連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
嫌と言うくらいに響き渡る金属音。そして、厄介な事に音源は常に移動している。
「これでは、冷静に話を聞いて貰う事は出来なさそうだな」
「おいおいおい、まさかタイミングを掴んで話しかけるつもりだったのか? 恋する女は盲目で、話など禄に聞いてくれるはずもないというのにか?」
隣にいるイアソンは、もう早速帰る気満々である。この男、恋愛経験の割に女へのトラウマが多い為完全に弱腰なのである。
「その為のお前だ。ストレスや興奮は、一度発散させておけば一気に沈静化する。それをお前にやってもらう」
「訳分らんよお!? それを俺がやる意味よ!?」
「......それについては、こうだ!」
ブンッと鈍さの増した空気を切り裂く音と共にイアソンが空中に放り投げられた。しかも、戦闘の流れを読む限り次に刃がぶつかり合う地点に向かってだ。
「うおあーーーー!!!」
彼の動きは、何故かギャグマンガ臭い。そして、シリアスな場面にギャグ時空の人間は絶対的な特攻を持つ。
「おおとおおおおおおおおああああああ!!!」
その叫びを最後に、金属の衝突音は静まった。ネロの大剣を両足で、ジャックのナイフを口で受け止めたのだ。
「なぬ!?」
「え?!」
拍子抜けして開いた口が塞がらないネロ・クラウディウスとジャック・ザ・リッパー。それなりの時間続いた戦闘がこのような形で終わってしまうとは考えもしなかったのだろう。
「流石、うちの船長にしてこのカルデア不動の重鎮。尻どころか下半身を着火させる事でどんな不可能も可能にする英雄。少々扱いに困るが、それもまた一つの個性だからな。やれやれ、先生の言葉がその通り過ぎて困る」
投げた本人すら呆れるイアソンの火事場の強靭ぶり。アスクレピオス戦友の絶対的な安心感を改めて覚えた。
「......さて、とりあえず落ち着いたか?」
戦っていた二人を座らせ、息切れしているイアソンを横目にアスクレピオスは話を始めた。
「う、うむ。先程は熱くなりすぎた」
「この皇帝さん、色々皆を騙してたんじゃないの? 私たちのせっかくのデートが台無しになったし」
「何を言うか? 散々己の悲劇要素かまして彼に近寄っていたのはお主ではないのか!?」
「それを言うなら、貴方だって人目がつく所でベタベタしてたじゃん! 別の縁があるからって、それは余りにも目に余るレベルだったよ!」
「落ち着け、それを踏まえての話し合いだ」
早速言い争う二人を宥めるアスクレピオス。ブーディカと景虎が優しすぎただけで、本来の女の恋愛戦争はかなり荒々しいのかもしれない。
「まずは、確認からだ。お前らはあそこにいるロビンフットとの婚約者争いをしているんだな?」
「うん! 譲らないよ!」
「うむ! 余のものである!」
ほぼ同時に攻めッ気抜群の発言をする二人。匙を投げたくなるとは、この状況を言うのだろう。
「で、それを実行する為に今回のレイシフトに仕掛けを入れたのはネロの方か?」
「うむ。余の計画だ」
意外とすんなり認めたネロ。否定をしないのは、微妙な好感度調整だろうか。
「協力者はいるのか? 具体的には言わなくても構わないぞ」
「いる。互いの想い人の為の協定だ」
若干刑事の尋問みたいになっているが、情報開示してくれるのはありがたい。
「いじったのは、レイシフトの場所の交換と通信の切断だな? 技術者への協力は願ったのか?」
「いや、そこは研究エリアにお邪魔して自分でやった。そこに居る聖杯組や技術関連の部署の面々も一切の関わりはないから詮索の手間をかけないで良いぞ」
「......今はその言葉を信じておこう。じゃあ次、ジャック・ザ・リッパーに事情を聞こう。今日レイシフトをした理由を教えてくれ」
「......義賊さんに、ロンドンの街で私たちを知って貰いたかったの。そして、改めて私たちの旦那様になってと頼むつもりで来た」
一方のジャックは、ネロと比べると口ごもり気味。この場面で思う節は色々複雑なのだろう。
「なるほどな。確かに、本来の履歴にはジャックとロビンが共同のレイシフト届を出しているようだ。ちなみに、ネロは敢えてこのタイミングで決行したのか?」
彼は空中にディスプレイを出しながら、更に追加質問をする。これは、もはや裁判のレベルの尋問だ。
「......そうだ。相手の勝ちへの油断をひっくり返してこその真の勝利だからな」
「そうか......」
ディスプレイに写った文字列に首をかしげながら、アスクレピオスはある程度納得した。ここまで来ると、とりあえずはこの戦争の勝敗決定手段を決める作業に入らなければならない。
「とりあえず、今日は一度カルデアに戻って貰う。後日改めて、マスターを通じて結婚までの決定手段を通達させる。それまでは、一度自室で静かにしていて欲しい。食事の提供とかはこちらで管理するから」
とりあえず、彼のやるべきは以前自分たちの周りが起こっていたのと同じように騒ぎを大きくしない事だ。
彼もこのような事態には免疫が有るので冷静だ。
「うむ、承知した」
「うん、私たちは個室から一歩も外に出ないよ」
その直後、劇場と霧は姿を消した。
『僕だ。こっちは収まったぞ』
『お、通信やレイシフト体制は完全に復旧したようだね。それじゃあ、今いる君たち六人はカルデアにレイシフト戻って貰うよ。力抜いてねー』
ロリンチと行進をして一仕事が完了したアスクレピオス。しかし、これはまだ目まぐるしい謀略の序章に過ぎない事をまだ彼は知らなかった。
「
ここ数日で、展開のアイデアがバコスカ浮かんできたので頑張ってます。ただ、まだ詰め方を掴めてませんが......
まだでしたら、評価等お願い致します。
それでは。
里見レイ
第50話で再びメタ回をやります。アシスタントに指名はございますか?
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アタランテ続投!
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アタランテ・オルタ希望!
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メルトリリス、カモン!
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ラムダさん、どうぞこちらへ!
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マルタ姉さーん
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水着マルタ? ああ、来なかったよ。
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牛若殿!
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真夏の牛若殿!
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あべんじゃあ牛若殿!