連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「......何か、眩しいですねえ。緊急のクエストですか?」
時刻は、丑三つ時を枕もとのデジタル時計が示している。義賊、ロビンフットは夜襲を考えて寝ぼけた目を鋭くさせる。
「事件だよ。研究室で使っていたモルモットがホムンクルスとして暴走しているみたい。大丈夫、もう私達の準備は出来ている。義賊さんが用意をしている時間くらいは余裕で稼げるよ」
「ジャック、いつの間に来てくださったんですかい? まあ、とりあえず分かる限りの解説ありがとう。さて、この部屋で光っているレイシフトのような青白い輝きは何ですかい?」
「分からない。けど、どこかへ飛ばされる場合があるから私たちの傍から離れないで」
「お、おう。分かった」
頼もしい少女だと感じつつも、音もたてずに傍にいた事へ疑問を覚えるロビン。とりあえず、戦闘態勢は整った。しかし、彼にはホムンクルス(キャスター)との戦闘経験が皆無だ。相性の都合上、ジャックも苦戦を強いられる事は免れない。
(相変わらず、青白い奴は消えねえし。現状以上に嫌な予感がするんだよなあ)
そして、その予感は現実となった。
ロビンフットの個室は、突如『システムエラー』という表示が空間上に何枚も張り出される。そこからは大量の魔力が放出され、結果としてホムンクルスの軍勢の標的となってしまったのだ。
「何なんだよシステムエラーって!? しかも、見た所二つのエラーでヘンテコな反応起こしちゃっているみたいですし? 二人じゃ凌ぐのにも限界が近そうですねえ!」
「......貴方は、私達が、守る!」
直後、漏れ溢れる魔力に便乗した形でジャックが霧を発動させる。その流れに乗ったままこの少女は複数のホムンクルスを連続して撃破した。
「ロビンフット、無事か!? ダ・ヴィンチからホムンクルスが襲撃しておると聞いたぞ!」
加えて、アスクレピオスが蛇を使いながらエネミーをかき分けやって来る。隣には、勿論ブーティカの姿だ。
「一応平気ですがね。些か多勢に無勢だったんで助かりましたよ。しっかし、何なんですかこの青白い光と二種類のシステムエラーは?」
「説明はおいおいする。とりあえず、補助特化の僕たちでは援軍とは呼べないかもしれないがホムンクルスを片付ける事が先決だ。追加のメンバーが来るまで粘るぞ!」
「義賊さんには、指一本触れさせないんだから......」
そうこう話している間にも、ジャックはホムンクルスを肉片に変えていく。傍らでは、ブーティカが側面の援護を行っていた。
そして、数分後。
「諸君、大丈夫かい? とりあえず、その場で動けるメンバーで助けに来たよ!」
レオナルド・ダ・ヴィンチが牛若丸・ランスロット(セイバー)を連れて増援に駆け付けた。確かに、よく見ればホムンクルスの中にはランサーも存在する。このままロビンが突撃していては、恐らくただでは済まなかっただろう。
「......それにしても、何で急にこんな事件が起きたんでしょ?」
「......分からない。最近のカルデアは人間関係だけ一枚岩ではないからな」
後方で女性陣と援護部隊をサポートしながらロビンとアスクレピオスは小言で相談する。互いに持っている情報や事情は異なる故、深く質問できない部分がどうにも歯がゆい。
「マリア・ザ・リッパー!」
「アロンダイト・オーバーロード!!」
「壇ノ浦・八艘跳び!」
「芸術とは輝くものさ!」
しかし、先の見えない事件の全貌に対して事件の表面であるホムンクルス達は順調に討伐されていった。
(システムエラーというのは、ネロの仕組んだプログラムとダ・ヴィンチが対策したプログラムの衝突の事なのか? しかし、ホムンクルスとの関係が掴めない。第一、システムエラーで魔力の離散が発生してホムンクルスが引き寄せられるって出来過ぎてないか? この事件、想像以上に黒幕は手ごわそうだな......)
アスクレピオスは深夜のイレギュラーの中でも回せるだけの頭を回して考えた。しかし、この問題は夜明けを迎えても解決しそうにない。
日を昇らせるためには、まだピースが足りないのだった。
さて、本格的にアスクレピオスが探偵のようなポジションになろうとしています。
恋の病の解決には、まずヒヤリングが必要という事でしょうかね。
里見レイ
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