連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「ま、待ってくれマスター。僕は、結婚しなければならないのか? っというか、あまりにも話が急だから何をどうすれば良いのか理解すら出来ないのだが」
マスターの顔はあくまでも本気の様子。ただ、傍から見れば無茶苦茶ではある。
「......アスクレピオス。一つ考えてみて」
手元にある謎めいた通信機のボタンを数個押した後、マスターが解説を始める。
「俺は、サーヴァントのあらゆる事情を聴いている。そして、その中にとあるデータがあってね」
空中にディスプレイを発動させるマスター。そこには、サーヴァント達の顔写真と複雑に絡まった矢印があった。矢印の主だった内容は、「友人」と「家族」だった。
「アスクレピオス。君は、ここだ」
軽くスクロールをして、アスクレピオスの部分を拡大。そこには、何の矢印もない彼の画像があった。
「......よく、見ているようだな。船長辺りから聞いたか?」
これには、アスクレピオスも思わず苦笑い。イアソンを始めとするアルゴノーツの面々は「仕事仲間」や「生前の仲間」であり、他の面々も基本は「職場の同僚」であった。つまり
「僕は、孤独だと言いたいのかい?」
これが、以前読んだ「親に結婚を迫られた息子」なのだろうと実感している神話時代の医者。
「まあ、それが一つ。あとは、こっから先は極秘内容なんだけどね。君の周りのように微妙にゴチャゴチャした人間関係を持っている人もいるんでね」
若干のあきれ顔をするマスター。ここで、格好つけたように指パッチンをする。
「はい、先輩」
「アスクレピオスさん。こちら、口外無用でお願い致します。私や先輩、イアソンさん達が噂などを調べつつ推測した人間関係図です。アスクレピオスさんに向かってブーティカさん、景虎さんから矢印が向かっているのが見て取れると思います。お二人には前々から御好意を寄せられていたのですよ」
比較的このシールダーと話すことが多い医者だが、平時より彼女のトーンが低いように感じた。
「他にも、本人さんたちも知られている自覚はないでしょうが〇〇さんは大分前から▽▽さんに惚れていらっしゃったりします。こちらの方々に至ってはずっと両想いなのにずっと他人行儀です! 全く、見ているだけでストレス値が上がってしまいますよ!!」
マシュ、明らかにイライラしている。そういえば、彼女は図書館の恋愛小説を様々なサーヴァントに薦めていた。これは、各人物に自身の恋愛観を磨いて欲しかったのだろうか。
「で、こいつらも恋愛を自覚、行動できるように僕が真っ先に結婚をしろと?」
「はい。アスクレピオスさんなら良い夫になる事は確かですし、カルデアでの信頼も厚いです。しかも、お相手候補のお二人も十分にカルデアで貢献されている方です。誰もが納得する理想的な夫婦として、今後のカルデアでの恋愛事情においてアドバイザーになってくださるという趣旨です」
マシュの純粋な目がアスクレピオスに刺さる。無駄に熱い信用というものは困りものだ。
「アスクレピオス」
マシュの説明の後、落ち着いた声でマスターが声をかけた。
「もし君に任せっきりだった場合はいつまで経っても進展がないと思ったんだ。それは、彼女たちにも君にも良くない。だから、こうしてお節介を焼かせてもらったんだ。ごめん」
「......一か月か。まあいいだろう」
マスターをちらっと見た後、肩をすくめるアスクレピオス。
「この一か月以内に妻を決めろという話。絶対にばらさないでくれ。彼女たちにこれ以上噂で負担をかけたくないからね。それじゃ、今日は少し休ませて貰うよ」
二人からの返事は、待たなかった。これも、ある意味一種の信頼である。
マスターの部屋からするりと出るアスクレピオス。突如として疲れが溢れ出し、既に何も話す気にも慣れていなかった。
「お疲れ、アスクレピオス。そして、ちゃんと選んであげてね」
そして、マスターは静かに彼を見送った。手元にメモ帳を出し、「第二段階〇」と記して。
マシュって、個人的には完璧にかなり近い秘書だと思っています。そして、物事を客観的に捉え様々な情報を入手出来る作品の有能友人キャラor記者さんキャラだと捉えております。いつか彼女を中心とした話を描きたいですが、だいぶ先になりそうです。
感想諸々、お待ちしております。
里見レイ
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