・第1話 ー異世界への渡航ー
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第8章
ー特別編その1・ダンまち編ー
第1話
ー異世界への渡航ー
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ダラーズ強化の一環として、ダラーズの技術系転生者達には莫大な資金援助が行われている。
さて、俺は今現在…その転生者達が研究を行う研究所にいた。
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○とある研究所○
「ーーー【異世界生成型転移人型】?」
俺は目の前の男に胡散臭そうな視線を向ける。
「ええ、我々は【iアバター】と呼称しておりますが、遺伝子データを元に、異世界で活動可能な肉体を作り出し、意識や魂といったものを飛ばす‼︎そういう発明ですぅ‼︎」
恍惚とした笑みで、白衣を着た狂人のような男…転生者が説明をする。
「だ、大丈夫なのか?これは?」
「一応、事前の人体jーーーごぉほん‼︎試験で緊急停止も可能であります」
「お前今人体実験て言おうとしたろ⁉︎」
「いえ、全然」
白衣の男が白々しく首を横に振る。
「で、俺に使えと?」
「ええ、データは多い方がいいですし、上役の方が一度体験した方がよろしいと思いまして」
「まあ…報酬も出るし、暇だしいいけどよ」
良くも悪くもオカルト業界が活発化したせいで、今は依頼数自体が少なくなっている。時間はあるのだ。
なお、ハヤテはVtuber?とやらをやってみたいと言っていた。今はその準備を母親と行なっている。何だろう?Vtuberって?
「ではこちらに」
「ああ」
俺はカプセルの中に入る。寝心地は悪くない。だが狭い。
「今から遺伝子データを読み取り、異世界での貴方の体を生成します。少々お待ちを」
「あ、ああ」
不安に感じながらも、作業は進む。
「こちらが異世界での貴方の体です」
「…ほぼ同じだな」
それは俺と瓜二つの姿であった。
「先に伝えておきますが、この体では転生特典は使用できませんが、因子として残ります。何かのきっかけや、理論的に使用可能になった場合に因子が覚醒し、貴方に力を与えるでしょう」
「言うなれば、0からスタートできるってことか?」
「ええ。まあ、格闘術や知識などのタイプの系統の特典は、そのまま使えるようですが」
「成程」
つまり、知識や技術に関わるものは問題無く使えるのだろう。
「それと、こちらの世界での1時間は、向こうの世界での1年となります。お試しで10年ほど行っていただきます」
「10時間か。夕飯には間に合わないな。ある意味予定通りだが」
カプセルのドアが閉まっていく。
「向こうで死んでも、こちらには何も被害はありませんのでご安心ください。
ーーーそれでは、良い異世界旅行を」
俺の意識は飛んだ。
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○とある都市○
そこはファンタジーの街並みであった。エルフやらドワーフやら獣人やら、冒険者やら商人がうろうろしている。
「さて、どうしたもんかな?」
所々から聞こえる【オラリオ】という単語。覚えがある。確か…そう、迷宮都市オラリオ。そしてその原作は。
「【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?】だったか?」
通称ダンまちと呼ばれるアニメの世界だと確信する。さらに言えば、この作品は熱狂的ファンだった転生者の手により、現代に流通している。そのためある程度は記憶もしっかりとしてる。
「無一文だし、どこかのファミリアに入って恩恵をもらって、さっさと金貯めるか」
俺は頭をかいて、オラリオの街を歩き始める。
「体がどこまで動くか…ま、技術者達の技量に期待だな」
ーーー俺は鍛治師系のファミリアである、【へファイスト・ファミリア】に加入した。何でだよッ⁉︎
ぶっちゃけ言おう。へファイスト・ファミリアは大変面倒見が良かった。鍛治師のかの字も知らない俺を、しっかりと眷属として指導してくれた。
まともな剣を打てるようになった時などは、それなりに感動した。
ーーーまあ、本業は鍛治師より冒険者だけどな。あくまでも、鍛治師は兼任だ。
日々ダンジョンに潜った後に、鉄を打つ。それが俺のルーティンと化した。
そして、気が付けば3年が経過し、俺はそれなりに有名になる速度でレベル3になり、<
「この時代って、原作よりもかなり前じゃね?」
まず、主人公の名前を全く聞かない。オラリオの代表的最強ファミリアが【ゼウス】と【ヘラ】である。
「うーん、これは【暗黒期】前」
暗黒期とは、ゼウスとヘラのファミリアが消えたことにより治安が悪化し、引き起こされてしまった闇派閥との戦争である。
つまるところ、オラリオで戦いが起きることは間違いがなかった。
「介入したいところだが…ちとまずいんだよなぁ」
下手に介入してしまった場合。もちろん原作が変わる可能性がある。原作が始まってからならまだしも、原作前だとどこまで変わるかが把握しきれない問題がある。
「それになぁ」
俺にも問題があった。それはとある武器…【精霊器】の製造技術にあった。特典の因子のおかげか、俺は装備品に精霊の力をこめることができたのだ。
魔剣などと違い、使用したら使えなくなるなどのデメリットの無い精霊器は、ブレイクスルーを起こしうるものであった。
「だけど、これを公開するわけにもいかんのよなぁ」
あくまで、今回の俺は部外者。この体の試験運用しているだけである。今回はそこまで原作を歪める気はない。
だが、この世界において、原作前は曇らせ要素というか…結構アレなことが多いのも事実。介入したいという気持ちもある。
「う、うぅん…」
原作前を歪めれば、原作が大きく変わってしまうかも知れない。しかし、原作前に介入しなければ、多くの悲劇が起きる。
「ーーーああもうめんどくせぇ‼︎思ったままに行動するのが一番だ‼︎」
俺は動くことにした。介入に。
「さて、思い出せるだけ思い出すとしよう」
全ては救えないが、救える限りは救う。俺は行動を開始した。
…まずは、レベル4だ。
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○ダンまちside○
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女神ヘファイストスにとって眷属である【ソウジ ヤガミ】は、少々不安な眷属であった。
何と言えばいいのか…地に足がついていない生き方をしている。ここで死んでもそれまでだという短絡的生き方である。
まるで、本来の自分は別にいるかのような。
「ーーーソウジ」
「はい」
ヘファイストスの呼びかけに、槌を振るっていたソウジが振り返る。鍛治台にはナイフがあった。
精霊器。精霊の力を宿すそれは、魔剣を超える逸品だ。いくら魔法を使ってもそうそう壊れないし、通常武器としても二級に分類されるような武器だ。もしも流通すれば、歴史の転換点となるかもしれない。
しかし、ソウジは隠匿を選んだ。精霊器は作るが、その存在すら隠匿した。知るのはそう、主神たるヘファイストスのみ。
「貴方にお願いがあるの」
「願い?」
それを今日。ヘファイストスは隠匿を破ろうとしていた。
「ゼウスとヘラのファミリアが、黒竜討伐を決めたわ」
「ッ⁉︎」
ソウジが目を見開く。
「超難関のクエストになるでしょう。私は出来うる限りの支援をすることにしたわ」
「…精霊器を提供せよと?」
「ええ」
ソウジが考え込んでいる。己の主神に失望しただろうか?
「条件があります。その条件に応えてくれるのであれば、最高傑作達を提供しましょう」
「条件?」
「ええ…少々お待ちを」
ソウジが紙にペンを走らせる。
「これをヘラ・ファミリアの【メーテリア】という眷属に渡してください。それとこれは試用品です」
「メーテリア?そんな眷属いたかしら?
まあ、いいわ」
「必ずメーテリア本人に渡してください。本人が許可するまでは、中身を誰も見ないようにお願いします」
「分かったわ」
紙とペン型の精霊器を受け取ったヘファイストスがその場を立ち去る。
「…あいつにも連絡しておくか。あの狂信者共にもな」
ソウジは再び鎚を振るった。
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○とある料亭○
「ーーーというわけなんだけど」
説明を終えたヘファイストスは、目の前の女神ヘラの目を見る。
「メーテリアを連れてこいというから何かと思えば…」
「<
ピリピリと警戒をにじませるヘラとその眷属であるメーテリアの姉【アルフィア】をよそに、メーテリアが手紙を開封する。しばらく読み進めると、メーテリアの顔が驚愕に染まる。
「な、何で…」
「メーテリア?」
アルフィアは心配そうにメーテリアの顔色を伺う。
「…そう、ね」
メーテリアは決意をする。否、覚悟というべきだろう。
「…提案を受け入れます。私がこの子のためにできる唯一のことだもの」
そう言って、メーテリアは己の腹を撫でる。否、腹の中の赤子を愛でる。その姿はまさに母の姿そのものであった。
「「…え?」」
「あら、おめでたなのね。おめでとう」
ヘラとアルフィアが絶句し、ヘファイストスが祝福する。
「なななな、め、めめめめメーテリアが妊娠だとぉおおお⁉︎」
「う、嘘だろ…」
ヘラとアルフィアの顔が絶望に染まる。
「あ、相手は誰だぁああ⁉︎」
「えっと、ゼウス・ファミリアの紅目の」
「あのクソボケカスかぁあああ‼︎」
「ーーー殺す」
「やめなさい‼︎」
ヘラとアルフィアが駆け出し、メーテリアの怒りの一声で渋々戻る。
「で、提案って何かしら?実は貴方の許可を受けてからじゃないと聞けなかったのよ」
「えっと…秘密です♪」
ーーーこの後、ヘラ・ファミリア及びゼウス・ファミリアは全滅。黒竜討伐は失敗した。
ーーーダンジョンから生きて帰還できたのは、僅かに
ーーーそして、内2人はまだ見ぬ英雄のために、オラリオの肥やしとなることを決意した。
ーーーそう、時代が変わろうとしていた。
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○ダンまちsideEND○
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