連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「何やかんや、いざ本番となると緊張するもんだな」
「私は、緊張と言うより興奮の方が勝つかな? こんな日が来るなんて、少し前の私では信じられなかったから」
「......んじゃ、先に行くぞ。ドレスの裾、踏まないようにな」
「大丈夫。いくらなんでもドジは踏まないから。待ってっね」
静寂に包まれた二人の式前の会話。しかし、多くは語らない。控室を出た彼は廊下を抜け、式場へと入った。
目に焼き付けよ、一世一代の晴れ舞台を。
「それでは、新婦の入場です。新婦はブーディカさん、付き人はウィリアム・テルさんです」
マシュの文言より始まったカルデア初の結婚式。黒いタキシードを着たアスクレピオスの元に、純白のドレスに身を包んだブーディカが歩み寄る。
「あーあ、始まっちまったか。料理もまだ運ばれてきてないし視線は鋭いし、コスパ悪い役だなあ」
「まあまあ、式のメインの部分なんてすぐ終わりますよ。ゆったり待ちましょ」
式場中央、イアソンとメディア・リリィも正装で座っている。仲人という立場は案外暇なものだ。
「それでは、これよりアスクレピオスとブーディカの結婚の儀を執り行います。これから共に人生を歩む二人に神からの祝福があらんことを......」
司祭はマルタが担当している。中央付近のテーブルに座る小次郎は、眼力で『えー、本当にござるかー?』と煽る気満々のテレパシーを送っているが気が付いているのはマルタ本人のみである。
「......綺麗だぞ。ブーディカ」
「ありがとう」
相変わらず、口数の少ない二人。しかし、その表情などからいつになく感情が高ぶっている事は伺える。そしてそのまま誓いの口づけが交わされ、カルデアに新たな歴史が刻まれた。
「それでは、これより二人の門出を祝して何名かの方に挨拶をして頂きます。まずは、ブーディカさんから推薦のあった茨木童子さんお願いします」
その後、代表挨拶へと移った。先陣を切ったのは茨木童子、後半だとプレッシャーが半端ない為配慮された結果である。
「うううううう、うむ。お二人の結婚、大変めでたいのう! 我からは医者にブーディカの美味しいおやつ上位三個を特別に紹介してやろうぞ!」
明らかに緊張している。まあ、だからこそのトップバッターな訳だが。
「ったく、もう少し奴でも二番手くらいに置けるくらい気楽な面々を使っても良かっただろうに」
「イアソン様、マスターのご意向です。私たちは静かに見守りましょう......」
若干あきれ顔をするイアソン。そんな彼を手をテーブルの下で握るメディア・リリィ。笑顔の裏に隠された重厚な想いが手のひらを通して伝わって来る。
「女子を泣かせるような事があれば、我が紅蓮の業火を持って反省させてやるから覚悟をしているようにな! 以上だ、二人で至福の
若干声が上ずっていたが、キチンと挨拶を終えた茨木童子。軽く一礼して酒呑童子の元へと戻って行った。
「茨木さん、ありがとうございました。続きまして、太陽王オジマンディアスさんよりお言葉を頂きます」
マシュが式を進めていく。エジプトの神王(最古参星5、特別待遇の功労者)からメルとリリス(聖杯組兼選抜メンバー)、佐々木小次郎(聖杯組、トレーニングルーム最高責任者)と三名のサーヴァントが挨拶をした。確かに、このカルデアの重鎮たちが挨拶するのなら茨木童子は前座なのは正解である。
「それでは最後に、この式の主催でありますマスターにご挨拶頂きます」
そして、自由時間まで式も大詰め。マスターへとマイクが渡った。力強く握りしめられたマイクと共に、マスターが深く息を吸う。
「まずは、二人の結婚を無事に取り付けることが出来て良かった」
今までの面々とは毛並みが違った。普通の結婚式の挨拶で「成功」なんて言うだろうか。
「しかし、これは我々の恋愛電溶の始まりに過ぎない。これから、より多くのサーヴァントが夫婦を作り幸せがあふれる事だろう。アスクレピオスとブーディカはその先駆けとなってくれた。ありがとう。そして、二人のこれからとカルデアの幸福を願って挨拶とさせて貰う。以上!」
多くのサーヴァントは唖然とした。他人の幸福だと思っていたこの結婚式が、もしかしたら自分も関わるかもしれない訳だ、驚き具合が違う。
「ありがとうございました。それでは、これより自由時間となります。食事は随時追加されますので、遠慮なくお食べ下さい。それでは、カルデア開催結婚式、第一部を終了します」
一方、マシュには何の変化もなかった。淡々と台本を読み上げ、式での役割を全うする。
若干の動揺はあったが、一同バラバラと自由時間の行動をとり始めた。秘かな開戦の合図を聞いた者を除けば、それはもう穏やかな会食であった。
本当に忙しいです。それでも、書きたいから描いていきます。
感想、アンケートお待ちしております。(アンケートは間もなく締め切る予定です)
里見レイ
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