連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「いやー、やはり相性というものは覆せないもんですねえ」
医務室に立ち寄った景虎。相性不利のセイバーから喰らったクリティカルにより酷い怪我である。
傷だらけの彼女を見て、アスクレピオスは何故わざわざマスターがセイバーを含むクエストに参加させたのか疑問を持った。
「まあ、うちもまだ戦闘員が揃っていないんですよ。大将以外の敵に弓兵がいたもんでねえ。狂戦士や盾役がいなかったので奴らの処理を私が担っていたのですが、私が大将から真っ先に狙われたもんで......」
それに対し景虎、苦笑いなのか愛想笑いなのかよく分からない笑顔を振りまき淡々と状況を説明する。
「ふむ。相性不利クラスのクリティカルだとここまで酷い傷ができる物なのか。お前をセイバーだらけのクエストに投げ込んだら一体どのような傷を負って帰って来るのか、興味があるな」
事情を聴きつつ、彼の医療的好奇心は徐々に高まっていった。何せ、ここには様々な戦闘員がいる。その分様々な治療をする事となり、それに取り組むことでアスクレピオス自身の技術向上へとなるのだ。
「そもそもだ。撤退したことで霊基が概ね収束したとはいえ、この怪我でよく中央管制室からここまで歩いてこれたものだ。他のサーヴァント達は大抵誰かに支えてもらいながら来ているぞ」
そして、例としてオジマンディアスとアーラシュ、ネロ・クラウディウスとロビンフットを挙げた。互いに出撃するクエストが一致しないことが多いため、帰還時に面倒を見ることが多いとのこと。
「ふむふむ。確かに仲の良いサーヴァントがいればこの様に医務室へ行くのが理想的でしょう。しかしながら、私には仲の良いサーヴァントというものが一切おりませんので。むしろ、一人でいる事をどこ吹く風の私に対しやや腫物を扱うかのような態度なんですよ」
その理解しがたい笑顔を崩さずに事情を話し続ける景虎。自虐なのか皮肉なのか、はたまた一種の諦めなのか。恐らくマスターでも読み取ることは出来まい。
「なるほどな。それなら一人で来るのにも納得がいく。ただ、傷は早いうちに見せてもらった方が症状の分析もしやすいというもの。いつも他のサーヴァントの治療を終えてから来るもんだからどうも惜しい。君はこのカルデアでは稀有な大怪我を持ち帰って来る可能性のある人材だ。こうなったら僕が管制室で道具を持ち込んだ状態で君を治療してやろう」
目をギラギラさせてアスクレピオスは出迎えを申し入れる。それだけ、彼女の傷は酷かったのだ。
「そうですか。なら、お願いしましょうかね。私からしても、傷を早く治して一杯やりたいですからねえ」
にへらと笑って景虎は快諾。
そして、一言。
『今の貴方にはアルゴノーツの面々がいます。しかし、今でも私はほぼ一人。私が貴方に依存している事、理解しているのならもう少し私を受け入れてくれませんかねえ......』
直後、彼女の眼は暗雲の渦を形成していた。
そして、アスクレピオスは思った。
「これは、昔の夢......」
ベッドから起き上がり己の心拍数を確認。異状はなかった。汗もかいていないし息も荒くない。
手元の時計は彼の起床時刻七分前を示しており、いつものように自前のパソコンには一通のメールがあった。
「まったく、あの女は孤独なくせに僕を仲間だと思っているのか? 分からない奴だ」
慣れた手つきでメールを開封。いつもの人からの朝食の知らせだ。
「......行くか」
身だしなみを整えるのもそこそこに、彼は共同キッチンへ向かう。
今日もまた、彼のややこしい一日が始まった。
私のカルデア、実はぐだぐだファイナル本能寺の頃に始めたのに本能寺のピックアップを引いてないんですよ(理由は、単純な資金不足)。なので、配布で頂いた景虎の関係者不在という状況が(今でもほぼ)続いております。そんな彼女にスポットを当てれば、面白いドラマが生まれるなあと思い、いそいそと筆を進めている次第です。
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里見レイ
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