連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
カルデアの廊下は、いつも通り質素て清潔感がある。しかし、彼女と一緒に歩く廊下は一味か二味も変わって見えた。
「......マスターは、何と言ってくれるだろうか?」
「普通のトーンでおめでとう、とかじゃない? ここに来て大騒ぎっていうのもあの子らしくないわ」
「それもそうか。まあ、彼はこれから更に色々うちの人間関係にメスを入れるようだからな。僕たちの話で『ようやくスタート出来た』って内心ではほくそ笑んでいるかもな」
「マシュの方がその辺は熱心かもね。私に対して、軽ーくだけど食事の時にその辺の愚痴を言ってたわよ」
淡々と続く二人の会話。傍から見れば今までとまるで違いがない。そして、そうこう会話している間にマスターの部屋の前に到着した。
「さてと。僕がノックする」
「おっけ」
軽く二人で確認した。そのままドアを叩くアスクレピオス。
「マスター」
「うん、入って」
間髪入れずに部屋の中から返事があった。
ドアを開け、二人は静かに部屋へ入った。
「アスクレピオス。確認だけど、君たちはこれから結婚してこのカルデアで式を挙げるで良いんだよね?」
ティーカップに入っている紅茶をゆっくりと飲み、マスターは最終確認を行った。
「ああ」
「うん」
二人は一言で返した。傍から見れば、ただ単にお弁当を温めるかどうかの質問に答えているレベルだ。
「オッケー。じゃあ、式の段取り決めようか」
ここで、マスターお得意の指パッチン発動。先程まで二人がいた廊下からマシュが現れる。
「これより、お二人の結婚式の時の各方々の役割分担についてお話いたします。まず、司会は私が行います。そして、衣装装飾に関しましてはダヴィンチちゃんのアパレル具現化技術をもってウエディングドレスとスーツをお作り致します。後は、仲人と披露宴の挨拶についてですね」
披露宴の台本、と書かれた分厚い本を抱えて机の上に置く。彼女の眼鏡の光り具合から気合の入れ具合を伺う事が出来る。
「挨拶の人に関しては、私から茨木童子を推薦するわ。この前あの子の方から立候補してくれたのよ」
「仲人に関しては、船長とメディアを推薦する。何やかんや縁のある夫婦だし、たまにはあいつにも仕事をさせてやりたいからな」
二人とも、それぞれの考える人選がある。それをいつものように淡々と言う。
「あと、料理は一段と豪華にする予定です。エミヤさんに頑張って頂こうと思います。後は、式での席順に関してはお二人でゆっくりと決めて頂きたいと思います」
このカルデアに属する全てのサーヴァントの名簿を渡すマシュ。そして、会場の見取り図も付随してある。
「分かった。いつまでに決めれば良いか?」
「まあ、明日か明後日くらいで宜しく。暫くこのカルデアは君たちの結婚に人員を割くから、早めにお願いしたいね。あとは、医務室の隣の部屋を二人の同居部屋に変更したいんだけど。荷物まとめといてね」
ここでニカっと笑うマスター。裏がありそうだ。
「ブーティカ、君は医務室の隣の空き部屋まで距離があるだろ。手伝う」
「ありがとう。荷物はそこまで多くないからすぐ終わると思うよ」
そう話しながら、二人はマスターの部屋を後にした。
ドアが閉まる。
「なあ、ブーディカ」
部屋を出て歩き始めて数歩、アスクレピオスが改めて話し始めた。
「分かり切っているし今更だけど、僕は君の事を愛しているよ。多分、いつのまにやらって感じで」
ちょっと頬を赤らめるアスクレピオス。それを見て、ブーディカはクスっと笑う。
「ありがとう。私も大好きだから」
そう返すブーディカ。
「少し失礼」
そしてそのまま、彼の横顔に唇を付けた。
「たまには、いいよね」
そう言って小悪魔のように微笑むブーディカ。
(......僕が愛した女は、本当に楽しくて可愛いもんだ)
照れを隠すことなく無言でほほ笑むアスクレピオス。ブーディカがこんな小悪魔のような顔をするのは彼の前くらいなのだろう。
さて、そろそろひと段落ですね。今後はアンケートを取りながら登場キャラを決めていきたいなあと考えたりなんなり。
ではまた。
里見レイ
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