連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病   作:里見レイ

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眠いでございます。


手が出た大蛇

 次の日。アスクレピオスは研究施設の調査報告書をマスターに渡した後速攻ベッドに入り就寝した。思ったより、様々な証拠品が検出された為である。分析を妻と共に丁寧に行ったが、結論は一つだった。

 その報告書をマスターに渡すのを最後に、彼はゾンビのような勢いで自室へと舞い戻りそのまま眠った。しっかりと確認は出来なかったが、隣でブーディカも隣で爆睡に突入したようだ。

 つまり、この時はまだ彼らは知らなかった。彼らの見つけた最大級の時限爆弾の爆風の威力を......

 

「ふーん。二人の集めた魔力の残滓からは、『日本に由来するアサシン』みたいだね。データに該当するサーヴァントはエミヤ(アサシン)を含め数名いるね」

 

 資料に目を通したマスターはこのように呟く。ホムンクルス暴走事件の重要なカギを見つけてご満悦だ。

 

「対象となる皆さんには事情聴取としてこの部屋に来て頂きます。念のため、立会人としてダ・ヴィンチさんにも来て頂きましょう」

 

 隣でタブレットを動かすマシュ。朝早くからの出勤だが、元気は非常にみなぎっている。

 

「......マスター。これは非常に嫌な予感がするぞ。容疑者連中にここへ来るようなメールを出した時点で、奴らが強硬手段に出る事も否定できない」

 

 と、ここでマスターの椅子の上でお茶を飲んでいたイアソンの顔が青くなる。彼の直感は三時間後の天気予報並みによく当たる。しかも、悪いことが起きる前は特にだ。

 

「......今回の容疑者の内、明白に恋愛関連の矢印を向けているサーヴァントは何人?」

 

「一人です、先輩」

 

「そのサーヴァントが恋愛感情を持っている相手は、今回の騒動の関連者?」

 

「はい、以前のレイシフトシャッフルの際にいた方に御好意を持っています」

 

「......そのサーヴァントが、ネロと手を組んだ時に暴走する確率は?」

 

 マスターの額から、汗が流れ始める。マシュに聞いているのは答えではなく、もはや結論の確認だ。

 

「確率は、85%オーバーです。そして、それが起きた時カルデアに大きな混乱が発生するかと......」

 

「やっぱり......さて、とりあえず俺は静観しかなさそうだ。ちゃんと各々で向き合ってくれれば良いけど」

 

「やれやれ、マスターは今回も傍観ですかいな。ま、それが俺たちの仕事でもあるんだけどよ」

 

 三名の半ば悟ったかのようなやり取り。幾つもの修羅場を共に潜り抜けたからこその言葉かもしれない。

 

「とりあえず、今回はお前も動くべきだぞ。ジーク......」

 

 マスターのこの最後の呟きは、イアソンとマシュに辛うじて聞こえるくらいの大きさだった。

 

 

 

「!? 何だ、この禍々しい魔力は?」

 

 自室待機中のジークは、突如として負のエネルギーを纏った魔力を肌で感じた。

 

「嫌な感じだ。しかし、何か覚えのある魔力でもある。襲撃ではなく、内乱か?」

 

 脳裏に常夏の魔女の姿が浮かび、すぐさま通信を取ろうとする。しかし。

 

「......通じないな。電波がどこかで邪魔されているようだ」

 

 胸がざわつく。下手すれば、彼女も何かしらの被害を受けている可能性があるのだ。だが、その不安は払拭された。より具体的で絶望的な放送が流れたからである。

 

『諸君、緊急事態だ! 我らの研究の一角を担っていたパラケルスス君が攫われた! 目撃情報によると、巨大な蛇が彼を襲ったらしい。各自警戒に当たると共に、何か情報があれば管制室に来てくれ!』

 

 ダ・ヴィンチによる一斉放送だ。攫われるっという言い方には何か違和感があるが、事件であることに変わりはない。そして、外から流れは変えられる。

 

「......通信が使えないなら、一度様子見か? ここで首を突っ込んでは、騒ぎが大きく......」

 

「ちょっとジーク、さっさと行くわよ! この蛇の事件を解決しないとあたし達の問題も解決出来ないのよ!」

 

「じゃ、ジャンヌ。一応俺たちはまだ自室待機命令ではなかったか?」

 

「んなこたどうでもいいわ! このままじゃ結婚式なんていつ挙げられるか分かったもんじゃないの! だから、あたし達の手であの馬鹿くノ一を叩き潰して式を早めてやるのよ!」

 

 返事も待たずジャンヌダルク・オルタ(水着)はジークの手を引いて走り出した。そして、あざとい事にその手はキチンと恋人つなぎである。

 途中でセイバーランスロットから事件のあらましを聞き、二人は疑惑を確信に帰る。そう、今回の事件はネロ・クラウディウスの協力者アサシン・パライソがパラケルススを自室に拉致したというものなのだ。

 

 

「悲しい人ね。大事な人への愛情表現が誘拐だなんて。私は部屋にいる間、あの人の為にお料理のお勉強をしていたのに......」

 

「まあ、あの娘はんは不器用すぎますからなあ。上手い事皇帝はんの口車に乗せられたんちゃう?」

 

「欲しいものを奪う事はこの世の摂理よ! されど、奪い返される事を覚悟出来る者のみじゃがな!」

 

 アサシン・パライソの部屋の前で話をするナーサリー・ライム、酒吞童子、茨木童子。以前パラケルススをレイシフトに誘っている事もあり、ナーサリーは彼に好意を持っているようだ。残りの二人は、同じ和鯖であり彼女からすれば因縁のある人物。忍びであろうと、心理は分かるようだ。

 

「......アサシン・パライソに関しては、あまり話したことはないのだが。誘拐をするくらい情緒不安定な人物だったのか?」

 

「いいえ。あいつは終局直前にうちに来たけどそんな事するような奴ではないわ。恐らく、ネロにそそのかされて強引な手に出たんでしょうね」

 

 そして、ジークとジャンヌも到着。部屋の中から溢れ出る禍々しきオーラに一歩引いているが、会話は冷静

 

「......いやはや、愛が重すぎて箍が外れてしまいましたか。しかし、その責任の一端は皇帝殿にあれど本当に彼女だけがくノ一殿を唆したのでしょうか? くノ一殿の行動の裏には、どうにもまだ裏があるように思えますね」

 

 そして、野次馬から少し離れた所に彼女はいた。

 

「皇帝殿は確かに狡猾で自身で行動する以外にも駒を使って実力行使をする事もある。しかし、ここまで生き急ぐような事態に発展しますでしょうか? これは、概ねくノ一殿の単独行動のような気がします。そして、恐らく皇帝殿はこの事態を見て更なる強硬手段を......」

 

 長尾景虎のひっそりとした言葉だ。そして、今この裏で大蛇以上の魔物が目を覚ました。




 ちっとも進まないでございます。

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