から救ってくれる聖人"としてね』
「あががががががか」
や、やらかしてたァアアア⁉︎
『日本にも支部はあるから気をつける事ね。あ、2週間後私の家で合流ね』
電話が切れると同時に、俺は膝から崩れ落ちる。
「や、やらかしたァアアア‼︎」
その背後をはやてが通りかかる。
「にーにがやらかすなんて、いつものことやんか。気にしない方がええで」
…ぴぇん(白目)
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エンド
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