第8章
ー特別編その1・ダンまち編ー
第4話
ー疾風怒涛ー
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○語りside○
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ベル・クラネル。ダンまちの主人公である彼を想う存在は多い。その中で因縁とポテンシャルを持ちながら、その性質が故に、その運命が故に、その過去が故に、ポンコツと揶揄されるヒロインがいる。
その名をーーー。
「<疾風>⁉︎」
乱入者の名前は<疾風>【リュー・リオン】。正義のファミリアに所属するはずの冒険者。
「<静寂>…いや、アルフィア。私が貴方をここでとめる」
リューが武器を構える。
「馬鹿な…何故貴様がこれほどの力を?そこまでのレベルではなかったはずだが?それにその髪色は…」
「私はこの時代の人間ではない。<紙師>とやらに未来から連れてこられた、この時代からすれば未来の私だ」
「なん、だと?」
あまりの説明に、アルフィアだけでなく周囲の冒険者達も絶句する。
「ーーーここで倒れろ<静寂>。お前にはそれがお似合いだ」
リューの猛攻が始まる。その猛攻を拾った剣でアルフィアが防御する。
「ぐっ⁉︎これが貴様の行き着いた先かッ⁉︎」
「そうだ。これが私の行き着いた先ーーー愛だ‼︎」
「何故ここで愛⁉︎」
アルフィアがリューの斬撃で吹き飛ばされる。
「(こいつ、ふざけた言動こそしているが、私に迫る強さ…ということは、私のこの行動も無駄ではないということか)」
「そして、ここに来ているのは私だけではない」
「ーーーッ⁉︎」
瞬間。一線が走る。
「貴様ッ⁉︎」
「どうだい?<静寂>。レベル7になった僕の一撃は?」
一撃を放ったのは<
「貴様も未来の…ッ‼︎」
「ああ、そうとも」
「ーーー我が名はアールブ。≪フィンブルヴェトル≫
更なる攻撃がアルフィアに襲いかかる。それは<
アルフィアはそれを無効化する。
「わ、私が2人…?」
「引導を渡しに来たぞ。アルフィア」
「<
未来の冒険者達とアルフィアが睨み合い、この時代の冒険者達がそれを呆然と見つめる。
「この力…なったのか。レベル7に」
「ああ、私とフィンもレベル7になった」
リヴェリアが淡々と答える。
「チッ、ここは一度退かせてもらおう」
「させると?」
フィンが武器を構えると同時に、未来の冒険者達もアルフィアに武器を構える。
「どうかにゃ?アルフィア。未来の英傑を集めてみたにゃ」
「ライニー…ッ‼︎貴様ぁ‼︎」
アルフィアはライニーを睨みつける。
「アルフィア。彼ら彼女らは【ベル・クラネル】を導いた英傑達にゃ。故に見せてみろにゃ。約束した通りにゃ」
「何だと?」
ライニーの言葉に、アルフィアが呆けた表情を向ける。そしてさらに睨みつける。
「何故ベルが…ベルが出てくる」
「…?<静寂>。何故貴方がベルのことを知っている?」
リューは不思議そうにアルフィアに問いかける。それもそのはずであり、この時代では未だ子供で、オラリオにも来ていないベル・クラネルを、普通ならばアルフィアが知っているはずが無いからである。
しかし、アルフィアはベル・クラネルの叔母に当たる存在である。その名を敵が気軽に呼んだのならば。
「貴様ッ‼︎あの子の名を気安く呼ぶなッ‼︎
ーーー≪
アルフィアの魔法が放たれるが、リューはそれを回避する。
「…成程、これが<呪術師>の言っていた、ベル・クラネルに関わる重要事項、ですか」
「その通りにゃ‼︎頑張るにゃ〜。殺さず捕えれば、諸君のベル・クラネルはさらに幸せな未来を手に入れられるにゃ」
リューは改めて武器を構える。
「…いいだろう。ならば教えてやろう。英雄の作法を‼︎」
アルフィアと未来の冒険者達がぶつかる。
ーーーその頃。ザルドも別の敵と戦っていた。
「くっ」
「この程度か?ザルド」
ザルドに立ち塞がるのは、未来でオラリオ最強と呼ばれる冒険者<猛者>【オッタル】。しかも執事服姿であった。
「坊主がよくもまあ強くなったじゃねぇか。妙な格好は置いておくとしてだがな」
「ーーーそれは彼もまた、未来においてベル・クラネルを導き、ベル・クラネルに導かれた者故に」
ザルドが声のした方を見ると、そこにいたのはブルータスであった。
「ベル・クラネルか。あの時の言葉が現実になってしまうとはな」
「…?何故あいつのことを知っている?」
「戦場に関係ないことさ」
ザルドが改めて剣を構える。
「見せてやらねぇとな‼︎古き英雄達の力を‼︎立ち塞がってやらねぇとな‼︎俺たち古き英雄が‼︎」
「フレイヤ様の御命令だ。ここで倒れろザルド。お前にはそれがお似合いだ」
「はっはっは‼︎愉快な姿で愉快なことを言うな‼︎坊主‼︎」
ザルドとオッタルがぶつかる中。本陣にいるフィンは優勢に傾きつつある戦況に、安堵の息を吐いていた。
「未来の僕らによって戦線の立て直しは成った」
「…」
戦略を考え続けるフィンに、ソウジが内心でため息を吐き出す。
「(だーめだこりゃ。完全に未来の冒険者達に頼り切ってやがる。自分の時代は自分で守る気概がねぇ)」
フィンは強敵相手に未来の冒険者達を配した。それはつまり、強敵は未来の冒険者に託したということだ。
「(赤点だぜ<
戦略だけを見るなら悪くない戦法だし、そもそも未来ならば過去に戦った相手も知っている。対応はしやすい。しかし、ソウジには気に入らなかった。
ーーーこの時代を守るならば、この時代の人間が1番頑張らないとならないだろう。それがソウジの考えであった。
「(一先ずこの騒動がひと段落したら、元の世界に帰るか。んで飯でも)」
「<静寂>と<暴食>が撤退した?」
「ん?」
ソウジが気になる話を耳にしたため振り返ると、既にフィンが考え込んでいた。
「未来の僕らは?」
「それが、闇派閥の奴らに妨害されて…」
「そうか…逃がした魚は大きいね」
フィンはさらに考え込む。
「(面倒になってきたな。この世界でも元の世界の力を出せれば、さっさと解決できるんだがなぁ)」
完全にやる気を失ったソウジは、もはや介入する気を失いつつあった。さっさと終わらせたいとすら考えていた。
「(しかも、俺だけ居残りだし。せめて主人公の活躍でも見ようと思ったら、雑魚共が邪魔して、主人公が主戦場にいけないし)」
ソウジは立ち上がりその場を立ち去ろうとする。
「どこに行くんだい?」
「鍛治師の行くところなんて、鍛冶場に決まってるだろう?」
「まだ戦いのすぐ後だ。気をつけて向かってくれ」
「了解」
ソウジはその場を離れ、戦場の傷跡が残る街へ向かった。
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*********
○とある戦場○
アルフィア達を撤退に追い込んだ未来のリューは、かつて失った仲間達と合流していた。
「リオン⁉︎貴方どうしたの⁉︎」
「…」
髪を染め、雰囲気も少々変わってしまったリューに、仲間達は驚いていた。しかし、リューはそれに答えられなかった。
「申し訳ないにゃー。未来の冒険者達には過去にあまり影響を与えすぎないように、未来のことを話さないようお願いしてるにゃー」
「成程…」
ライニーが答えられない理由を答える。
「ところで、リュー。そろそろ愛しの<
「なっ⁉︎」
リュー・リオンの顔が真っ赤に染まる。その様子をライニーがニタニタと見ている。
「ふふっ、私は知ってるにゃーよ?ダンジョンの中で起きたあれやこれやとかにゃ」
「なっ…なっ…」
リューは顔を真っ赤に染めたまま、口をぱくぱくとさせている。その光景を見たライニーがさらにニタニタと笑う。そしてなんとなく察した【アストレア・ファミリア】の仲間達がニタニタと笑いながら、リューをいじり始める。
「何々?リオンにも春が来たのかしら?」
「ほう、ポンコツエルフになぁ…」
「「ポンコツではない‼︎」」
過去と未来のリューは叫んだ。
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○語りsideEND○
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