平成の転生者(改訂版)   作:初任者

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・第2話 ー因子ー

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第8章

ー特別編その1・ダンまち編ー

第2話

ー因子ー

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原作主人公である【ベル・クラネル】は個人的には好みの主人公だ。幸せになってもらいたいし、英雄の道を駆け抜けてもらいたい。

 

0からスタートの彼であるが、もしも下駄を履かせることができるならば?ゼウスとヘラの積み上げた物が少しでも受け継がせることができるのであれば?

 

ーーー奴の能力は、そういう能力であった。

 

 

*********

******

***

○教会○

 

 

「初めまして、となるな。<静寂>アルフィア及び<暴食>【ザルド】」

 

 

俺は目の前に立つ2人の冒険者…ヘラとゼウスの眷属へと語りかける。

 

 

「遅かったな<武器乱舞(ウエポンパーティー)>。死んだかと思ってしまったぞ?」

「ふん、さっさと済ませろ」

 

 

2人が軽く返事を返す。

 

 

「メーテリアから聞いているかと思うが、俺からお前達に求める物は2つだ。用意はいいか?」

「1つは"子に残す遺産"だったな…こんな物ぐらいしか用意できなかったが、どうだ?」

「ザルド、お前という奴は…どうせ死ぬのだから、全てを出しきれ」

「いや、俺だってそんなに余裕ある生活してないぞ」

 

 

少量の金とまあまあ逸品の武器等を差し出したザルドに、アルフィアが静かな怒気混じりの忠告をする。しかし、これがザルドの差し出せる全てらしい。

 

 

「私は一応冒険で集めたものやら全財産を隠しておいた。これが隠し場所だ」

 

 

アルフィアに紙を差し出される…が、俺の求めたのはこういう事ではないのだ。

 

 

「それはそれで遺産として渡しておくが、俺がお前達に求めたのはもっと違う遺産だ」

「何?」「何だと?」

「おい」

 

 

俺の背後からローブを纏った2人の男女が現れ、アルフィアとザルドの顔が驚愕に染まる。

 

 

「お前ら⁉︎」

「そういうことか…貴様らもそちら側ということだな?」

 

 

ローブを纏った女が声を上げる。

 

 

「にゃははは♪改めて自己紹介させてもらうにゃ〜♪ヘラ・ファミリア所属、レベル7の冒険者こと<呪術師>【ライニー・ラニーニャ】にゃ♪」

「貴様、そんなに喋れたのか?」

「にゃははは…あまり喋ると、おしゃべりだから情報が漏れる可能性があったにゃ。だから喋れなかったにゃ。ごめんにゃ〜」

 

 

男がローブを脱ぎ捨て、声を上げる。

 

 

「ゼウス・ファミリア所属、レベル7冒険者。<紙師>【ブルータス・コイネー】」

「ブルータス、お前もか」

「悪いな」

 

 

ライニーとブルータスが俺の前に出る。

 

 

「神にすら伝えなかった我が異能‼︎それはズバリ【因子継承】にゃ‼︎」

「因子継承…だと?」

 

 

アルフィアが怪訝そうな表情を浮かべる。まあ、当たり前の反応である。

 

 

「対象の因子を抽出し、その対象者に関係のある人間に因子を注入し、才能や能力や経験を継承させる特殊な異能にゃ♪」

「なっ⁉︎」

「なんちゅう能力だ…」

 

 

つまり、足の速いという才能を、対象者に近い関係の人間に継承させることのできる能力である。ある意味、長期的に考えればチートもいいところな能力である。

 

 

「すでに何人かの因子は受け取ってるにゃー♪あとは2人の因子を受け取って、子供に継承させるにゃー♪」

「ふん、好きにしろ」

「ああ、俺達に出来ることなんて、こんなもんだからな」

 

 

ライニーが2人の額に手を当て、そこから光の玉を取り出し、木箱に仕舞い込む。

 

 

「これで遺産の手続きは終わりにゃ。適切なタイミングで、子に継承させるにゃ。

あ、病気とかの因子は取り除いておくにゃ」

「あー、そういえばそうだったな」

「…」

 

 

アルフィアが機嫌の悪そうな表情を浮かべる。

 

 

「さて、次だな」

「"全力で戦え。過去の英雄の実力を見せつけろ。未来への糧となれ"だったな。言われるまでもない。それがある意味私達の目的そのものだからな」

 

 

アルフィアが不機嫌そうに答える。

 

 

「随分と不機嫌そうだな?」

「メーテリアから預かってた手紙を開けたら、未来を知っていたという内容だった時を考えろ。しかも、我々が悪に身を染めると決めた事を予知されていたのだぞ?」

「くくっ、それは仕方ねぇ」

「にゃははは♪」

 

 

ライニーとブルータスが俺の背後に下がる。

 

 

「さて、用事は済ませたな」

「ああ、さっさとオラリオから出るといい」

「なるべく、すぐにな」

 

 

ザルドとアルフィアがオラリオから出る事を促す。

 

 

「残念ながら、すぐには無理だ。俺達はゼウスとヘラの良心として、冒険者達に協力せねばならない」

「何?」

 

 

アルフィアが顔を顰める。

 

 

「当たり前だろ。全面的にゼウスとヘラのファミリアが闇派閥に与してたとしたら、その両派閥の系譜であるあの子はどうなる?下手すれば、暗殺者を派遣されかねんぞ」

「「ッ⁉︎」」

 

 

そう、せめてライニーとブルータスが冒険者側に与することにより、ゼウスとヘラのファミリアが完全に闇派閥であるとさせないために。2人は冒険者として残る必要があった。

 

 

「そして俺も、ヘファイストス・ファミリアの団員だ。そしてレベル3の冒険者でもある。今都市を出ることはできないさ」

「成程、つまり俺達の敵って訳だ」

「いや、俺達は理由取っ付けてお前達の相手はしない」

「アルフィア達の敵はもっと別にゃ♪」

「いいか?全力で戦えよ?」

 

 

俺たちはニヤリと笑い、その場を離れる。

 

 

「さあ、始めよう。

ーーー俺達のための英雄譚を」

「にゃはははは♪」

「グハハハ‼︎」

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

○ダンまちside○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

闇派閥が好き勝手に跋扈するオラリオ。しかし希望が無いわけでもなかった。

 

 

*********

******

***

○ギルド・会議室○

 

 

「ーーーそれは、魔剣かい?」

 

 

勇者(プレイバー)>【フィン・ディムナ】が、目の前の女神ヘファイストスに問いかける。

 

 

「いいえ。これは精霊の力を宿した精霊器。魔剣を超える魔剣とでも思ってくれればいいわ」

「魔剣を超える魔剣…まさか、それは」

「ええ、壊れない魔剣というべきもの。鍛治師が夢見た魔剣と同義よ」

 

 

それは短剣であった。だが、武器というよりは、祭儀用の儀礼剣であった。

 

 

「どのくらいの数が?」

「…作った職人はこれを世に出したがらなかったわ。唯一作ったのはゼウスとヘラ・ファミリアの黒龍討伐クエストの時のみ」

「ふむ…まあ、納得ではあるか」

 

 

九魔姫(ナイン・ヘル)>【リヴェリア・リヨス・アールブ】が頷く。

 

 

「で、僕らに情報を提示したってことは、精霊器を供給してもらえると考えて構わないかい?」

「ええ、いくつかの条件を飲んでくれるなら、無料での精霊器の提供及び増援を確約するそうよ」

「条件?それに増援?」

 

 

フィンが目を細める。

 

 

「これがその条件よ」

「…」

 

 

ヘファイストスがフィンに紙を手渡す。そこには条件がいくつか書かれている。

 

 

「…これは本当かい?」

「ええ、ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアから、2人が我々に協力してくれるそうよ。レベル7の<呪術師>と<紙師>がね」

「だけど、直接はアルフィアとザルドと戦ってくれない…と」

「ええ、直接戦うのは同じファミリアとして看過できないそうよ」

「まあ、そうだろうけど…状況を考えて欲しいね」

「レベル7に2人を敵に回す気?ある程度条件を飲んでも、受け入れるべきだと考えるわ。特に劣勢な私達にとってはね」

 

 

ヘファイストスが肩をすくめる。

 

 

「武器支援と増援の条件は、アルフィアとザルド以外のゼウスとヘラの構成員への闇派閥認定の不許可。アルフィアとザルドとの直接戦闘の拒否権。それとライニーとブルータスのオラリオ追放の撤回…これで本当に構わないかい?」

「ええ、それで構わないそうよ」

「…分かった。飲もう」

 

 

こうして、抗争が始まった。

 

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