・第一話 ー最悪なる夜の幕開けー
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2章
ーバイオハザードー
第1話
ー最悪なる夜の幕開けー
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
トラブルや厄介ごとというものは、連続して起きるという性質でもあるのだろうか?
まあ、不幸中の幸いなのは、今回は家族の居場所がわかるという事だろうか?
*********
******
***
○アメリカ○
○ラクーンシティ○
○ホテル:ロアナプラ○
初っ端だが、最初の報告はわかりやすく簡潔にというから、この際はっきり言わせてもらおう。
ーーー地上はゾンビパニックで阿鼻叫喚の地獄と化している。
死者が徘徊し、生者に群がり、生者が死者に殺され、新たな歩く死者となる。まさに負のサイクルである。
「(てか、100%【バイオハザード】の世界デスよねー‼︎)」
母親と妹のはやてと共にホテルの部屋の中にいる俺は、リュックを背負ったまま頭を抱えていた。
「(た、確かラストは生存者ごと核爆弾で焼却だったな…うん、どう考えてもここにいるのは最悪だ)」
つまりである。俺は母親とはやてを1人で脱出させなければいけないということだ。なお、父親は別の仕事でここから数時間ほど離れた街にいる。
「(クソッタレめ‼︎ こんなことならフットボールの試合なんて見に来るんじゃなかったぜ‼︎)」
そう、母親の提案でラクーンシティで行われるフットボールの試合を観戦しに、仕事で遅くなる父親を置いて先に3人でラクーンシティに入ったのだ。で、結果はこれである。
「(デビルサバイバー2 から2ヶ月でこんなことになるとは…呪われてんのか?)」
とはいえ、現状はデビルサバイバー2 よりも断然マシな部類に入る。何せこの街さえ逃げ出せば問題ないのだ。
「(ここを突破して逃げ切れば一先ずは大丈夫なはず…映画版だったらまだしもゲームバージョンであればまだ可能性があるはず)」
さらに言えば新しい【バイオハザードRE3】ならば逃げやすいはずだ。ならばやることは一つ。
「母親」
「ママって言いなさいっていつも言ってるでしょ?で、どうしたの?」
「この街は後少しで核の炎で燃やされる。早く逃げた方がいい」
「え?」
俺はケータイを構える。それは戦闘態勢への移行を意味する。
「一気に突破する。ゾンビを掃討せよ"デカラビア"」
黒い光が集まり、見慣れた星型の体を持つ悪魔へとなる。
「よ、妖魔⁉︎」
「はふっ」
母親がはやてを守ろうと抱きしめる。
「行け」
デカラビアが壁を突き破り、ゾンビが溢れている廊下へと躍り出る。
ーーー≪マハラギ≫。
魔法スキルによって生み出された炎が、ゾンビ達を焼却していく。通常の炎よりも高温の炎は、歩く死者達を焼死体へと変えていく。
「母親、詳しくは後で説明するから、早く逃げよう」
「…ママって呼びなさいって言ってるでしょ」
母親が俺の頭を撫でる。
「で、どうする気?」
「この街は封鎖されている。飛んで逃げてもいいけど、封鎖している連中を刺激したくないから、ギリギリで飛びたいのが本音」
「なら地上を移動するのね?」
「うん、ギリギリまで行って一気に突破する」
俺と母親が頷きあう。
「さあ、行こう」
「ーーーちょっち待ってな、にーに」
外に出ようとした俺達をはやてが呼び止める。
「どうかしたか?」
「これなら私の"能力"使えるで」
そう言って、はやては死体の一体に右手を添える。
「私の特典は【ウイルスの開発】。つまりバイオハザードは私の独壇場やで‼︎」
はやての右手が光り輝き始める。
「≪ウイルス採取≫」
黒い何かが死体からはやての右手に吸収されていく。
「…解析には十分やけど、ワクチンを作るには足らんなぁ」
はやてがため息を吐き出す。
ーーーしかし、こいつ今なんて言った?
「はやて、お前まさか…いや、お前もなのか?」
「そうやで、にーに。まあ、にーにの方が先輩やけどな」
はやてがいつも通りの笑みを浮かべ、俺たちへとその事実を告げる。
「転生者No.05、転生者はやてちゃんやで‼︎ 能力は"ウイルス開発"やで‼︎」
俺以外の転生者との、初めての邂逅であった。
*********
○ラクーンシティ○
○路地裏の道○
「ーーーしかし、まさかはやてまで転生者だとはな」
俺は息を潜めつつも、はやてに小声で語りかける。
「私は前から気が付いてたけどなぁ」
はやてが死体に右手を添え、手を輝かせる。なお、この行為は死体からウイルスを吸収するための行動らしい。
はやてに与えられた特典は"ウイルス開発"。簡単に言えばウイルスを吸収するのことでウイルスを開発したり、ウイルスを変異させたり、さらにはそのウイルスのワクチンまで作れるという…うん、間違いなく対バイオハザード用能力であろう。
「はやて、ワクチンはあとどのくらいで出来るの?」
母親がはやてに問いかける。既にはやてはいくつもの死体からウイルスを回収している。
はやての能力の性質上、ウイルスの開発や変異にワクチンの開発には、ウイルスそのものが必要らしい。そのためにはやてはそのウイルスを俺が倒した死者から採取していたのだ。
「うーん、このままだと日が暮れてまうで」
「ワクチンがあればと思ったが…こりゃあ逃げることに集中した方がよさそうだ」
とはいえである。
「これを突破するのは流石に骨だな」
裏路地だからまだ気付かれていないが、表通りは死者が大群で行進している。あれを突破するのはかなり難しい上に、戦ってる音で他の個体も多く集まってしまう。
「なら、路地裏を通って、街の外へ向かうしかないわね」
母親がちらりと道の先を見る。数体のゾンビは視認できるが、表通りより1000倍はマシである。
「了解、パズス」
ゾンビの頭を右手で握りつぶしていたパズスが、路地裏のゾンビ達に襲いかかる。戦闘の音をあまり発生させないために鋭い爪で切り裂いていく。
「デカラビア、背後を守れ」
デカラビアが背後で備える。
「さて、さっさと逃げますか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
エンド
ーーーーーーーーーーーーーーーーー