連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
妖力は、縛り口が解けたゴム風船のような勢いで萎んでいった。それに比例して彼女を護衛していたホムンクルスも数を減らしていき、仕舞には......
「錬金術師殿、拙者は、貴方様となら、壊れた世界の中でも共に生きていけると......」
少しでも触れたら灰になって消えそうな儚さを放ち、望月千代女は膝から崩れ落ちた。
「......」
そんな彼女を、パラケルススは静かに背中から支えた。その目は、大蛇が展開されていた時と変わらぬ暗さだ。
「......パラケルスス。とりあえず、私たちが言いたい事は主に二つよ。一つは、今回のアサシン・パライソとの共同反乱に関しての処分は不問にする為、静かにしている事。二つは、自分の結婚に関して何かしらの意思表明をする事。貴方がどんな思いで今回の恋愛騒動に関わっているか分からないけど、これ以上は下手に動いてややこしくしないでね」
「そうですね。少し休みたいものです。あの娘の為にも、私の為にも......」
ブーディカは腰に手を当てて、若干呆れかえったように言う。そして、相変わらず柳のような答えた方をするパラケルスス。共にカルデアの最古参の一角、言葉は若干の含みがあるが言いたい事はしっかり伝わっている。
「......ブーディカ、これからどうする?」
そして、ジークは未だにジャンヌダルク・オルタ(水着)を抱きかかえたまま。その想い人は、まだ完全に硬直している。まあ、ジークの行動が桁外れな訳だが。
「とりあえず、当事者二人は一度マスターの部屋に来てもらうとして......残りのみんなは解散して食事なり睡眠をとるなりしていいわよ。報告とかも全部私がやっておくから。貴方達二人も帰って休んで。ありがとう」
「そうか。じゃあ、部屋に帰って休ませてもらう。ジャンヌはどうする?」
「......あんたと、離れたくない」
ジークの首に両腕を回して、ジャンヌはこう言った。その口ぶり、仕草、全てが乙女そのものだ。
「ふふふ、マスターには私たちの分も含めて休暇の申請をしておくからのんびりするのよ」
「......そうか、助かる」
目線の先は、全力で想い人へ向いている。もう、目の前の修羅場など記憶から消されているレベルだ。
「......さてと、一緒に来てもらうわよ望月千代女。大丈夫、今回の騒ぎはそんな大した事ないから」
そして、ブーディカは倒れ込んでいる千代女の手を取る。
「ええ、少々生き急いだかもしれません。落ち着きたいと思います、申し訳ない」
ゆっくりと、千代女は彼女の手を取った。その時、この忍びが微かにほほ笑んでいた。気が付いたのは、手を取ったブーディカ本人と隣にいた錬金術師のみであった。
しかし、反応は違った。
(......貴方は、何処まで考えて、騙して、振り回すつもり? そして、最期は彼と......)
(私の贖罪は、永遠に終わらないかもしれない。美沙夜、私は......)
(拙者は、ここで全てを手に入れる。何人騙しても、どれだけ多くの者を傷つけようと......)
三者三様の思惑の渦は、カルデア中にいる関係者の過去と未来をグチャグチャに乱そうとしている。そして、この暗黒の渦はトレーニングルームからも発せられている。まだ、終わらない。いや、これからが本番なのかもしれないのだ。
いい加減、定期更新をしようと考えまして「毎月、第二、第四土曜日の午後八時四十分」に更新していきたいと思います。
総合するとペースは遅くなると思いますが、不安定よりはよいだろうと考えたからです。ストックは複数作っておりますので、切らさない様に頑張ります。新年も、宜しくお願い致します。皆さま、よいお年を。
里見レイ
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