連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「......マスター、たまには僕たちにも真っ当な休みをくれ。深夜に出撃してその後の昼に再出撃って、思ったより精神が持たないんだからな」
「まあ、通常業務は代わって貰ってるだけ大丈夫だと思うけど。近いうちに、二人でのレイシフトの旅行でもさせて貰いましょ」
マスターの呼んだ援軍とは、勿論アスクレピオスとブーディカの二人の事だ。結婚して夫婦になった事で、二人のカルデアでの立場、特に色恋沙汰に関しての事案については今まで以上に重宝されて(駆り出されて)いる。
「そう、だね。いつになるか分からないけど......二人の休暇とレイシフトは確保するよ。それで、目下で君たちに頼みたいのは......」
「分かっている。望月千代女の暴走の抑制とパラケルススの救出だろ。正直、僕たちでも苦戦すると思うな。ジークの方が説得には向いていると思うし。だから、僕たちはあくまで補佐だ。ネロがトレーニングルームで暴れているから、そっちに注力するかな」
アスクレピオスの「一を聞いて十を知る」のスタンスはチームの迅速さを高めてくれる。もはや、カルデア内部での異常事態では部隊長レベルの実力だ。
「た、頼む。俺じゃあネロは絶対に止められないし、パライソも無理だ。どうしても『マスターとしての命令』が皆の脳裏をよぎって下手な刺激になっちゃうから......」
こうして、マスターから丸投げ?された状態で二人の暴走乙女の鎮静化へ向かうのだった。
「さあ、着いたよ。本当、蛇ってオーラが凄いわね」
ブーディカの言語表現力が消失するレベルの禍々しさが放たれる立て籠もり現場。ジークとジャンヌが離れる前よりもはるかに妖力が増している。
「さてと、ジーク。話しできるか?」
「......出来るとは、思う。やばくなったら援護を頼むぞ」
ゴクリと唾をのむジーク。そして、音も反応できない速さで動き出した。
「ちょっと、アンタ......」
隣にいたジャンヌダルク・オルタ(水着)を素早く己の両腕の範囲内に収め、野次馬をすり抜ける。
「......何を考えている、人造生命?」
もはや、本人の実態がどれ位残っているか分からない状態の望月千代女(アサシン・パライソ)が、彼に対し脅迫にも取れる気迫で質問をする。
「とりあえず、お前には一度落ち着いて欲しくてな。とりあえず、独りよがりな愛は止めて彼としっかり静かな時間を共有してみたらどうだ?」
「......?」
「......」
「じ、ジーク?」
ジークの言葉に対し理解を本能的に拒否している千代女と、渋そうな顔をするパラケルスス。そし..て、ジャンヌも何が起こるのか分かっていない。
「とりあえず、俺たちの姿を見てから自分と彼とを見つめ直してくれ。愛の形という物をな」
そして、平行世界の英雄は否応なく己の想い人の唇を奪い取る。
「!!!? ジーク......」
「何事!?」
「......」
周りが一瞬にして視線を揃えて絶句した。しかし、彼らは違った。
「この分なら、問題なさそうだな。僕はトレーニングルームへ向かう」
若干満足げな顔をして、アスクレピオスは萎んでいく邪気へ背中を向ける。
「あっちには、一応頼りになる面子がいる。だから、ブーディカはパライソのヘルスケアを頼む」
「オッケー、互いに円満な鎮静をさせましょ」
エールの意味を兼ねて、この料理長も夫の唇を塞ぐ。あまり気づかれなかったみたいだが、それはそれである。
「......これから、どうなるのかしら? 当事者であるはずなのに、何だか蚊帳の外ね」
そして、千代女の恋敵ナーサリー・ライムが小さく呟く。
物語は、間違いなく加速する。しかし、到達地点に近づくかは誰にも分からない。
結局、リアルの忙しさと若干の現実逃避のせいでかなり感覚が空いてしまいました。おかげで、自分の張った伏線を忘れて確認作業を行う始末。
笑い話です。
ただ、楽しく描いて行けているのでそこは嬉しいですね。ではまた。
里見レイ
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