連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病   作:里見レイ

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 アップロードは基本的に他の鷹の作品と被らないよう手動です。時間が安定しない上に面倒です。


景虎、最後の逆襲

 アスクレピオスがネロを振り切りマスターの部屋へ向かう途中、再び彼を呼び止める者がいた。この声は、アスクレピオスはかなりの回数聞いたことがある。

 

「......」

 

 その者は、フードを被っていた。その風貌は、恐らくキャスターだろう。そして、無言で一枚のメモを渡す。ここには、長尾景虎に纏わる大きめの事象が書かれていた。

 

「......ど、どういうことだ?」

 

 すぐさま目的地をマスターの部屋から変更するアスクレピオス。そして、フードの男はいつの間にやら消えていた。一陣の風を残して。

 

 

 

「おう、ブーディカさん。早い復帰ですねえ。いつもの頼んでいいかい?」

 

「おはよう、ロビンフット。はいはい、いつものフレンチトーストだね」

 

 一方のこちら。食堂にて、ブーディカにお気に入りのメニューを頼む青年。アーチャー、ロビンフット。キャメロットの頃は高レアのアーチャーが一人しかいなかったこともあり、「頼みの綱の弓兵組」とダビデ・エウリュアレと共に呼ばれていた。現在は変則周回の高火力アタッカーが主な役目である。

 

「いやあ、やっぱ朝はこれだな。エミヤのサンドイッチも良かったが、長年食べている訳だからな。朝の起き抜けは嫁さんの味とはよく言うもんですねえ」

 

「おい、ナチュラルに口説くな。これだからサンソンの処刑人さんに『軽い男』と言われんだぞ」

 

 横から顔を出すクー・フーリン。普段の言動と現在の格好(第二再臨)のせいで全く信用できない。

 

「おやおや、この前のバレンタインでも難破しまくっていたランサーさんじゃあないですか? あんたがこの期に及んで恋愛講座っていうのも何か合いませんねえ」

 

「いーや。俺はただお手紙を料理長様にお届けしただけだぜ。差出人は自分の目で確かめてくれ」

 

 ひょいと手紙を投げたクー・フーリン、ロビンフットのフレンチトーストを一片(ひとかけら)摘まんで食堂を去っていった。

 

「全く、あのランサーの自由具合にも困ったモノですねえ。で、そのお手紙さんは誰からでした?」

 

 牛乳を飲んでからお喋りを続けるロビンフット。

 

「......ごめん、少し行かなきゃいけない所が出来たから。皿は流しに置いといて」

 

 首を下に向けて歩き出したブーディカ。一種の呪いにかかったのかのような変貌ぶりだ。

 

「あーあ、遂に痺れを切らしたか。ま、あの皇帝様の事だ。色々あくどい事やってんだろうな」

 

 肩をすくめるロビンフット。彼は、正直な話今回の騒動について半分も知らない。しかし、彼にとっては縁の深いメンバーが肩入れしているので断片的な情報は持っている。そして、景虎陣営の主戦力は容赦なくブーディカを潰しにかかるのだろう。その根幹は、紛れもない景虎への善意だというのに。

 

 

「どうしたの? いきなり呼び出しした上にこんな所に連れて来るなんて」

 

 ここは、トレーニングルームの端っこ。この部屋を知り尽くしている人しか立ち寄らないような場所だ。ブーディカはトレーニングルームの入り口で彼女に呼び出され、このままここに案内された。

 

「いえ、どうという事はないです。ただ、一度ご報告しなければならない事象がありまして」

 

 案内したのは、他でもなく長尾景虎である。見た所、酒は既に抜けているようだ。

 

「貴方方の事、マスターからネロ殿を経由して知りました。医師殿と結婚するそうですね」

 

 景虎の右手には既に槍が握られている。完全に武装体制だ。

 

「ええ。二人で仲良く支え合うつもりよ」

 

「その件について一度謝罪しなければなりません」

 

 槍をブンブンと振る景虎。そして、ブーディカの首元に槍を軽く当てる。

 

「まず、挑発的な文でお呼びして申し訳ありません。あそこに書いているのは全て噓です」

 

「......じゃあ、君が彼と既に駆け落ちの約束をしているのは嘘なのね?」

 

 ブーディカは先ほどまで血の気の引いた顔をしていた。しかし、これを聞いて若干顔色が良くなる。

 

「ええ。今の所はですが」

 

 槍をフワッと地面に置き、顔を勢いよく近づけて来る景虎。軍神の名に恥じないオーラだ。

 

「公的には、まだ貴方方の結婚は発表されておりません。今からでも事実は覆せます。私と彼の結婚に賛同している者が彼を説得しに行っています。多少の揺さぶりにはなるでしょう。そして、今度は私が改めて求婚して参ります」

 

「......本題は、そこじゃないでしょう?」

 

 ブーディカも一流の戦士にして王族。景虎の殺気に動じず話を進めた。

 

「本題、というかお願いですね。私が改めて彼に求婚する様を見届けて欲しいのです。私が、人に後ろ指刺されて彼を奪ったという邪推が起きないように」

 

 景虎、一世一代の大勝負。泣いても喚いてもどうしようもない。今度こそ、正面から彼に振り向いて貰おうとしているのだ。




ふう。そろそろ。アスクレピオス主人公のシリーズが終わりそうで自分自身驚きかけています。

まあ、まだ続けはしますけど。盛り上がりに欠けるので。

里見レイ

次にアスクレピオスが診る 恋の患者は(アドバイザーとして関わります)

  • ネロ・クラウディウス
  • ナーサリー・ライム
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