連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
ブーディカが部屋に帰って来てから、二人は無言だった。彼女は見るからに疲れていそうだった訳だし、アスクレピオスもそこまでして話す必要性もなかったからだ。
そのまま、カルデア全体での喧噪も徐々に静かになっていくのが部屋の中からでも分かった。その後、彼のパソコンにマスターからメールが送られてくる。
「......式場及び装飾の準備が終わったそうだ。明日は着替えとかがあるから朝8時に集合とさ」
「分かった。いつもの準備と比べれば随分遅いね」
「ブーディカがいつも早起きなんだよ。僕と同じ時刻に寝て朝四時に起きるってさ。お前、もう少し寝たらどうだ? 日中も仕込みとか食料管理とかであまり寝ていないだろ?」
「サーヴァント自体、睡眠は必要ないからさ。それに、私は非戦闘員。料理に力を注いでいれば問題ないから、結構大丈夫なんだよね」
椅子に寄りかかってアスクレピオスに答えるブーディカ。まだ気力は回復しきっていない様子。
「そうか。けど、精神的な負担も考えてエミヤに朝の当番を増やしてもらえ。事務的な作業を含めれば、多少朝晩を変わって貰っても料理長の威厳は保てるぞ」
アスクレピオスはまだパソコンを叩いている。互いに目線は合わさっていないが、表情は読める。
「今度、相談するのもありかもね。あと、もう一人くらい料理人を増やしてもいいかもね。候補は何人か目星はつけているけど、今後は積極的に関わりを持って考えていきたいね」
「僕との時間も増えるけど、それと同じだけ他のメンバーとも関わりを持っていきたいわ。勿論、君に所縁のある船の面々とかさ」
「胸を張って紹介できる連中でもないぞ。まあ、悪い奴らじゃないのは確かだけど」
今後の展望について語る二人。両者共に、景虎ほど孤独では無かったという事なのだろう。
「とりあえず、もう寝るぞ。明日はお前と万全な状態で舞台に立ちたい。例え睡眠が必要ないとしても、取っておくに越したことはないのだろうからな」
パソコンを閉じたアスクレピオス。これといって予定はないので、もう寝るだけなのだ。
「......そうね。もう寝ましょうか。一応、明日は晴れ舞台な訳だから。おやすみ」
椅子からベッドへと移動するブーディカ。のっそりと動く彼女は珍しい。
「おやすみ」
こうして、彼は電気を消した。普段なら、このまま眠りについている。しかし。
「アスクレピオス。今日は一緒に寝ていい?」
枕を持ってブーディカがやってきた。
「どうした? いつもより多く寝る事に慣れなくて寝れないのか?」
「うん。それもあるけど......」
暗がりでも、彼女の愛おしげな表情は分かる。顔を彼へと近づけてこう言った。
「貴方とただ一緒に居たい。明日の幸せの為に今夜も幸せを噛みしめたい。ただそれだけなの」
切なそうなブーディカの声。アスクレピオスは今日の彼女の様子を見て何かを考えた。
「いいぞ。今日は色々やってくれた訳だしな。それに、僕も君と一緒に寝るのは歓迎だからな」
彼はベッドの上で少し横にずれる。彼もまた、彼女が恋しいのだろう。
「ありがとう」
ブーディカはすっと彼の横に寝る。
「明日、精一杯いい式にしようね。愛してるよ」
それを最後に、彼女から規則正しい吐息が聞こえてきた。
「全く、返事くらいさせて貰いたかったな。僕も愛してるってことくらい」
聞こえるかどうか分からない音量の言葉を投げ、アスクレピオスは目を閉じた。
さあ、明日は結婚式だ。
やっと出来ました。次の話は、投票がトップタイの二人の物語ですかね? ダブルヒロインって感じですかね?
あ、アンケートまだやってます。
里見レイ
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