ーーーーーーーーーーーーーーーーー
第7章
ーGS美神ー
第2話
ー霊刀*剣‼︎ー
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
試合を観戦しながら、はやては大爆笑、母親も笑いを堪えている。俺?頭抱えてるよ。
「ーーー必殺ぅううう‼︎≪霊刀葱剣≫‼︎」
「ふざけぐぶぁ⁉︎」
霊力を纏った九条ネギが、霊的力を纏った格闘家を吹き飛ばす。吹き飛んだのを確認した鍋を背負った剣士が、ガッツポーズをしている。
「な、何やあれ⁉︎ぶあはははははははは‼︎」
「ぷっ、はやて、真剣な…ぶふっ‼︎」
実にシュールである。大切な試合なのに、武器が葱と鍋である。格闘家よ、お前はキレても許される。
「(あー、思い出したぞ。確か居たな。転生者の中に、【葱鍋武術】とかいう変な武術を特典に貰ってたやつ)」
葱鍋武術。その名前の通りネギと鍋、また鍋の具材を武器に使う武術である。本人もふざけてネットで【鴨ネギ伝承者】と名乗ってたはずだ。
「(何が酷いって、ふざけた武術なのに、普通に強いんだよなぁ)」
格闘家が弱かったわけではない。普通に鴨ネギ伝承者が強かったのだ。
「(要注意だな)」
しかし、この後も予想外の戦闘が続く。
ーーー明らかに兵器だろ⁉︎ってかマシンガンだろそれ⁉︎いや、霊力籠っててもダメやろそれ‼︎
ーーーそれ明らかに仮面のライダー装備やねん⁉︎
ーーーテメェに至っては、ただのコスプレじゃねぇかぁあああ‼︎
俺はツッコミ疲れた。しかし、試合は続く。
「…別の意味できついぞこれ」
何故か(ツッコミのため)疲れを感じつつ、俺は次の試合へと進む。
「対戦相手は… ああ、美神 令子か」
対戦相手は美神 令子であった。
「楽しめるといいんだがなぁ」
ここまで生き残れば、試験に落ちるということはないだろう。つまり、蹴落としても問題ないという事だ。
「「…」」
ステージで相対した俺達は構える。
「食らいついてこい、美神」
「ッ⁉︎」
試合開始と共に、俺達の攻防戦が始まる。
美神は霊力の剣?らしきアイテムを主に使った迎撃。俺は風の精霊術でのゴリ押しである。
「(呪符に精霊石、その他諸々のアイテム。そのアイテム知識もそうだが、それを戦いの中でベストタイミングで使い続ける集中力。
ーーー悪くない。しかし)」
風の鞭を生成し、美神に振るう。
「くっ…きゃあ⁉︎」
霊力の剣で受け止めるも、ステージギリギリまで吹き飛ばされる美神。
「(アイテム自体の性能が低すぎる。このレベルなら、良くて神凪一族の中級連中、最悪下級連中の中で上位程度。上位アイテムがあればまた話は違ったのだろうが…まあ、アイテム使いの弱点ではあるか)」
再確認という意味では良い試合だった。そう割り切って、俺はとどめを与えようと、風を右手に溜め込む。
「もういい、吹き飛べ。
ーーー≪風遊び・台風砲≫」
風の砲弾が美神 令子を吹き飛ばす。
「かっは⁉︎」
ステージ外の壁に叩きつけられた美神は気絶したようである。
「(アイテム使いとして名高い美神…密かに楽しみにしてたんだが)」
俺の勝利が告げられると、俺はその場を後にした。
*********
******
***
○最終試合○
「(なんだこいつ)」
俺は両手に風を纏わせながら、目の前のジーンズの青年に探りの視線を向ける。年齢は俺と同い年か少し若いくらいだ。
「(霊力がかなり高い。いや、それだけじゃなく、何か混ざってる?どちらにしろ只者じゃねぇな)」
今まで戦ったどの対戦相手よりも、明らかに上の存在であった。
「(しかも、ギャグ枠とはいえそれなりの強さの転生者達を下すとは…強い)」
バトルジャンキーの気はないと思っていたが、実はそうでもなかったようだ。
ーーーああ、楽しみだなぁ。
「始め‼︎」
俺は風の刃を放つ。しかし、それはギャグのようなふさげた動きで回避される…ゑ?
「あ、あっぶねー」
「(あんなアホみたいな動きで避けた、だと?風の一撃を避けたのには驚いたが、それ以上にその動きは無駄に体力使わないか?いや、もしかしたら、特定の動きの場合にバフをかけられるとかの特殊能力か?)」
「今度は俺の番だ‼︎≪栄光の手≫‼︎」
霊力の腕が俺に迫る。
「(なんという霊力の圧縮⁉︎生半可な攻撃では弾かれかねん‼︎)」
霊力の腕を例えるならば、ビームサーベルなどが当てはまるだろう。下手な攻撃は霊力に飲まれて消滅するだろう。
「ーーーが、それは威力だけならだ」
「ぐぼへ⁉︎」
ふらっと霊力の腕を回避して、対戦相手の顔面に蹴りを繰り出す。蹴られた対戦相手が転がってゆく。
「悪いな。こう見えて格闘技も弱くはないんだよ」
いくら高出力とはいえ、結局のところは腕である。避けて反撃するくらいはわけないのだ。
「んにゃろう‼︎」
「白兵戦か。相性的には悪くはないな。実力的には悪手だが」
俺と対戦相手は格闘戦を行う。相手はあの腕を使いながらだが…良くも悪くも格闘術の熟練度が違いすぎる。
「惜しい…もう少し熟練した霊能力者ならあるいは…」
「はぁあああ‼︎」
それは完全な隙であった。相手を侮った俺のである。
「≪サイキック猫騙し≫‼︎」
「ぎゃあああ⁉︎目がァアアア⁉︎」
俺は両眼を抑える。
「そろ〜り、そろ〜り」
「クソがぁああ‼︎どこに行きやがったぁ⁉︎」
ブチ切れ状態で、まともに機能しない両目で必死に対戦相手を探す。さっきの技のせいか、風の精霊の制御がうまくいかない。敵を探知できない。
「そこぉ‼︎≪栄光の手≫‼︎」
「ぐぁあ⁉︎」
背後から襲われた俺は、まともなダメージを受ける。
「(スキルで≪物理無効≫をセットしているが、それ以外の属性攻撃。また一つ勉強になった…がな‼︎)」
俺は精霊術以外の特典を行使する。
「行け‼︎≪見えざる手≫‼︎」
「うぁッ⁉︎」
通常の視覚では認識できない腕で、対戦相手の足を掴み、そのまま投げ飛ばす。
「痛ってぇ‼︎」
「クソが…ようやく精霊の制御が効き始めたぞ」
俺はいつの間にか解除させられていた、体に纏っていた風を、再び体に纏わせる。
「すぅ…はぁ…」
俺は深呼吸を一度行い、精神的に仕切り直しを行う。
「ーーー戦士よ、名を問おう」
俺は対戦相手を認めていた。確かに能力的には劣っている。だが、ここまで俺にダメージを与えたのはなかなかいない。
「ゴーストスイーパー【横島 忠夫】だ‼︎」
「く、くくく…アハハハハ‼︎いいぞ横島ぁあ‼︎俺をもっと楽しませろぉおお‼︎」
俺は周囲にいくつもの≪見えざる手≫を展開し、風を荒れ狂わせる。
「これでもくらいやがれ‼︎」
「あ?」
それは宝玉のようなものだった。いや、あれは。
「珠?」
その瞬間、それが光り輝く。
「ぐっ、これは…」
「【文珠】ってんだ」
文珠に文字が浮かぶ。"封印"の二文字が。
「か、風が⁉︎」
俺の風が止む。腕も消失する。
「これはまさか⁉︎」
それは昔、父に教えられた能力。
「文珠使いだと⁉︎」
もはや絶えた技術の使い手、それが目の前の横島 忠夫という男であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エンド