連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「さて、マスターへクエストの編成案も送ったし研究も後はメディアの管轄。ようやく一休みできそうだな」
ゴキゴキと関節を唸らせながらアスクレピオスは伸びをした。夕飯も既に食堂で食べ終え、残りは風呂に入って寝るくらいだ。明日は特にタスクもないので、ゆっくり過ごす予定だ。
「ブーディカは、もう戻っているだろうか? 明日、彼女も予定がなければいいが......」
こうして、アスクレピオスは医務室から隣の自室へと移った。時間としては、妻が厨房での後片付けと明日への仕込みが終わる頃合いだろう。
「帰ったぞ。お、今日は早めに終わったのか?」
「うん。エミヤがテキパキと終わらせてくれたの。人手が多いと気楽な物ね」
扉を開けると、ブーティカが紅茶とクッキーを用意していた。それと、一枚の紙きれもある。
「けど、私達はまた面倒な事態に巻き込まれそうよ。これを読んで」
その紙切れは、妻から夫の手へと渡る。
「何々。『ネロ・クラウディウスは今夜、強制相部屋システムを秘密裏に作動させてカルデアの一人部屋メンバーを合流させる。恐らく、彼女はロビンと添い寝をして恋愛戦争に一人勝ちするつもりだ』これ、どこにあった?」
「パラケルススの部屋よ。けど、文面や差出人の名前が書かれていなかったから確信は持てないけど」
「彼に確認はしたのか?」
「ええ。通信が盗聴されているかもしれないから、結構含みを持たせる聞き方だったけど」
「結果は?」
「完全に分からないと言っていたわ。恐らく、他の人が勝手に彼の扉に挟んだのでしょうね」
ブーティカが、紙切れを見つけた過程を話す。確かに、パラケルススが紙切れを書いたとは言い切れない。
「......この情報は、マスターやロビンには伝えたか?」
「まだね。本人たちに確定していない情報を送るのは、恋愛方面で偏見になってしまうから。マスターへも、慌てて報告するのも違うと思ったから」
「そうか。とりあえず、ダ・ヴィンチには警戒するよう連絡しておこう。深夜に起きるのは無理だろうが、警報アラートの制作くらいなら数時間で済むだろう」
紅茶を飲みながら、医師は提案した。聞くや否や、速攻でダ・ヴィンチに連絡を取る料理長。彼らの行動は中途半端かもしれないが、それでも絶妙な配慮の上に成り立っていた。
暫く後、互いに読書などをして時間が過ぎ去った頃。
「ダ・ヴィンチから、警報システムの完成のメールが来た。特に、ネロの部屋などは二重にシステムを組んでくれたようだ」
二人の部屋にあるパソコンからメールの通知が届き、それをアスクレピオスが確認。どうやら、各サーヴァントの安全確保レベルの準備は出来たらしい。
「本当、あの小さな技術責任者には迷惑かけっぱなしね。いつか、ご馳走を作ってあげないと」
「僕も、何か礼をしないとな。......さて、そろそろ寝るか。今日は、一緒に寝るか?」
アスクレピオスはすっとパソコンを閉じて、隣を空ける。同じベッドで寝ること自体はまあまあ回数あるが、アスクレピオスから誘うのはかなり珍しい。
「......うん」
ブーディカは、余計な事を言わずに電気を消して夫の隣へ体を滑らせる。
「万が一があるもんね。今日は、一緒に居たいのは私もおんなじ」
「......おやすみ」
「ええ、おやすみなさい」
予測不可能が起こりうることは、二人に容易く予測できた。少しだけの不安は、夫婦の間に香ばしいエッセンスと変化を遂げるのであった。
爆薬の正体は、部屋の中にいる人をほぼランダムで別の人の部屋に転送するプログラムでした(?)。はてさて、全寮制の近未来ラブコメにこんな感じのパニックとかあるのですかね?
里見レイ
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