連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
あれから、アスクレピオスは淡々と道を進んでいった。そして、初めて着いた。毎日会っている者の個室に。
「......アスクレピオスだ。入っていいか?」
彼は周りを確認し、軽くドアをノックした。しかし、返事はない。
「入るぞ。さっさと話をしないと前に進めなくなるからな」
問答無用に押し入るアスクレピオス。ブーディカの時は勝手が違う。
「......景虎、いるんだろ?」
周囲には、トレーニングルーム以上に散らかった酒類。更に、武具もぞんざいに投げ置かれている。
「景虎? お前の個室を訪問したのはこれが初めてだ。だが、ここまでガサツではないだろ? 普段は」
ベッドの上にうつ伏せに寝ている景虎。眠っている訳ではないようだが、動く気配もない。
「......お前が僕に何を想って言うかは、正直今でも分からない」
そっとベットの隅に座る医者。面倒な駆け引きが始まる。
「だが、カルデアでここまで騒がれてしまっては周りの面子に色々と迷惑がかかる。軽くでいいから今後の行動を自重して貰いたい。とりあえず、暫くはトレーニングルームの副監督官としての責務を全うしてくれ。医務室に来るのも控えろ。騒ぎに関しては暫くすれば収まる。だから、たまには一人静かに過ごして欲しい」
目線を合わせることが出来ないし、彼自身も合わせるつもりもない。それを堂々と話せる覚悟自体、彼は持ち合わせるだけの余裕がないからだ。
「伝えるべき事は全部話した。これから、マスターなどに話を色々つけて来る。まあ、暫くこのままいればいい。今はまだ、お前自身が何をしようと僕はすぐに対応する訳にはいかないからな」
スッと立ち上がるアスクレピオス。長居をする気はない。
「佐々木小次郎に指示をちゃんと仰げよ。それがお前の立場と仕事なんだからな」
仕事はこれにて完了。外に出ようとステルスマントに再び手をかけたその時だった。
「ま、待ってください医師殿!」
熱湯風呂に投げつけられたカエルのような勢いで起き上がる景虎。髪は軽いボサボサで、気品とははた違った野生感のある美しさを放っている。
「私の不注意で事態が
いつになく焦燥感と哀愁が漂う景虎。アスクレピオスの手を強く掴んだ。
「わ、私は。貴殿と特別な関係になりたいと心から望んでいます。ただ、速攻で拒まれることが何よりも怖かったのです。だから、本来はあの本に挟んで間接的に伝えようと試みたのです。それが、ここまで発展してしまうとは思ってもみなかったのです」
その瞳は、いつになく弱弱しい乙女そのものである。アスクレピオスは若干罪悪感を覚え始めた。
「貴方の為なら何だってします。だから、私を見捨てないでください。貴方との時間がなくなってしまうのが怖くて仕方ないのです。一時的な謹慎処分等もお受けいたします。ですので、せめて今までと同じ関係を心よりお願いいたします」
「か、景虎?」
アスクレピオスにとって彼女の言動一つ一つに違和感しかなかった。
「出来れば、本当に貴殿とは婚姻の儀を取りたいのですよ。貴殿は私にとって唯一無二の男性なのですから」
(大和撫子という言葉をこいつに使う事になるとはな)
重荷自体はなくなったはずなのに、部屋を出たアスクレピオスの足取りは余計に重くなっていた。メンタルカウンセリングの本を読み漁ったとしても治療の仕方は見つけられないだろう。
ゴールデンウイーク、頑張りたいですねえ。
あー、オリジナルの奴も完結させたいですし他の作品の二次創作も描きたいですし。
時間があっても足りませえん。
追記 作品評価を三名の方に頂きました。ありがとうございます。
里見レイ
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