連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「ったく、お前はつくづく要領が悪く人間関係が下手糞だな」
アスクレピオスとブーディカが立ち去ってからすぐ、物陰から姿を現したのはイアソンだ。恐らく、彼はカルデア内のあらゆる設備や人脈を駆使して彼らの言動のほぼ全てを把握しているのだろう。
「......私には、これしか出来なかっただけです。他に誰かと仲良くなる方法も知らないですし。私がここに来てからというもの、医師殿にしか甘えなかったし医師殿しか愛せなかったのですよ」
悲しげな声でイアソンに返す景虎。俯いているので、表情は読めない。
「貴方が彼と結ばれる可能性は少なからずあったと思いますよ。しかし、戦う条件が平等だったのです。それが敗因だったのでしょう」
イアソンの後ろからメディア・リリィも出て来る。イアソンの右腕をガッチリと掴みながら。
「......メディア・リリィ殿、貴殿と私の何が違ったのでしょう? 私も貴殿も愛した殿方を愛せるだけ愛したというのに。何故貴殿は、今愛しの船長殿と一緒に入れるのですか?」
「......イアソン様と一時的とはいえ祝言を挙げたからですかね。事実は大事ですよ」
メディア・リリィは、少し言葉を継ぐんだ後にこう言った。彼女の傷口に塩を塗る単語を控えているのだろう。
「メディア。俺たちの時代、というか立場の都合で結婚をしたからな。もし俺たちが
イアソンの淡々とした付け足し。その顔には、若干の罪悪感が見える。
「......女神の運命については、もしもを考えたくありません。イアソン様に出会わなかった私なんて、座に刻まれることも無かったでしょう。そして、神話に名前すら載らなかったと思います」
首をゆったりと彼に傾けるメディア・リリィ。彼女の愛は景虎以上に重い。
「貴方が居なければ私はここに居ません。そして、私が居なければ今のイアソン様は居ない。そう自負出来るレベルにまで私はイアソン様を愛し、尽くしてきました。それだけの時間があったし、他の相手もいなかった。貴方を愛してくれるお方が現れると思いますよ」
優しげな眼で景虎に言葉を贈るメディア・リリィ。己の境遇をひけらかす事はなく、尚且つ無駄に慰める事もしない。これが、「恵まれた者」の出来る最大限の労いなのだろう。
「そう、ですね。いつか、私の孤独は消えるでしょうね」
俯く景虎。本人には、そうなる未来が見えないのだ。
「じゃあ、とりあえず今から食堂に行くぞ」
ここに来て、手招きをしだすイアソン。そのままメディア・リリィをくっつけたまま歩き出した。
「......」
景虎は、無言で追う事にした。彼の知恵は頼って損はない、それが彼女が発動した久しぶりの戦場的直観だ。
さてさて。次はブーディカと医師殿の視点ですね。
......意外とあっさり終わりそうで驚いてます。
では、感想お待ちしております。
里見レイ
追記
十点評価を頂きました! 嬉しい限りです! 大感謝!!!
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